生活保護法 生活保護法の概要

生活保護法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/07/19 02:57 UTC 版)

生活保護法
日本国政府国章(準)
日本の法令
通称・略称 なし
法令番号 昭和25年5月4日法律第144号
効力 現行法
種類 社会保障法
主な内容 生活保護について
関連法令 なし
条文リンク 総務省法令データ提供システム
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生活保護法の目的は、「日本国憲法第25条に規定する理念に基き、生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長すること」(1条)とされている。

沿革

一連の社会福祉立法はイギリス救貧法を参考につくられた。かつての救貧法としては、以下のものがあった。

恤救規則と救護法の歴史的関連につき、小山は、編著第1章日本における公的扶助制度の発展第1節明治以前における公的救済制度の概観で、以下のように記述している。

日本における公的扶助制度は、昭和21年(1946年)総司令部指導の下に制定、実施した生活保護法により有史以来の画期的発展をとげたといわれているが、この法律はその法技術的構成の範を昭和4年(1929年)の救護法に採つており、この救護法はその萌芽を明治7年(1874年)の恤救規則に持つている。

而して、この恤救規則は当時明治新政府が外国制度の影響を全然受けることなく制定したものであつて、これには大宝律令以来日本に行われてきた各種の公的救済制度の実践が強い影響を与えている。

小山進次郎『改訂増補 生活保護法の解釈と運用(復刻版)』(1975年3月1日、社会福祉法人・全国社会福祉協議会)3頁

  • 母子保護法(昭和12年
  • 医療保護法(昭和16年法律第36号)

昭和21年に生活保護法は各種救貧立法を統一する形で成立したが、その後に成立した日本国憲法の下では受給権の面など、不十分な点があり、昭和25年に全面改正して現行の生活保護法となった。

現行生活保護法案提出の理由につき、当時の衆参本会議で、厚生委員会委員長として、衆院では、自由党の青柳一郎議員が、参院では、山下義信議員が、報告した。

青柳一郎氏は、現行法の慈恵的、恩恵的色彩の一掃いたさなければ社会保障制度の基礎たるを得ない、憲法第25条の定める理念にふさわしい、国民が権利として保護を要求し得る生活保護制度を樹立せんとするのが、政府の本法案提出の理由だ、と報告している。

山下義信氏は、憲法第25条の精神に基き、これを具現化し、以て国民の生存権を保障することを本法の目的とした、救貧法でなく生活保障法の性格とされた、これらの保護を受けますることは、国民の権利でありまして、決して恩恵的、慈善的に与えられるものでないことを明記された、と報告している。

以下当該部分を抜粋引用する。

(2) 委員会における審議の経過及び結果については本会議における厚生委員会委員長報告が要を尽していると思うから次にその全文を掲げておこう。(官報号外昭25年4月23日衆議院会議録第40号1030及び1031頁)

[青柳一郎君登壇]

○青柳一郎君

ただいま議題となりました生活保護法案について、厚生委員会における審議の経過並びに結果の大要を御報告申し上げます。

生活保護制度、すなわち国民の最低生活を保障する公共の扶助制度は、いかなる形の社会保障制度においても、その基礎の一つであります。

現行生活保護法が、昭和21年10月1日施行以来今日に至るまで、公共の扶助に関する根本法として果して来た重大かつ効果的なる役割については、あらためて申すまでもないところであります。

しかしながら、現行法の慈恵的、恩恵的色彩を一掃いたさなければ社会保障制度の基礎たるを得ないのであります。

さらにまた、わが国現下の情勢は、本制度による保護を要する人々の増加が予想せらるるのでありまして、この際本制度を急速に整備強化することが必要となつで参つたのであります。

特に昨年以来、本院においてきわめて緊要な問題として取上げられました未亡人対策あるいは遺族援護の問題等の審議を通じて、本制度の欠陥がしばしば指摘せられ、第5国会において満場一致をもつて可決せられました。

遺族援護に関する決議においても、本制度の拡充強化が強く要望せられたのであります。

さらに昨年1月現内閣によつて設置せられました社会保障制度審議会は、去る6月、内関総理大臣に対して、現行の生活保護制度の改善強化に関する勧告を行うに至つたのであります。

これらの要請に応じ、現行の生活保護制度を廃止し、新たに憲法第25条の定める理念にふさわしい、国民が権利として保護を要求し得る生活保護制度を樹立せんとするのが、政府の本法案提出の理由であります。

小山進次郎『改訂増補 生活保護法の解釈と運用(復刻版)』(1975年3月1日、社会福祉法人・全国社会福祉協議会) 59~60頁

(二) 委員会における審議の経過及び結果については、本会議における厚生委員長報告が要を尽していると思うから、次にその全文を掲げておこう (官報号外昭25年4月30日参議院会議録第48号1029及び1030頁)

[山下義信君登檀、拍手]

○山下義信君

只今議題となりました生活保護法案の厚生委員会における審理の経過並びに結果につきまして御報告申上げます。

先ず法案の大体を御説明申上げますと、本法は本文84ケ条と附則9項目から成つておりまして、現行法に比べますと、条文の数は約2倍になつております。更にその内容におきましては画期的の大改正が行われたのでありまして、我が国公的扶助の制度におきましては誠に重大なる立法であります。

