トリアシルグリセロール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/20 10:20 UTC 版)
構造と物理化学的性質
グリセロール(グリセリン)に結合する脂肪酸の部分は、置換基としてはアシル基である。したがって、トリ・アシル・グリセロール=3分子・脂肪酸・グリセロールという意味となる。アシル基となる脂肪酸の種類は極めて多いが、それらアシル基の組み合わせ、グリセロールへの結合位置によってさまざまなトリアシルグリセロール分子種が生ずる。脂肪酸が n 種あるとすれば、理論的にはおよそ n3/2 種類(グリセロールの1位と3位は対称だから)のトリアシルグリセロール分子種が存在すると考えてよい。個々のトリアシルグリセロール分子種は以下の例のように呼ばれて区別される。
- パルミチン酸が3分子結合した分子種
- トリパルミチン、CAS登録番号は555-44-2。パルミチン酸(Palmitic acid)は、略してPと表示できるので、簡単にPPPとも書く。
- パルミチン酸が1分子、オレイン酸が2分子結合した分子種
- グリセロールへの結合位置によって、1-パルミトイル-2,3-ジオレオイルグリセロール (POO)、1,3-ジオレオイル-2-パルミトイルグリセロール (OPO) などと表示する。オレイン酸 (Oleic acid) は略してOと示す。
- パルミトレイン酸、ステアリン酸、リノール酸がそれぞれ1分子ずつ結合した分子種
- 前述と同様に、1-パルミトオレオイル-2-ステアロイル-3-リノレオイルグリセロール (PoSL)、1-リノレオイル-2-パルミトオレオイル-3-ステアロイルグリセロールなどと表示する。パルミトレイン酸 (Palmitoleic acid)、ステアリン酸 (Stearic acid)、リノール酸 (Linoleic acid) はそれぞれPo、S、Lと略される。
トリアシルグリセロール分子種には立体位置異性体が存在し、2 や 3 の例のように、同じ脂肪酸で構成される分子種であっても POO - OPO - OOP、PoSL - PoLS - SPoL - SLPo - LPoS - LSPo はそれぞれ異なる分子種となる。結合位置が不明な場合(どの異性体か不明な場合)は、POO、PoSL というように脂肪酸の炭素数が小さい順に、二重結合の少ない順に表示することが多い。LPoS というようにアルファベット順に示す場合もある。
個々の脂肪酸は二重結合の有無(不飽和度)によって融点が異なるが、この不飽和度によってトリアシルグリセロールの性質が大きく異なる。不飽和脂肪酸の多いトリアシルグリセロールは室温 (25 °C) で油状の液体だが、飽和脂肪酸の多いトリアシルグリセロールは固体となる。オリーブ油やサフラワー油などは前者に、ココナッツ油やパーム核油は後者に当たる。またトリアシルグリセロールは一般に有機溶媒によく溶けるが、ステアリン酸のような長鎖の飽和脂肪酸が多くなると、アルコール、石油エーテル、ジエチルエーテルなどにも難溶になる。
- ^ a b c d e f Blood Test Results - Normal Ranges Bloodbook.Com
- ^ a b Adëeva Nutritionals Canada > Optimal blood test values Archived 2009年5月29日, at the Wayback Machine. Retrieved on July 9, 2009
- ^ a b c d e f Derived from values in mg/dl to mmol/l, by dividing by 89, according to faqs.org: What are mg/dl and mmol/l? How to convert? Glucose? Cholesterol? Last Update July 21, 2009. Retrieved on July 21, 2009
- 1 トリアシルグリセロールとは
- 2 トリアシルグリセロールの概要
- 3 構造と物理化学的性質
- 4 健康への影響
トリアシルグリセロールと同じ種類の言葉
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