「看護人」か「妾」か
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 16:46 UTC 版)
名目上は「看護人」であっても、見た事もない外国人の元へ「妾」同然の扱いで派遣されるとあって、高額の給金が支給された。「きち」の場合、支度金が25両、月給は10両だったが3日で解雇されたので、「給分の内」としてまず7両が支払われた。家族が再雇用を願い出るもかなわず、さらに5両が支払われ、30両が解雇手当のような形で支給された。総支給額は計67両である。 ヒュースケンの下に派遣された「ふく」は支度金が20両、月給7両2分であった。ハリスの元へは「きち」の後釜として下田在住・為吉の娘「さよ」が派遣され、支度金が20両、月給7両2分である。 アメリカ側を籠絡して条約締結交渉を引き延ばしたかった日本側の思惑はさておき、ハリスは生涯妻帯しなかった敬虔な聖公会教徒であった上に、生命が危ぶまれるほどの著しい体調不良に悩まされてもいた。そうした状況下で母国を代表し、日米和親条約の締結で部分的に開国していたとはいえ、未だ鎖国政策を敷いていた日本との通商条約締結交渉の全権を委任されるという重責を担う立場の人間が、交渉相手国から妾を提供されるような外交交渉に悪影響を与えかねない供応を受けるとは常識的には考えにくい。 自らはハリスの秘書兼通訳の立場にすぎず、あからさまに「女性の看護人」を要求したヒュースケンはともかく、こうした状況からハリスは妾ではなく純然たる看護人を要求したと判断することもできるが、ハリスと「きち」との男女関係の有無を証明する証拠が存在しない限りさまざまな説は想像の域を出ず、詳細は不詳である。
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