『父なる神を越えて』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/02 07:28 UTC 版)
「メアリ・デイリー」の記事における「『父なる神を越えて』」の解説
1973 年、デイリーは著書『父なる神を越えて ― 女性解放の哲学に向けて』を発表した。『教会と第二の性』でカトリック教会の家父長制と性差別を批判したのに対して、『父なる神を越えて』では性差別のないキリスト教は不可能だとし、宗教全般におけるミソジニー(女性蔑視)を指摘した。女性の神学者が、大学の神学部の内部から専門家としてこれほど激しくキリスト教会を批判するのは、いまだかつてないことであった。一方、教会や宗教を批判しながらも、神を否定したわけではなかった。「神」という名詞を使うことで「神」を対象化し、最高位に置くことで支配・被支配の固定的な構造が作られたとし、この代わりに(実在としての神ではなく)「動詞としての神」、生成し続ける"Be-ing"としての神という概念を提唱した。フェミニスト作家のアリックス・ケイツ・シャルマン(英語版)は本書について、「デイリーは究極のキリスト教フェミニストである。他のラディカル・フェミニストが家父長制社会の政治、経済、社会、性の制度を分析して明らかにしたことを、西欧文化の基盤である精神の制度を分析して明らかにした」と評した。
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