注目すべき諸点を申上げますと、第1点は、憲法第25条の精神に基き、これを具現化し、以て国民の生存権を保障することを本法の目的とした点であります。

法案の冒頭にこのことが明らかにされております。即ち救貧法でなく、生活保障法の性格とされたものでございます。

従いまして、第2点は、保障せらるべき国民の最低生活とは、健康にして文化的なる最低生活でなくてはならない旨を明らかにした点であります。第3条はそれが示されてあります。

第3点は、国民は尽くこの法の保護が受けられる、即ち無差別平等の原則を掲げまして、旧法のごとき欠格条項は一掃いたしました。

一方保護世帯の実際に即応いたしまして、実情に即して保護が与えられまするよう法の運用に弾力性を持たせたのであります。これによつて従来保護の実施が画一的、形式的に流れておりました点が是正せられまして、今後は十分実情に即しての保護がなされるわけでございます。

第4点は、これらの保護を受けますることは、国民の権利でありまして、決して恩恵的、慈善的に与えられるものでないことを明記された点であります。第7条に、申請保護の原則を掲げ、第64条乃至69条で不服申立の制度を認めたのであります。

小山進次郎『改訂増補 生活保護法の解釈と運用(復刻版)』(1975年3月1日、社会福祉法人・全国社会福祉協議会) 66頁

旧生活保護法を全面改正し新生活保護法を制定するに当たり日本共産党のみが反対した。日本共産党を代表した衆院議員苅田氏は修正案を除く法案に全面的に反対した。この事実を当時自由党衆院議員で厚生委員会委員長だった青柳一郎氏は本会議で次のように報告した。

さらに日本共産党を代表して苅田委員よりは、第一、生活保護の基準が低く、本法案は欺瞞的である、第二、民生委員の活動を制限し、保護が官僚化する等の理由をもつて、修正案を除く本法案に全面的に反対する旨の意見が述べられたのであります。(小山進次郎『改訂増補 生活保護法の解釈と運用(復刻版)』(1975年3月1日、社会福祉法人・全国社会福祉協議会、64頁、官報号外昭25年4月23日衆議院会議録第40号1030及び1031頁)

構成

生活保護法第8条(基準及び程度の原則)は、保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うものとする、と規定し、保護の基準決定を厚生労働大臣裁量にした。

この経緯につき小山は編著で当時の国会での審議及び公聴会での意見を踏まえ以下のように述懐している。

(四)保護の基準を法文上明確に規定することができないとすれば、その決定に対し国民の声を反映させるために特別の審議会を設けよという意見が極めて強力に衆参両院から述べられた。両院の公聴会における意見にもこれに触れているものが多かつた。

この意見には傾聴に値するものがあつたが、厚生省当局側としては、保護の基準は飽く迄合理的な基礎資料によりて算定さるべく、その決定に当り政治的色彩の混入することは厳に避けらるべきこと、及び合理的な基礎資料は社会保障制度審議会の最低生活水準に関する調査研究の完了によつて得らるべきことを説明し、且つ、社会事業審議会に部会を設け実際の運用に当りその趣旨を生かすことを言明して了解を得た次第であるが、問題は残つているようである。小山進次郎『改訂増補 生活保護法の解釈と運用(復刻版)』(1975年3月1日、社会福祉法人・全国社会福祉協議会)168頁

  • 第3章 保護の種類及び範囲

生活保護法第15条(医療扶助)第6項は「移送」を定めている。これは被保護者が居宅から指定医療機関まで公共輸送機関を利用して通院などする際の費用を保護実施機関が認定し原則として現物給付する事を意味している。

局長通知は、原則として現物給付するものとする、と、明記しているが、現実には、被保護者が一端立て替えた上で、翌月の保護費支給日に補填する形で給付される。医療扶助移送の単価が高ければ最低生活を脅かすが保護実施機関は被保護者の苦境など考慮しない。

具体的には、下位法令である「生活保護法による医療扶助運営要領について(昭和36年9月30日社発第727号各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省社会局長通知)」第三医療扶助実施方式の中で詳細に給付方法を指示している。

9移送の給付(2)移送給付方針および移送費ア給付方針最低限度の移送を、原則として現物給付するものとし、その範囲は次によること。(ア)入院、転院、退院、通院、検診命令による受診又は外泊(病院長が精神疾患等入院患者の治療効果を判定するために、当該患者を一時外泊させてその病状の経過を観察することが適当であると認めた場合に限る。)に伴う移送のための交通費(付添、供血又は死体腎若しくは骨髄の移植を必要とする真にやむを得ない事情があるときは、付添人、供血者又は腎摘出若しくは骨髄採取のため派遣された医師についても認められること。)

9移送の給付(2)移送給付方針および移送費にはイ費用があり、最小限度の実費(弁当代または付添者の日当等を必要とする場合は、これらを含む。)の額とすること、と記載し、弁当代または付添人の日当等を認定給付してやれと指示している。




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