「イロコイ影響論」という異説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/09 06:47 UTC 版)
「イロコイ連邦」の記事における「「イロコイ影響論」という異説」の解説
イロコイ影響論とは、アメリカ合衆国の建国者(建国の父)たちや合衆国憲法起草にイロコイ連邦の諸要素が大きな影響を及ぼしたとする説。イロコイ影響論では、「自由」や「民主主義」といったイロコイ連邦の政治システムが新国家アメリカの基礎になったと歴史を認識している。イロコイを研究分野とする人類学者および憲法研究の権威と評価されている史学者のほとんどは、イロコイ影響論に強く反対している。影響論は、イロコイ族以外のインディアン部族を要因として挙げるものも含めて広くは受け入れられていない。 影響を及ぼした可能性についての提起は19世紀から時折あったが、1980年代にイロコイ影響論が主張されたとき大きく注目された。イロコイ影響論の賛同者は、包括的な議論提起および証拠提示を行った学者のブルース・E・ジョハンセン(アメリカ先住民学)とドナルド・A・グリンデ・ジュニア(アメリカ学)の研究成果を、インディアンをアメリカ史へ好意的に受容したものと見なしている。 1988年、アメリカ合衆国議会両院で「合衆国憲法へのイロコイ連邦の貢献」を認定した決議が可決され成立した。前年には上院議員ダニエル・イノウエの提案した同様の別決議が、上院で可決のみはされていた。イロコイ影響論をアメリカ先住民や教育界の多文化主義者の多くは好意的に迎え入れていたが、学界内の多数は影響論の裏付けとなる証拠やその論理について信頼のできないものとして見続けている。 アメリカ合衆国へイロコイ連邦の諸要素が及ぼした影響についてのコンセンサスは、 (18世紀の)英領北アメリカ植民者は、イロコイの政治システムにあった国家連合の側面を確かに知っていた。 (建国者たちの構想が)「イロコイに影響を受けた結果として存在する」とは明らかにされていない。 とするのが、バランスのとれた見方とされている。
※この「「イロコイ影響論」という異説」の解説は、「イロコイ連邦」の解説の一部です。
「「イロコイ影響論」という異説」を含む「イロコイ連邦」の記事については、「イロコイ連邦」の概要を参照ください。
- 「イロコイ影響論」という異説のページへのリンク