「日満両国の一体的重要国策」であることについて
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/07/13 18:05 UTC 版)
「満洲開拓政策基本要綱」の記事における「「日満両国の一体的重要国策」であることについて」の解説
本「基本要綱」は、その「基本方針」の中で、満州移民事業が「日満両国の一体的重要国策である」と規定していた。具体的には、日本国内での業務は日本政府が、満州国内での業務は満洲国政府が統轄する。移民入植地の行政経済機構は「原住民トノ共存共栄的関連ヲ考慮シ」満洲国制度下に融合させる(開拓総局 1940,12‑13)。行政機構は街村制によるものとし、経済機構は協同組合を結成させる。また、指導員の身分は従来の日本政府嘱託から日満両政府の嘱託に改め、移民の訓練は日本国内での訓練を日本政府が、従来は満洲拓植公社が管理していた満州国内での訓練を満州国政府が統括するとした。満蒙開拓青少年義勇軍については、日満両国の開拓関係機関合作による訓練本部を新京に置き,各機関の協議によりこれを運営するとした。さらに日満両政府がそれぞれ開拓関係行政機構の整備拡充を行って関係機関との連絡に適切な処置をなすとともに、両政府間直接の協議連絡を緊密にするとした。 この意義は以下のとおりである。これまでの満州移民事業は、日本政府の国策移民の一環であり、日本帝国主義による満州支配の「国営事業」として強行されてきた。そのため特に日中戦争以降、満州移民事業に対する在満中国人の民族的憤懣・抵抗を一層激化させた。この民族的憤懣・抵抗が中国本土で展開されている抗日民族運動と結合すると、満州移民事業は一大危機に直面すると日本政府は認識したので、在満中国人が抱く満州移民事業に対する「侵略的印象」を和らげるために、満州移民事業が決して日本政府の「国営事業」ではなく、日満両政府の共同事業であり、「日満両国の一体的重要国策」であるとの看板を掲げざるを得なかったのである。
※この「「日満両国の一体的重要国策」であることについて」の解説は、「満洲開拓政策基本要綱」の解説の一部です。
「「日満両国の一体的重要国策」であることについて」を含む「満洲開拓政策基本要綱」の記事については、「満洲開拓政策基本要綱」の概要を参照ください。
- 「日満両国の一体的重要国策」であることについてのページへのリンク