九段線
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権利争議
権利主張国
豊富な漁場や石油、天然ガス資源、重要な航路帯によって、ベトナム、フィリピン、インドネシア、ブルネイなどが中国及び台湾と対立し始め、南シナ海の領有権も主張している[13]。諸国は中国や台湾が一方的に設定した九段線及び十一段線を認めず[14]、国連海洋法条約に基づいて、それぞれ自国の領有権を主張している[15]。
中比仲裁裁判所判断
中国の九段線内側海域に対する歴史的権利の主張について、フィリピンは国連海洋法条約に基づきオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所に、その違法性を申し立てていた[16]。
2016年7月12日裁定が下り、仲裁裁判所は中国及び台湾の権利主張に「法的根拠がない」と判断した[2][3][5][17]。フィリピンの「人工島周辺には排他的経済水域はない」という主張が認められると同時に[5]、南沙諸島とスカボロー礁にある全てのリーフは、法的には排他的経済水域および大陸棚を生成しない「岩」と結論づけた[17]。十一段線を主張してきた中華民国(台湾)の蔡英文政権は「裁定は台湾の権利を傷つけるもの」と反発し、実効支配している太平島に軍艦を派遣しており[18][19]、判決文に「中国の台湾当局」という表現[20]があることについても中華民国立法院は抗議している。また、日本との紛糾を避けて7月に予定していた日台海洋協力対話を延期した[21]。フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領はかねてから「判決の結果は誇示しない」意向を示していたため[22]、「戦争という選択肢はない」[23]として中国と二国間協議を開始すべくフィデル・ラモス元大統領を特使として訪中させると発表し[24]、判決を不服とする中国側もこれを歓迎し[25]、ラモス元大統領も受諾を表明した[26]。ドゥテルテ大統領は就任後初の施政方針演説で南シナ海を「西フィリピン海」と呼ぶ一方、「中国海としても知られている」とするなど中国への配慮を打ち出した[27]。同年10月20日、ドゥテルテ大統領と習近平中国国家主席(総書記)は判決を棚上げして各方面の協力で合意した[28]。合意によりフィリピン漁民の操業が再開され[29]、フィリピン領となる人工島の建設を中国が開始した[30]。2021年5月5日、南シナ海の領有権を巡る中国の主張を否定した南シナ海判決についてドゥテルテ大統領は、「ただの紙切れにすぎない」「(判決は)役に立たない。ゴミ箱に捨てよう」と述べ、中国政府と同様の言い回しで判決を否定した[31]。
- ^ a b 福島香織 (2012年12月5日). “中国の「俺様地図」にビザスタンプを押していいか”. 日経ビジネス (日経BP) 2017年8月5日閲覧。
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- ^ “中国主張の南シナ海境界線「根拠無い」 仲裁裁判所判決”. 『朝日新聞』 (朝日新聞社) 2016年7月13日閲覧。
- ^ a b c “南シナ海 国際仲裁裁判 中国に厳しい内容に”. NHKニュースWEB (日本放送協会) 2016年7月13日閲覧。
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- ^ “「南沙諸島」の領有権を中国が主張する理由”. Foresight. 新潮社 (2015年6月4日). 2015年7月13日閲覧。
- ^ 竹内孝之. “南シナ海と尖閣諸島をめぐる馬英九政権の動き”. JETRO. 2015年9月15日閲覧。 “台湾に移転したのちの「中華民国」も、今日に至るまで「十一段線」の主張を堅持している。”
- ^ 南シナ海の安全保障と戦略環境
- ^ 中国と周辺国家の海上国境問題
- ^ ベトナム語のHoàngは「黄」の語義を持つことに留意。
- ^ ベトナム語のTrườngは「長」の語義を持つことに留意。
- ^ 南シナ海問題をめぐるASEAN諸国の対立
- ^ アジアに回帰する米国
- ^ ベトナム過熱「中国提訴を」南シナ海領有権めぐり、フィリピンに同調 MSN Archived 2013年4月11日, at the Wayback Machine.
- ^ “フィリピン、領有権問題で中国に立ち向かう すご腕の米法律家雇い国際機関に提訴” (2013年10月17日). 2016年7月14日閲覧。
- ^ a b "all of the high-tide features in the Spratly Islands (including, for example, Itu Aba, Thitu, West York Island, Spratly Island, North-East Cay, South-West Cay) are legally “rocks” that do not generate an exclusive economic zone or continental shelf." “THE SOUTH CHINA SEA ARBITRATION(中比南シナ海仲裁)p.10”. 常設仲裁裁判所 (2016年7月12日). 2016年7月14日閲覧。
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- ^ “仲裁裁判決、「一切認めない」立法院が抗議声明/台湾”. 中央通訊社. (2016年7月16日) 2016年7月17日閲覧。
- ^ “台湾側が日台海洋協力対話を延期、島めぐり対話紛糾避けたか”. 『産経新聞』. (2016年7月26日) 2016年7月26日閲覧。
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- ^ “【緊迫・南シナ海】ドゥテルテ大統領が仲裁裁定を支持 中国への刺激避け、言及はわずか30秒”. 『産経新聞]』 (2016年7月26日). 2016年7月26日閲覧。
- ^ “仲裁判決棚上げ合意 南シナ海、対話再開 ”. 毎日新聞 (2016年10月20日). 2016年11月1日閲覧。
- ^ “比漁民に「適切な措置」=スカボロー礁で操業容認-中国 ”. 時事通信 (2016年10月31日). 2016年11月1日閲覧。
- ^ “中国が、南シナ海にフィリピン領の人工島を造成 ”. ParsToday (2016年10月27日). 2016年11月1日閲覧。
- ^ “南シナ海領有権巡る判決は「ただの紙切れ」…ドゥテルテ氏、中国との緊張緩和狙いか”. 読売新聞. (2021年5月6日). オリジナルの2021年5月7日時点におけるアーカイブ。
- ^ 「軍艦、兵士、戦闘機を派遣 ナトゥナ諸島付近 インドネシア、中国船に対抗」『じゃかるた新聞』2020年1月8日(2020年7月15日閲覧)
- ^ 南シナ海巡る中国主張、米が公式に否定 「完全に違法」日本経済新聞ニュースサイト(2020年7月14日)2020年7月15日閲覧
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