もやもや病
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 01:18 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動もやもや病のデータ | |
ICD-10 | I675 |
統計 | 出典:WHO |
世界の患者数 | |
日本の患者数 | 15,177人 (2012年)[1] |
○○学会 | |
日本 | 日本脳神経外科学会 |
世界 | アジア脳神経外科学会 |
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もやもや病 | |
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分類および外部参照情報 | |
診療科・ 学術分野 | 循環器学 |
ICD-10 | I67.5 |
ICD-9-CM | 437.5 |
OMIM | 252350 |
DiseasesDB | 8384 |
eMedicine | neuro/616 |
Patient UK | もやもや病 |
MeSH | D009072 |
KEGG 疾患 | H01396 |
2002年度(平成14年度)まではウィリス動脈輪閉塞症(ウィリスどうみゃくりんへいそくしょう)が日本における正式な疾患呼称だった。
定義
もやもや病の本質的な病態は、内頸動脈終末部の進行性狭窄・閉塞である。もやもや血管は主幹動脈の閉塞により代償的に穿通枝などが異常に拡張した側副血行路である。診断基準によれば脳血管造影で以下の所見を呈するものをいう。
医学上の定義と社会福祉制度上もしくは運用上の定義は、2014年時点の日本国では、必ずしも一致していない。もやもや病の症状を確認できた場合でも、動脈硬化が原因と考えられる内頚動脈閉塞性病変、自己免疫性疾患、髄膜炎、脳腫瘍、ダウン症候群、フォンレックリングハウゼン病、頭部外傷、頭部放射線照射の既往、その他のもやもや病以外の原因が特定される脳血管病変がある場合は、難病認定から除外されることがある[1]。 第2次安倍内閣施政下の2014年5月20日、小西洋之は参議院厚生労働委員会で、「もやもや病の小児患者が投薬治療などを受けているときに投薬などが原因で難病を発症した場合、難病の助成対象にならないことが懸念されている。難病は難病であって当然制度の対象にならなければおかしい」と質した。これに対し政府委員の佐藤利信(当時厚労省健康局長)は、「現時点では原因が特定できる患者については制度救済対象にならない。難病対策は発症メカニズムが明らかでないときに医療費助成と一体となった研究をすることを目的としている」と答弁した[3]。
症状・病態
無症状で偶然発見されるものから固定制神経症状を起こすものまで、症状は軽重多岐にわたる[1]。脳の動脈に狭窄があると、当該血管支配領域の脳は血液不足(虚血)に陥る。そこで代償的に新たな血管(もやもや血管)が構築される。しかしこれらの血管は細く、脳虚血・または脳出血に起因する種々の発作の原因となる。
虚血の発作は過換気(過呼吸)が原因で起こる。過換気状態になると血液中の二酸化炭素分圧が低下する。二酸化炭素は血管を拡張させる働きがあるので、これが減少すると血管が収縮する。すると、元々細い異常血管網(もやもや血管)はさらに収縮を起こして脳に送るべき酸素の供給が不足する状態になる。こうして失神や脱力発作が起こる。典型的な過換気状態は、熱い蕎麦やラーメンなどを冷ます「吹き冷まし」行為や、啼泣、リコーダーやピアニカなどの吹奏楽器演奏時など、必要以上の呼吸を伴う動作で発生する。また、成人発症例では動脈硬化が関与して狭窄を引き起こすものと考えられている。
一方出血の発作は、脳の血液需要に応じるための大量の血液を送る血管(もやもや血管)が細いために破綻するものと考えられている。成人発症例に多い。
出血箇所が悪い場合、致命傷となる。また、成人に近い成長期に出血すると脳全体に脳浮腫(加速的な腫れ)を発症し、多くの場合、助からない。最も留意すべきは補助的に作られた即席・もやもや血管は壁が薄く破れやすい所にある。本疾患は原則両側性に起こるが、その程度は様々である。一方の内頸動脈の狭窄は重度であるがもう一方は極めて軽度であるということもある。
小児例では脳虚血症状が大半を占め、成人例には頭蓋内出血をきたす例が30-40%みられる[1]。以下、初発症状で多いものを示す。
小児例
成人例
注釈
- ^ 英語発音: [(ˈ)mɔɪəˈmɔɪə dɪˌziːz] モヤモヤ(モィヤモィヤ)・ディズィーズ
- ^ 1966年(昭和41年)第25回日本脳神経外科学会会長。生年:1911年(明治44年)、没年:1991年(平成3年)。
- ^ 1974年(昭和49年)第33回日本脳神経外科学会会長。生年:1924年(大正13年)、没年:1990年(平成2年)。
- ^ この年、シンガーソングライターの徳永英明が当疾患に罹患したことが報じられた。
出典
- ^ a b c d e f g h i j k l m n 厚生労働省 (2015-05-15) (PDF). 特定疾患概要、診断基準等 22 もやもや病 (Report) 2016年12月6日閲覧。.
- ^ Moyamoya disease (Cambridge Dictionaries Online)
- ^ 参議院事務局 (2014-05-20). “第186回国会参議院厚生労働委員会会議録第15号” (PDF). 参議院厚生労働委員会. 東京都: 参議院. p. 13 2016年12月5日閲覧。
- ^ もやもや病感受性遺伝子の特定とその機能についての発見(京都大学 2011年7月21日)
- ^ “もやもや病の責任遺伝子が脂肪代謝の制御因子であったことを発見”. 京都産業大学. 京都産業大学 (2019年2月1日). 2019年2月1日閲覧。
- ^ 黒田敏, 杉山拓, 川堀真人 ほか、「もやもや病の病態,診断と治療 -最近の知見と今後の課題-」 『脳卒中の外科』 2012年 40巻 2号 p.77-82,doi:10.2335/scs.40.77
- ^ 横浜市立大学学術院医学群の松本教授ら研究グループが、重症型もやもや病の遺伝マーカーを発見!(横浜市立大学 2012年3月2日)
- ^ 対象疾患案内(もやもや病)(九州大学大学院医学研究院脳神経外科)
- ^ a b 脳底部に異常血管網を示す疾患群をめぐって(大阪市立総合医療センター脳神経外科 小宮山雅樹『もやもや病に関する医療情報サイト』)
- ^ a b 日本脳神経外科学会 学術総会歴代会長ならびに開催地 (PDF) (日本脳神経外科学会)
- ^ 頭蓋内に異常血管網を示す疾患 - Willis動 脈輪閉塞症 -(医学書院)
- ^ 「少女救おう」レバノンから招き手術へ--仙台のNPOが募金活動 (毎日新聞 2005年6月24日)
- ^ Cerebrovascular "Moyamoya" Disease: Disease Showing Abnormal Net-Like Vessels in Base of Brain (Jiro Suzuki, Akira Takaku; Arch Neurol. 1969; 20(3): 288-299.)
- ^ 野川茂, 福内靖男、1.ウィリス動脈輪閉塞症(もやもや病) 『日本内科学会雑誌』 2002年 91巻 8号 p.2289-2295, doi:10.2169/naika.91.2289
- ^ 特定疾患治療研究事業対象疾患一覧表(56疾患) 難病情報センター
- ^ 平成14年度 社会保障部便り No.1(鳥取県医師会 2002年6月20日)
- ^ Ⅲ 地域ケアシステムの充実 (PDF) (東京都福祉保健局)
- ^ 各疾患の解説 50音順索引 ア行 Archived 2014年11月12日, at the Wayback Machine.(難病情報センター)
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