日本貨物鉄道 保有駅・施設

日本貨物鉄道

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/05 16:36 UTC 版)

保有駅・施設

2020年3月14日時点で、241のと37か所の自動車代行駅(オフレールステーションならびに新営業所)を保有している。大半の駅は旅客鉄道の旅客駅と共有しており、またおよそ半分の駅では定期貨物列車の設定が無い。

支社記事の「管内の駅」の節を参照のこと。

全国6か所の貨物駅構内に物流施設を保有しており、テナント1社専用のBTS型施設「エフ・プラザ」と複数企業が入居するマルチテナント型施設「レールゲート」を全国展開中である[19][20]。レールゲートでは、鉄道利用に応じ倉庫賃料を割引く制度の導入などが予定される。

また、貨物駅の廃止・縮小に伴う跡地に商業施設を開業させるなどした例もあり、飯田町駅小名木川駅の再開発がこれにあたる。

エフ・プラザ
レールゲート

ダイヤ

ダイヤ改正については3月に実施することが多く、他のJR各社に合わせて実施される。

車両

全国規模で貨物列車を運行しているため、貨物輸送用の機関車貨車電車を主に保有している。

2021年4月1日時点の車両の保有数は、電気機関車417両、ディーゼル機関車149両、貨物電車42両、貨車はコンテナ車が7,140両、その他が53両(荷主企業などが保有する私有貨車2,107両は含まず)である[1]

電気機関車は、全国に直流交流電化路線が混在するため、それに対応した直流電化路線専用、交流電化路線専用、交直流電化両用を保有している。北海道を中心とした非電化路線の多い地区ではディーゼル機関車を有する。また国鉄から継承された車両を中心に老朽化が進んでいるため、更新(リニューアル)工事と並行して、独自設計の新車への置き換えも進められている。

貨車は、コンテナ積載用を中心に汎用的な有蓋車、長物積載用などを所有する。近年は高速 (110 km/h) 運転対応貨車や、ISO規格コンテナ(海上輸送用コンテナ=俗称「海コン」)積載対応貨車の製造が進み、汎用有蓋車などは数を減らしている。

電車では、世界的にも珍しい動力分散方式の貨車であるM250系が在籍している。

車両ではないが、鉄道用コンテナの多くはJR貨物が保有している(「JR貨物のコンテナ形式」参照)。コンテナは61,398個(10,753個の荷主企業などの保有分を含まず)、トップリフターフォークリフトといった荷役機械は596台を保有する[1]

鉄道雑誌では、機関車の新車については他の鉄道事業者の車両と同様に紹介しているが、その他の車両の新製・廃車・転配などの消息については、2008年度以前まで他の鉄道事業者と同様に行っていた鉄道雑誌等への公表や資料提供を2009年度以降はしていない[注 6]。ただし例外的に鉄道貨物協会が発行する『貨物時刻表』には機関車については毎年3月時点での機関車配置表を掲載している(2014年以前は2月時点でのデータを公表していた)。このため、2009年度以降はJR旅客会社のみに所属している車両以外の機関車・貨車の形式消滅や廃区分番台の特定については、機関車は貨物時刻表からの機関車配置表から特定することで引き続き可能であるが、貨車については独自に調査する以外に方法はなく、貨車の形式消滅を特定することはJR旅客会社のみに所属している車両を除いて極めて困難な状況になっている[注 7]

現業機関

車両・乗務員基地

●は乗務員のみの配置、▲は運転士養成所であることを表す
支社 基地 略号
北海道支社 札幌機関区●  
札幌機関区帯広派出●  
札幌機関区旭川派出●  
苗穂車両所
五稜郭機関区
五稜郭機関区室蘭派出  
東北支社 青森総合鉄道部  
青森総合鉄道部盛岡派出  
秋田総合鉄道部●  
仙台総合鉄道部 仙貨
郡山総合鉄道部  
関東支社 黒磯機関区  
高崎機関区 ※「高機」から高の異体字に変更
隅田川機関区●  
隅田川機関区水戸派出●  
千葉機関区  
千葉機関区新小岩派出  
大井機関区 大井/貨東タミキク
中央研修センター
新鶴見機関区
新鶴見機関区川崎派出
新鶴見機関区甲府派出  
塩尻機関区  
塩尻機関区篠ノ井派出
東新潟機関区 東新
東新潟機関区南長岡派出  
東海支社 静岡総合鉄道部●  
愛知機関区
稲沢機関区  
関西支社 富山機関区 富山
敦賀機関区●  
吹田機関区
岡山機関区
広島機関区  
広島車両所
幡生機関区  
米子総合鉄道部●  
新南陽総合鉄道部●  
九州支社 門司機関区
門司機関区鹿児島派出  
福岡総合鉄道部●  
鳥栖総合鉄道部●  
大分総合鉄道部●  

