アカシア
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/23 21:10 UTC 版)
アカシア属 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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ギンヨウアカシア (Acacia baileyana) の花
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分類(APG III) | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Acacia Mill. | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
アカシア | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
acacia |
分類
アカシア属の分類には次のような変遷がある。まずKewscience [2]によれば、「アカシア・ニロティカ」(当時、Acacia nilotica)は、3500年以上前のエジプト王朝時代に薬として使われていた。西暦40年から90年に、ギリシャ人医師で植物学の父と呼ばれているペダニウス・ディオスコリデスは、医薬物についての本の中で、葉や果実のさやからの抽出物の調製についての記述をしており、アカシア属に由来するものを「akakia」と呼んだ。1754年、アフリカとアメリカの種を記述している24の論文の中で、アカシア(Acacia)はフィリップ・ミラーによって正式に用いられた[3]。しかしながら、アカシア属についての概念が広すぎたので、アカシア属として受け入れなかった。また、フィリップ・ミラー以前に、アカシア属の名前は、リンネ以前の文献で広く使われていた。[4]1753年、リンネは39の種類をミモサ属に入れ、これらの内2種をMimosa scorpioidesとMimosa niloticaとした。これらの分類は、現在ではアカシアに変えられ、その中のMimosa scorpioidesが今のAcacia niloticaだと考えられている [5]。
アカシア属はおよそ1350種が世界中に分布しており、そのうちおよそ1000種類がオーストラリアに分布している [6]。ところが形態学的および生化学的性質に基づき、1986年にPedley(en:Leslie_Pedley)によって、アカシア(Acacia)属161種、セネガリア(Senegalia)属231種、ラコスペルマ(Racosperma)属960種に分けられると提案された [7]。しかしこの提案は、アカシア・ニロティカが最も小さなAcacia属に属しているが、アカシア・ニロティカはアフリカ原産であるだけではなく、アカシア属として初めて名付けられたので、南アフリカは、アカシア属の名前は、アカシア・ニロティカを含んだものにすべきだと信じた。この見解に対して、960種類のラコスペルマ属Racospermaとして提案された多くの種はオーストラリアに見られるが、2003年、オーストラリアとしては、アカシアはオーストラリアのシンボルであるため、オーストラリアのアカシアはラコスペルマ属ではなくアカシア属であると信じた[8][9](ゴールデン・ワトル (A. pycnantha)はオーストラリアの国花である)。
そのオーストラリアの提案は2005年の第17回国際植物学会議で認められた。しかし、その後もオーストラリアとアフリカの論争は継続された。そこで、2011年の第18回国際植物学会議でこの問題を解決するために、8人の分類学の権威者がアカシア属の再命名について実用的な面からの見解を示した。最終的に、アカシア属をオーストラリアの種(=「ラコスペルマ属」)のみに使うということが第18回国際植物学会議で承認され、この論争の決着となった [10]。
その会議に続いて、南アフリカの研究者は140種類の南アフリカの種を含めたアカシア属についての詳細な形態学的DNA解析を用いての系統学的研究を行い、この研究の結果からアフリカの樹種については、セネガリア(Senegalia)属とヴァケリア(Vachellia)属に分類された。その結果、アカシア・ニロティカ(Acacia nilotica)はヴァケリア・ニロティカ(Vachellia nilotica)になった [11]。しかし、古くからアカシアを利用してきたアフリカ諸国では、この変更を認めずに今もアカシアの名を用いている[12]。
特徴
アカシア属は約1000種が熱帯から温帯にかけて、特にオーストラリア大陸、アフリカ大陸に多数の種が分布する。その多くは非常に深く主根を伸ばすため、年間を通してほとんど降水が無い砂漠に自生する。
多くは羽状複葉だが、ソウシジュ(A. confusa)、コア(A. koa)A. mangiumなどの一部の種は葉の代わりに葉柄が変化した偽葉となっている。
日本においては、明治時代に輸入されたニセアカシアを当時アカシアと称していたことから現在でも混同される。たとえば「アカシアはちみつ」として販売されている蜂蜜はニセアカシアの蜜である。また、花卉栽培されるフサアカシアなどがミモザと呼ばれるが、本来ミモザはオジギソウを指す言葉である。 街路樹などからアカシアの名を冠した地名や通りも、実際に植えられている樹種はニセアカシアであることが多い[13][14]。
- ^ クロンキスト体系ではネムノキ科とする。
- ^ Kewscience. Plants of the World online (/). Available online: 「http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:77089275-1.」
- ^ Miller, P. The Gardeners Dictionary, 4th ed.London, UK, 1754.
- ^ Ross, J.H. A survey of some of the pre-Linnean history of the genus Acacia. Bothalia 1980, 13, 95–110.
- ^ Orchard, A.E.; Maslin, B.R. Proposal to conserve the name Acacia (Leguminosae: Mimosoideae) with a newtype. Taxan 2003, 52, 362–363.
- ^ Wattles-genus Acacia. Available online: http://www.anbg.gov.au/Acacia/.
- ^ Pedley, L. Derivation and dispersal of Acacia (Leguminosae), with particular reference to Australia, and the recognition of Senegalia and Racosperma. Bot. J. Linn. Soc. 1986, 92, 219–254.
- ^ Orchard, A.E.; Maslin, B.R. Proposal to conserve the name Acacia (Leguminosae: Mimosoideae) with a new type. Taxan 2003, 52, 362–363.
- ^ Maslin, B.R.; Orchard, A.E.; West, J.G. Nomenclatural and classification history of Acacia (Leguminosae: Momosaoideae), and the implications of generic subdivision. Available online: [1]
- ^ Thiel, K.R.; Funk, V.A.; Iwatsuki, K.; Morat, P.; Peng, C.-I.; Raven, P.H.; Sarukhán, J.; Seberg, O. The controversy over the retypification of Acacia Mill. with an Australian type: A pragmatic view. Taxon 2011, 60, 194–198.
- ^ Kyalangalilwa, B.; Boatwright, J.S.; Daru, B.H.; Maurin, O.; Van der Bank, M. Phylogenetic position and revised classification of Acacia s.l. (Fabaceae: Mimosoideae) in Africa, including new combinations inVachellia and Senegalia. Bot. J. Linn. Soc. 2013. M
- ^ Australia or Africa? The botanical controversy over who can call their plants 'Acacia', ABC News, Sun 20 Jun 2021
- ^ “あかしあ通りの街路樹の見直しについて”. 小平市 (2017年12月12日). 2023年8月23日閲覧。
- ^ “北1条通りのアカシア並木”. 札幌市文化財データベース. 2023年8月23日閲覧。
- ^ [2]
- ^ Roux, D.G. Study of the affinity of black wattle extract constituents. Part I. Affinity of polyphenols for swollen collagen and cellulose in water. J. Soc. Leather Trades’ Chem. 39, 80–91, 1955.
- ^ Ogawa, S.; Matsuo, Y.; Tanaka, T.; Yazaki, Y. Utilization of Flavonoid Compounds from Bark and Wood. Ⅲ. Application in Health Foods. molecules 23, 1860, 2018. Utilization of Flavonoid Compounds from Bark and Wood. III. Application in Health Foods
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