綿矢りさ 経歴

綿矢りさ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/25 23:05 UTC 版)

経歴

京都府京都市生まれ。金閣寺近くの閑静な住宅街で育った[1]。父は服飾関係(着物)会社に勤めるサラリーマン[2][3]、母は短大の准教授[1]英語教員[3])という家庭環境にて育つ。3歳下の弟がいる[1]

17歳のときに太宰治の作品に引き込まれ、作家になろうと決めた。京都市立紫野高等学校在学中に「インストール」で第38回文藝賞受賞。受賞当時17歳であり、第18回(1981年〈昭和56年〉)の堀田あけみ(『アイコ十六歳』)以来20年ぶりの最年少タイ記録として話題となった[注 1]。同作品で2002年平成14年)に第15回三島由紀夫賞候補。選考委員の福田和也島田雅彦より高い評価を受ける。同作品の単行本は、2年後の芥川龍之介賞受賞や映画化の効果も相まって、2008年(平成20年)までに70万部が発行されるベストセラーとなった。

2002年(平成14年)に早稲田大学教育学部国語国文学科へ自己推薦入学[4][5]。(本人は文藝賞だけで入った」と語っている[4])在学中は千葉俊二ゼミに所属。大学在学中の2003年(平成15年)に『蹴りたい背中』で第25回野間文芸新人賞の候補となり、2004年(平成16年)に同作品で第130回芥川龍之介賞受賞(当時19歳)。金原ひとみ(当時20歳)「蛇にピアス」と同時受賞であり、それまでの最年少記録(第56回 1967年〈昭和42年〉)・丸山健二の23歳0か月)を大幅に更新。芥川賞受賞作と選評が掲載された月刊『文藝春秋』2004年3月号は、雑誌としては異例の初回刷80万部、最終的には118万5000部を記録し、1990年12月号「昭和天皇独白録」収録号の105万部を抜き最多発行部数を更新した。単行本は芥川賞受賞作としては1976年(昭和51年)受賞の村上龍限りなく透明に近いブルー』(131万部)以来、28年ぶりのミリオンセラーとなった。2004年(平成16年)末までの発行部数は127万部。

2006年(平成18年)3月に早稲田大学卒業。以降、京都で専業作家として活動に入る。

『蹴りたい背中』で2005年度早稲田大学小野梓記念賞<芸術賞>、校友会稲魂賞を受賞。同年末に3年半ぶりの長編となる『夢を与える』を発表。

2008年(平成20年)、第26回京都府文化賞奨励賞を受賞。同年、世界経済フォーラム(ダボス会議)のYoung Global Leadersの1人に選出される。同年春より読売新聞で書評委員を務める。

2010年(平成22年)、『勝手にふるえてろ』が第27回織田作之助賞大賞候補。

2012年(平成24年)、『かわいそうだね?』で第6回大江健三郎賞を受賞。同年、京都市芸術新人賞を受賞。

2019年(令和元年)、『生のみ生のままで』で第26回島清恋愛文学賞を受賞。


注釈

  1. ^ 太宰治が取れなかった賞を取ったことについて沼野充義編集『やっぱり世界は文学でできている』(光文社2013年平成25年〉)で「太宰とは実力が違うのにいただきましたから、申し訳ないと言ったらおかしいけれど、そのへんは複雑ですね」と語っている。

出典

  1. ^ a b c d “芥川賞作家・綿矢りささんの父母 山田雅人さん、宏子さん/上 「小説なら買ってあげる」” (jp). Mainichi Daily News. (2018年7月4日). https://mainichi.jp/articles/20180704/ddm/013/100/004000c 2020年12月28日閲覧。 
  2. ^ 綿矢りさ サワコの朝
  3. ^ a b c d e f 日本経済新聞社・日経BP社. “作家・綿矢りささん 母は作品でも育児でも先生|エンタメ!|NIKKEI STYLE”. NIKKEI STYLE. 2020年12月28日閲覧。
  4. ^ a b c d 綿矢りさ、夫は「シーサーに似てるかな」 結婚生活を語る 〈週刊朝日〉”. AERA dot. (アエラドット) (20171224T113000+0900). 2020年12月28日閲覧。
  5. ^ a b “芥川賞作家・綿矢りささんの父母 山田雅人さん、宏子さん/下 力を信じ、意見を尊重” (jp). Mainichi Daily News. (2018年7月5日). https://mainichi.jp/articles/20180705/ddm/013/100/022000c#:~:text=%E5%B0%8F%E8%AA%AC%E3%80%8C%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%80%8D%E3%81%A7%E6%96%87%E8%8A%B8%E8%B3%9E,%E3%81%AE%E5%A7%93%E3%81%8B%E3%82%89%E6%8B%9D%E5%80%9F%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82 2020年12月28日閲覧。 
  6. ^ a b 綿矢りささん 京都市立紫野高校 高校生で作家デビュー、きっかけはネット世界の衝撃|ハイスクールラプソディー|朝日新聞EduA”. www.asahi.com. 2020年12月28日閲覧。
  7. ^ 以上読売新聞 2008年10月27日 13面
  8. ^ a b 「作家の読書道」第8回 綿矢りささん
  9. ^ 「太宰治を片端から読みながら」(『文藝春秋2004年3月号)、NHK-BS2週刊ブックレビュー2010年10月2日放送
  10. ^ 美人芥川賞作家・綿矢りさが“こじらせ系作家”に変身中? 週プレ 2013年4月19日、1ページ目
  11. ^ 資生堂「花椿」2013年11月号 穂村弘との対談にて。
  12. ^ 美人芥川賞作家・綿矢りさが“こじらせ系作家”に変身中? 週プレ 2013年4月19日、2ページ目
  13. ^ 上戸彩会いたい作者…綿矢りささん、宣伝に姿見せず
  14. ^ 綿矢りささん結婚発表 04年に歴代最年少19歳で芥川賞受賞スポニチアネックス、2014年12月30日閲覧。
  15. ^ キャリア官僚と結婚した綿矢りさ、数年前には大失恋で作家生命の危機も (2015年1月20日)”. エキサイトニュース. 2020年12月28日閲覧。
  16. ^ 【綿矢りささん】出産して余裕がないからこそ、書きたい世界がはっきりした/私の「出産」リアルストーリー”. LEE. 2020年12月28日閲覧。
  17. ^ 「人間ドラマの気配感じる」 北京在住の作家・綿矢りささんが語る中国
  18. ^ “今の北京の流行と魅力を、思いっきり書きたかった”北京滞在経験を元にコロナ禍の北京を描く痛快小説『パッキパキ北京』綿矢りさインタビュー 集英社オンライン 2023年12月9日閲覧。
  19. ^ 第15回三島由紀夫賞選評
  20. ^ exciteブックス 綿矢りさ『蹴りたい背中』徹底解剖!
  21. ^ exciteニュース 2004年3月8日






固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「綿矢りさ」の関連用語

綿矢りさのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



綿矢りさのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの綿矢りさ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS