「奇跡」のブルー・ローズへの挑戦
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/29 22:55 UTC 版)
「バラ」の記事における「「奇跡」のブルー・ローズへの挑戦」の解説
「青いバラ (サントリーフラワーズ)」も参照 「青いバラ」は、オールド・ローズの「カーディナル・ド・リシュリュー」などが知られていた。しかし、純粋な青さを湛えたバラを作り出すことは、青いチューリップと同様に世界中の育種家の夢であり、各国で品種改良競争が行われた。1957年、アメリカのフィッシャーが「スターリング・シルバー」を出し、「青バラ」の決定版といわれた。しかし、競争は止まず、1957年にはタンタウが一層青い「ブルームーン」を発表した。それにコルデスが1964年に「ケルナーカーニバル」を出し、1974年にフランスのメイアンは「シャルル・ド・ゴール」を発表と、熾烈な品種改良競争を展開した。日本でも青いバラに対する挑戦は盛んで、今日までに数多くの品種が生み出され、世界でも注目を浴びている。 2008年現在、一般的な交配による品種改良で最も青に近いとされる品種は、岐阜県の河本バラ園が2002年に発表した「ブルーヘブン」、アマチュア育成家である小林森治が1992年に発表した「青龍」や2006年に発表した「ターンブルー」等が挙げられる。 従来、青い色素を持つ原種バラは発見されていなかったため、従来の原種を元にした交配育種法では青バラ作出は不可能とされてきた。そのため、現在の園芸品種にも青色といえる品種は存在しない。また「青バラ」と呼ばれる品種は、主に赤バラから赤い色素を抜くという手法で、紫や藤色に近づけようとしたものである。その後、サントリーの福井祐子らの研究により、青い色素を持たないとされてきたバラから、シアニジン誘導体のバラ独自の青い色素が発見された(「青龍」を始めとするいくつかの青バラより)。これはバラ独自のもののため、「ロザシアニン」(Rosacyanin)と命名された。 しかし、この色素を持つ「青龍」は花粉をほとんど出さないために、交配親としては不向きとされており、遺伝子操作に頼らない青バラへの道は依然険しく長い道のりのままではある。だが、「ロザシアニン」の発見は、純粋な青バラ作出を目指す育種家にとって一つの希望を示したといえる。
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