シンガポールの軍事
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/11 07:15 UTC 版)
概説
シンガポールは、マラッカ海峡を臨む地政学的に重要な位置にあることや、経済力が強く、小規模ながら近代的な軍隊を所有している。シンガポールは小さな島国のため、その繁栄は東南アジアにおける金融や貿易・ビジネスの拠点であることに依拠し、近隣アジア諸国や欧米などとの幅広い協力関係づくりを安全保障の基礎としている。
1965年の独立後に伴い、シンガポール軍が創設された。イギリス軍も駐留していたが、イギリス軍主力は1971年12月に撤退した。人員については2万人の職業軍人のほか、2年間の徴兵制を実施し必要兵力を満たしている。徴募兵の数は5万5千人に達し、兵役終了後も10年間の予備役につく。[1]この予備役人員数も約31万人に達している。
徴兵は17歳の時に行われ、進学の場合を除き延期は認められていない。ただし、シンガポールの徴兵はナショナル・サービスとして、軍以外の公共機関にも配属されるものである。予備役兵は普段は民間人であるものの、年間最大で40日間召集され、訓練および任務を実施する。
安全保障
シンガポールは1965年に独立し、1971年にイギリス・オーストラリア・ニュージーランド・マレーシアと5か国防衛取極を締結した。1968年1月にイギリスがスエズ以東からの撤退を決定したのに伴い、マレー半島における安全保障を維持するために取極が締結された。これにより、有事の際にはとるべき措置を決定するために直ちに協議することが義務付けられている。シンガポールは基地の提供などを行っている[2]。
シンガポール軍は隣国インドネシア・マレーシアを始めとするASEAN諸国およびアメリカ・イギリス・オーストラリア・ニュージーランド・台湾・インドで共同訓練を実施している。アメリカ軍は、1990年に締結された覚書に基づき、Paya Lebar空軍基地とSembawang桟橋の利用権を持っている。1999年にこれは一部改定され、2001年より稼動するチャンギ海軍基地も含まれるようになった。そして、台湾は国内の軍事施設を常時シンガポール軍に貸している。また、中国とは2009年・2010年・2014年・2015年に共同軍事演習を行っている[3][4]。
2017年5月15日には、シンガポール海軍創立50周年を記念し、44カ国の軍艦46隻による観艦式を挙行[5]。日本の海上自衛隊からは護衛艦「いずも」「さざなみ」が参加した。
軍事機構
シンガポール軍(Singapore Armed Forces, SAF)は、陸海空の三軍からなる。
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- ^ 『シンガポールを知るための65章』明石書店。
- ^ 篠崎, 正郎 『引き留められた帝国―戦後イギリス対外政策におけるヨーロッパ域外関与、1968~82年』吉田書店、2019年。ISBN 978-4905497837。
- ^ 『漢和防務評論』2015年5月4日付
- ^ 中国とシンガポール、初の海上合同演習を終了 中国網 日本語
- ^ “シンガポール、初の国際観艦式 米中ロなど参加”. 日本経済新聞電子版2017年5月15日. 2017年5月17日閲覧。
- 1 シンガポールの軍事とは
- 2 シンガポールの軍事の概要
- 3 新兵の訓練
固有名詞の分類
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