九二式普通実包
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/24 22:42 UTC 版)
薬莢の無起縁化
1940年(昭和15年)2月、弾薬統制のため、半起縁式であった九二式実包の薬莢が無起縁式へと変更され、九七式実包と変わらなくなった(これに伴い九七式実包の名称が九二式実包へと変更された)[9]。新製品である無起縁式の九二式実包は、九二式重機関銃の他、九七式車載重機関銃、九九式軽機関銃、九九式小銃等にも使用できたが、旧製品である半起縁式の九二式実包は、九二式重機関銃以外では使用できなかった[3]。
当初は、新製品である無起縁式の九二式実包に対する専用の標識が存在していたが、1941年(昭和16年)3月頃には、旧製品である半起縁式の九二式実包に対して、紙函および運搬箱に「有起縁」を意味する「(○の中に)有」と標識し、かつ雷管外底面の全周に青色塗料(セラックワニス混和)を塗抹する様、関係各所に通牒された[11]。
なお、航空機関銃で使用する九二式実包は、1937年(昭和12年)に野戦弾薬から航空弾薬へと制式区分を変更されていた[12]ことから弾薬統制の対象とはならず、半起縁式のままであった。
鉄製薬莢
黄銅の不足から鉄製の薬莢が作られた。黄銅に比べ、薬室から空薬莢を抜き出す際の抽筒機能が悪化し、装薬を0.15g減らした。また鉄薬莢は黄銅に比べ錆びやすく、これも抜き出し難さにつながった[13]。
生産数
1933年(昭和8年)度から1939年(昭和14年)度までの累計で以下の数量が生産された[14]。
- 九二式普通実包 4億6,519万発。
- 九二式徹甲実包 6,945万発。
- 空包ほか 5,602万発。
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- ^ 陸軍技術本部『九二式重機関銃弾薬中改正の件』
- ^ 陸軍技術本部『九二式重機関銃弾薬九二式並通実包仮制式制定の件』
- ^ a b c 『実包の概説』
- ^ 陸軍技術本部『九二式重機関銃弾薬九二式徹甲実包及同空包仮制式制定の件』
- ^ 陸軍技術本部『九二式重機関銃並八九式旋回八九式固定機関銃弾薬九二式焼夷実包仮制式制定の件』
- ^ 陸軍軍需審議会『弾薬統制要領規程の件』
- ^ a b 陸軍技術本部『九二式重機関銃弾薬仮制式制定の件』
- ^ 佐山二郎『小銃 拳銃 機関銃入門』406頁。
- ^ a b 陸軍技術本部『九二式重機関銃外1点弾薬中改正の件』
- ^ 陸軍技術本部『八九式旋回八九式固定機関銃弾薬九二式徹甲実包仮制式制定並同弾薬図中修正の件』
- ^ 陸軍省『支那事変軍需動員実施の概況並に意見(昭和16年3月分) 陸軍兵器本部/其7 技術関係事項』
- ^ 陸軍航空本部『航空兵器に区分変更せるものの陸軍兵器図並兵器細目名称表中改正の件』
- ^ 佐山二郎『小銃 拳銃 機関銃入門』409頁。
- ^ 佐山二郎『小銃 拳銃 機関銃入門』444~445頁。
- 1 九二式普通実包とは
- 2 九二式普通実包の概要
- 3 薬莢の無起縁化
- 4 参考文献
固有名詞の分類
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