「一次妄想」と「二次妄想」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 04:52 UTC 版)
古典的には、まったく根拠を持たない妄想を一次妄想(「あの人はまだ自分がxxであることに気づいてない」「おれはナポレオンの生まれ変わりだ」「近所の人たちが私を電波で攻撃している」など)、何かしらの経験と関わりがある妄想を二次妄想(「私の病気は不治の病なのだ」「皆の不幸は私のせいなのだ」など)と区別している。 しかし、一次妄想と考えられる妄想にも本人なりの理由が存在している場合も多く、真の無意味で根拠のない妄想はまれである。了解可能か否かで一次妄想と二次妄想を区別するという定義もあるが、「私の病気は不治の病なのだ」という妄想も、抑うつ気分から悲観的妄想が出現していれば理解可能であるが、健康なひとがそのような妄想をもっていれば了解不能であるため、これらの区別は難しい。偏見との区別も難しく、考えの根拠を聴取し、ひとつひとつ反証していくことで妄想と明らかになるが、文化が異なる反証であるとその方法は有効ではなくなる。 さらに一次妄想は以下の5つに細分化されている。 妄想気分:周囲がなんとなく意味ありげで不気味と感じる。形容ができないがそこから具体的な判断がおこり妄想となる。 妄想知覚:正常な知覚に特別な意味づけがなされる。それが強固な確信となり訂正が不可能である。 妄想表像:とんでもないイメージを抱く。 妄想覚性:途方もないことを察知するが実体には何も理解できていない。 妄想着想:ある考えや古い記憶が突然思いがけない意味をもって思い出され、強固な確信に至ること。 妄想知覚などは統合失調症でよくみられる現象である。二次妄想はうつ病でよく見られる現象である。心気妄想、微小妄想などが有名である。「なんとなく胃が痛い、病院にいって検査しても異常がない、心療内科の受診を勧められ、それでうつ病と診断される」こういったエピソードが心気妄想には多い。
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