ユズリハ 栽培

ユズリハ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/13 21:05 UTC 版)

栽培

日陰か斑に影を好む性質で、根は深く張り、土壌は砂土はよく乾燥にも強い。生育の速度は遅い方で、若木のうちは剪定の必要もほとんどない[15]。植え付けは6月中旬から7月中旬、剪定は6月下旬から11月下旬に行うものとされる[7]。ただし、刈り込みには弱いため、枝を軽く成形する程度に留めることとされる[7]。木が大きくなったら、混み合う枝を間引きするようにし、切り戻しの際は枝の分かれ目で行うようにする[15]

大きく目立つ葉は観賞用にもされ、白い斑入りが入る‘白覆輪ユズリハ’のほか、黄覆輪や黄中斑などの園芸品種があり、斑色の濃淡でいくつかの系統がある[15]

文化

「譲り葉」の縁起を担いで正月飾りに用いられるが、これには歳を譲るという意味もある[12]

ユズリハに乗った年神(正月様)の降臨を歌った童謡は日本各地で見られる[19]。ユズリハが年神の乗り物になった理由は、祖霊は次々と代を譲って新しい命へ生を繋げていくように、春になるとユズリハの新葉が芽吹くと、あたかも古葉が代を受け継ぐように落葉する様子を見て、後世の人々がそのユズリハの落ち葉に乗って祖霊は天上界へ昇ったと考えた[19]。祖霊が帰るときも同じ乗り物の帰ってくるだろうと想像したので、門松にユズリハを結んで帰るべき家の目印とした[19]。また、常緑樹(常磐木)であることや、葉柄の赤い色が呪力があると信じられたことも、ユズリハが正月と結びついている理由である[8]

地方名の「ツルノハ」は「弦の葉」から「鶴の葉」へと変化し、鶴は千年の長寿をもつおめでたい鳥とされていることから、ユズリハもめでたい葉となった[8]

花言葉は「若返り」である[8]

ユズリハ属

ユズリハ属(ユズリハぞく、学名: Daphniphyllum)は、ユズリハ科で唯一のである[11]東アジア温帯から東南アジアインドに分布し、35からなる。


  1. ^ "Daphniphyllum macropodum Miq". Germplasm Resources Information Network (GRIN). Agricultural Research Service (ARS), United States Department of Agriculture (USDA). 2012年8月20日閲覧 (英語)
  2. ^ a b c 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Daphniphyllum macropodum Miq. subsp. macropodum ユズリハ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年6月14日閲覧。
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Daphniphyllum himalaense (Benth.) Müll.Arg. subsp. macropodum (Miq.) T.C.Huang ユズリハ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年6月14日閲覧。
  4. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Daphniphyllum membranaceum Hayata ユズリハ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年6月14日閲覧。
  5. ^ 米倉浩司; 梶田忠 (2003-). “BG Plants簡易検索結果表示”. 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList). 千葉大学. 2014年1月27日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h i j k 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 216.
  7. ^ a b c d e f g h 正木覚 2012, p. 110.
  8. ^ a b c d e f g h i j 田中潔 2011, p. 13.
  9. ^ a b c d e f g h i 山﨑誠子 2019, p. 94.
  10. ^ a b c d e f 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 129.
  11. ^ a b c 辻井達一 2006, p. 112.
  12. ^ a b c d 辻井達一 2006, p. 114.
  13. ^ 農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究所 (2008年2月4日). “ユズリハ”. 写真で見る家畜の有毒植物と中毒. 2014年1月27日閲覧。
  14. ^ 有機化学美術館 (2013年7月25日). “【全合成】Total synthesis of the Daphniphyllum alkaloid daphenylline”. ChemASAP. ライブドアブログ. 2014年1月27日閲覧。
  15. ^ a b c d 山本規詔 2017, p. 57.
  16. ^ 山﨑誠子 2019, p. 95.
  17. ^ 「家紋と家系辞典」講談社
  18. ^ 藤山宏『プロが教える住宅の植栽』学芸出版社、2010年、9頁。 
  19. ^ a b c 田中潔 2011, p. 12.
  20. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Daphniphyllum glaucescens Blume subsp. oldhamii (Hemsl.) T.C.Huang var. lanyuense T.C.Huang”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年6月14日閲覧。
  21. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Daphniphyllum macropodum Miq. subsp. macropodum f. viridipes (Nakai) Ohwi アオジクユズリハ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年6月14日閲覧。
  22. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Daphniphyllum macropodum Miq. f. variegatum (Bean) Rehder フイリユズリハ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年6月14日閲覧。
  23. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Daphniphyllum teijsmannii Zoll. ex Kurz ヒメユズリハ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年6月14日閲覧。
  24. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Daphniphyllum teijsmannii Zoll. ex Kurz var. oldhamii (Hemsl.) Hurus. シマユズリハ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年6月14日閲覧。





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