廃止基地

支社 基地 略号
北海道支社 釧路機関区  
鷲別機関区
東北支社 盛岡機関区
長町機関区
関東支社 佐倉機関区
小山機関区  
田端機関区  
新小岩機関区  
品川機関区
八王子機関区  
関西支社 姫路機関区  
厚狭機関区
九州支社 直方機関区  

車両工場

支社 工場
北海道支社 苗穂車両所(JR北海道苗穂工場構内)
輪西車両所
関東支社 大宮車両所(JR東日本大宮総合車両センター構内)
川崎車両所
関西支社 広島車両所
九州支社 小倉車両所(JR九州小倉総合車両センター構内)

廃止工場

支社 工場
東北支社 郡山車両所(JR東日本郡山総合車両センター構内)
関東支社 新小岩車両所
東海支社 名古屋車両所(JR東海名古屋工場構内)

2023年の時点の車両所のうち、苗穂・大宮・小倉の各所は旅客会社の車両工場との併設であり、そのうち大宮は資産の所有関係が区分され、機関車検修に必要な機関車主棟等の主要施設をJR貨物が保有しているものの、苗穂・小倉は機関車等検修用の施設まで含めて資産は全て旅客会社の所有でJR貨物所有部分がなく(公表された平面図でJR貨物の区画と表示された部分も所有権はない)、検修に要する資産は旅客会社から借用する関係にある[24]。また、併設関係にある車両所の多くでは、電装品やエンジン等の検修機能は旅客会社の工場にあり、JR貨物は旅客会社にこれらの検修を委託する関係にあった[24]。過去には車両の検修全体を旅客会社の工場に委託する箇所もあった(JR東日本土崎工場・JR西日本鷹取工場・同松任工場等)[24]。施設を借用している箇所や委託検修箇所においては、旅客会社に関係のないJR貨物の新形式機関車に合わせた検修設備の刷新が困難であった[24]。このことから、新形式機関車では地上検査設備への依存を減らすため、車上自己検査機能の充実を図っており[24]、また新形式機関車の全般検査は、DF200HD300-500番台及びDB500を除きJR貨物が施設を保有する車両所が担当している[25]。DF200及びHD300-500番台も、苗穂車両所が全般検査を担当するが、エンジンや電装品の検修は所外で行われる(エンジンの一部機種は愛知機関区稲沢派出。その他の機種のエンジンと電装品は外部委託先)[26][27]。DB500は、製造メーカーの北陸重機工業に全般検査等を委託している[25]


注釈

  1. ^ かつては旧入江駅 - 新興駅間 (2.7 km) を営業キロに含み11.2kmとしていた。入江・新興両駅とも廃止されてからも暫くはキロ程は変更なく、平成28年度版『鉄道要覧』p.61には「鶴見, 新興駅, 桜木町 11.2」と記載。ただし、旧・入江駅 - 新興駅間の営業キロ設定は2019年中に廃止された模様であり、令和元年度版『鉄道要覧』p.61では「鶴見, 東高島, 桜木町 8.5」と記載されている。
  2. ^ 『鉄道要覧』では「伊勢鉄道線」と表記されている。
  3. ^ 南海電鉄分界点 - 和歌山市駅間は元々南海電気鉄道の「国社連絡線」だったが、国鉄分割民営化時に同区間の施設を丸ごとJR西日本に貸与した扱いとなり、JR西日本の第一種鉄道事業区間となっている。一方JR貨物は旧分界点までの免許となっていたため、分界点から和歌山市駅までは南海からJR貨物およびJR西日本に委託した配給列車扱いだった。
  4. ^ a b あくまで災害対応に伴う期間限定措置だった模様で、国土交通省監修の令和元年度版『鉄道要覧』には開業の旨も含めて記載されていない。
  5. ^ 当該区間の貨物営業については、同日より第一種鉄道事業者となった平成筑豊鉄道に継承され、2004年4月1日まで続けられた。
  6. ^ 例として、『鉄道ファン』(交友社)において毎年7月号で行っている特集「JR車両ファイル」、『JR気動車・客車編成表』(交通新聞社 ジェー・アール・アール)、『鉄道ピクトリアル増刊 鉄道車両年鑑』(電気車研究会)など。
  7. ^ なお、貨車のうちコンテナ車については、2018年度末をもって国鉄から承継した形式がすべて廃車となったことがJR貨物の安全報告書により判明しているほか、2020年までは毎年安全報告書において貨車の更新率を公表していた[22][23]。ただいずれにせよ、ごく一部の例外を除き形式ごとの状況が不明なことには変わりない。

