「新しいカテゴリー表について」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 16:37 UTC 版)
「チャールズ・サンダース・パース」の記事における「「新しいカテゴリー表について」」の解説
その中でも特に重要な位置を占めるのが、1868年の「新しいカテゴリー表について」という論文である。晩年になってもパースは、「新しいカテゴリー表」が「論理学的観点から見て、私の書いたものの中で最も不備の少ない」論文であると述べ、「哲学への私の唯一の貢献である」とまで評している。これらの発言から、パースがいかにこの論文を重視していたかが伺える。 カテゴリーというのは普遍概念、つまりどのような思考においても働いている概念のことである。(一般概念も「普遍概念」と呼ばれることがあるが、ここでは区別する。この定義に従えば、例えば「人間」は一般概念であるが普遍概念ではない)。「新しいカテゴリー表」の目的はこのような普遍概念を見つけ、それによって人間の思考の構造を最も根本的なレベルで明らかにすることである。 パースが採る方法は、実験心理学のデータからカテゴリーの候補となる概念を探し出し、それが実際にカテゴリーであるかどうかを、彼が「prescision」と呼ぶ条件を満たすかどうかによって検証していく、というものである。その結果、次の五つのカテゴリーが得られる。 存在質(根拠への参照) 関係(被関係項への参照) 表象(解釈項への参照) 実体 「新しいカテゴリー表」の時点では中央の三つは「偶有」と呼ばれているが、後にこの三つだけが「カテゴリー」と呼ばれ、上から順に「第一性」、「第二性」、「第三性」となる。 論文の後半では、カテゴリーの応用として、記号には「類似体」、「指標」、「シンボル」の3種類があることが示される。
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