『ニルスのふしぎな旅』
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「セルマ・ラーゲルレーヴ」の記事における「『ニルスのふしぎな旅』」の解説
1842年に初等教育を義務化したスウェーデンでは、1880年、国民学校の教育改善を目指してスウェーデン国民学校教員協会(Sveriges Allmänna folkskollärarförening)が組織され、中でも特に急務であったのは読本の改訂だった。また19世紀末から20世紀初頭にわたり、欧米を中心に教師中心から児童主体の教授法へと教育の転換が広く展開される(新教育運動)。そのバイブルと呼ばれたのが、1900年にスウェーデンの社会運動家・教育学者のエレン・ケイが著した『児童の世紀』(Barnets århundrade)である。ケイは一貫して国民学校読本を批判し、それに代わる読本のあり方を提言した。 1901年、教員協会の読本作成委員会から初等教育用の地理読本を書くよう依頼されたラーゲルレーヴは、スウェーデン各地を取材し、『ニルスのふしぎな旅』(第1部1906年、第2部1907年)にまとめる。 ニルスが冒険を繰り広げる物語は、著者がスウェーデンの各地方の取材先で調べた歴史と地理の知識を織り込み、民話風に仕立ててある。やがて家に帰り着いたニルスは元の大きさに戻ったという物語は著者のベストセラーとなり、30言語超の翻訳版がある。日本語訳刊本は1918年に出版される。
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