ユズリハ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/12 05:32 UTC 版)
分布と生育環境
日本の関東・東海地方以西の本州、四国、九州、沖縄と[7]、韓国、中国中部まで自然分布する。日本の植栽可能地域では、東北地方南部より沖縄の地域となる[7]。主に暖地の山地に自生する[6]。
形態・生態
常緑広葉樹[7]。高木の中でも中高木に分類され[6]、高さは10メートル (m) ほどになる。常緑樹でありながら、春に古い葉が落ちて新しい葉と入れ替わる[6]。葉は互生して、枝先にらせん状について、葉身は垂れ下がる[7]。葉身には光沢があり[6]、長さは8 - 20センチメートル (cm) ほどの長楕円形から倒被針形で、先端は短く尖り、基部はくさび形[7]。葉柄は赤紫色を帯び、大きな特徴にもなっている[7][6]。
花期は4 - 5月、葉腋から長さ4 - 8 cmの総状花序を出して、花被がない小さな花を多数つける[7]。雌雄異株で、雄花・雌花とも花色は黄緑色をしている[7]。果実は10月から11月に熟し、黒褐色になる。
若い果実
ダフニフィリン、ダフニマクリン、ユズリミン、ダフェニリンなどの複雑な骨格構造のアルカロイド(ユズリハアルカロイド)を多数含み、家畜が誤食すると中毒の原因となる[8]。さらに、ユズリハアルカロイドはその構造から全合成の対象としてよく取り上げられる[9]。
人間との関わり
ユズリハは、新しい葉が古い葉と入れ替わるように出てくる性質から「親が子を育てて家が代々続いていく」ことを連想させる縁起木とされ、正月の鏡餅飾りや庭木に使われる[10][11]。また、家紋も同様の由来で使用家は桓武平氏良文流千葉支流の原氏、出自不詳の城本氏が使用した[12]。
防火の機能を有する樹種(防火樹)としても知られる[13]。
- ^ "Daphniphyllum macropodum Miq". Germplasm Resources Information Network (GRIN). Agricultural Research Service (ARS), United States Department of Agriculture (USDA). 2012年8月20日閲覧。 (英語)
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Daphniphyllum macropodum Miq. subsp. macropodum” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年6月11日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Daphniphyllum himalaense (Benth.) Müll.Arg. subsp. macropodum (Miq.) T.C.Huang” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年6月11日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Daphniphyllum membranaceum Hayata” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年6月11日閲覧。
- ^ 米倉浩司; 梶田忠 (2003-). “BG Plants簡易検索結果表示”. 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList). 千葉大学. 2014年1月27日閲覧。
- ^ a b c d e f g h 正木覚 2012, p. 110.
- ^ a b c d e f g h i 山﨑誠子 2019, p. 94.
- ^ 農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究所 (2008年2月4日). “ユズリハ”. 写真で見る家畜の有毒植物と中毒. 2014年1月27日閲覧。
- ^ 有機化学美術館 (2013年7月25日). “【全合成】Total synthesis of the Daphniphyllum alkaloid daphenylline”. ChemASAP. ライブドアブログ. 2014年1月27日閲覧。
- ^ a b c d 山本規詔 2017, p. 57.
- ^ 山﨑誠子 2019, p. 95.
- ^ 「家紋と家系辞典」講談社
- ^ 藤山宏『プロが教える住宅の植栽』学芸出版社、2010年、9頁。
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