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k 企業情報”. 日本貨物鉄道株式会社. 2021年11月1日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l 「JR7社14年のあゆみ」『交通新聞』交通新聞社、2001年4月2日、9面。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 日本貨物鉄道株式会社『第36期(2022年4月1日 - 2023年3月31日)有価証券報告書』(レポート)EDINET、2023年6月23日https://disclosure2.edinet-fsa.go.jp/WZEK0040.aspx?S100R2K4 
  4. ^ 日本貨物鉄道株式会社の情報 - 国税庁法人番号公表サイト
  5. ^ 日本貨物鉄道株式会社 定款 第1章第1条2項
  6. ^ 伊藤直彦(JR貨物会長)『鉄道貨物輸送の現状と課題』第44回 大阪税関行政懇談会 議事録要旨
  7. ^ 伊藤直彦「鉄道貨物輸送の現状と課題」『運輸政策研究』第10巻第4号、2008年、62頁、NAID 40015852350 
  8. ^ 「JR貨物、20年度輸送量過去最低に 民営化以降で」日本経済新聞ニュースサイト(2021年4月14日配信)2021年5月1日閲覧
  9. ^ 「JR年表」『JR気動車客車情報 89年版』ジェー・アール・アール、1989年8月1日、143頁。ISBN 4-88283-110-4 
  10. ^ 「JR年表」『JR気動車客車編成表 '97年版』ジェー・アール・アール、1997年7月1日、189頁。ISBN 4-88283-118-X 
  11. ^ a b 「JR年表」『JR気動車客車編成表 '00年版』ジェー・アール・アール、2000年7月1日、191頁。ISBN 4-88283-121-X 
  12. ^ a b 社歌の制定について』(PDF)(プレスリリース)日本貨物鉄道、2006年10月17日。 オリジナルの2016年3月4日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20160304194811/http://www.jrfreight.co.jp/common/pdf/news/200610-05.pdf2020年8月31日閲覧 
  13. ^ 北陸線 敦賀 - 敦賀港間の廃止について』(PDF)(プレスリリース)日本貨物鉄道、2018年12月18日https://www.jrfreight.co.jp/storage/upload/9fbbd1f22c06e1c29563cf57521b05cb.pdf2018年12月19日閲覧 
  14. ^ a b 電気車研究会『平成二十九年度 鉄道要覧』p.13
  15. ^ a b 電気車研究会『平成二十八年度 鉄道要覧』p.14
  16. ^ 電気車研究会『平成二十七年度 鉄道要覧』p.14
  17. ^ a b 佐藤正樹 (2018年8月25日). “山陽本線貨物列車の迂回運行は8月28日から…名古屋-福岡間で1往復 平成30年7月豪雨”. レスポンス (イード). https://response.jp/article/2018/08/25/313303.html 2018年8月26日閲覧。 
  18. ^ a b 電気車研究会『令和四年度 鉄道要覧』p.14、58-63
  19. ^ レールゲート - 日本貨物鉄道株式会社(2018年4月10日閲覧)。
  20. ^ 「駅内物流施設を全国展開/JR貨物 マルチテナント型」『日刊工業新聞』2018年4月5日(建設・エネルギー・生活面)
  21. ^ 「DPL札幌レールゲート」の新設について” (PDF). 日本貨物鉄道株式会社 (2020年4月15日). 2020年4月15日閲覧。
  22. ^ 「安全報告書2018」 - 日本貨物鉄道(2018年9月28日)、2022年7月22日閲覧
  23. ^ 「安全報告書2020」 - 日本貨物鉄道(2020年9月28日)、2022年7月22日閲覧
  24. ^ a b c d e 日本貨物鉄道株式会社広島車両所15年史編集実行委員会『広島車両所15年のあゆみ(五十五年史)』 1999年、pp.18-20・pp.39-46
  25. ^ a b レイルマガジン』No.455、ネコ・パブリッシング、2023年、p.81
  26. ^ 鉄道ダイヤ情報』2005年8月号(No.256)、交通新聞社、pp.10-11
  27. ^ 鉄道ジャーナル』2017年8月号(No.610)、鉄道ジャーナル社、p.28
  28. ^ 「NIKKEI 全国社歌コンテスト」での受賞のお知らせ』(PDF)(プレスリリース)日本貨物鉄道、2019年12月10日https://www.jrfreight.co.jp/storage/upload/98496ca6cea18c2cf15def5ac6a04a38.pdf2020年8月31日閲覧 
  29. ^ JR貨物グループ - 日本貨物鉄道






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