12 Etudes Op.8とは? わかりやすく解説

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スクリャービン(スクリアビン):12のエチュード(練習曲)

英語表記/番号出版情報
スクリャービンスクリアビン):12のエチュード練習曲12 Etudes  Op.8作曲年1894年  出版年1985年  初版出版地/出版社: Belaïev 

作品概要

楽章・曲名 演奏時間 譜例
1 嬰ハ長調 Cis dur2分00 No Image
2 嬰ヘ短調 fis moll2分00 No Image
3 ロ短調 h moll2分30秒 No Image
4 ロ長調 H dur2分00 No Image
5 ホ長調 E dur2分30秒 No Image
6 イ長調 A dur2分00 No Image
7 変ロ短 b moll2分00 No Image
8 変イ長調 As dur3分30秒 No Image
9 嬰ト短調 gis moll5分00 No Image
10 変ニ長調 Des dur2分00 No Image
11 変ロ短調 b moll4分30秒 No Image
12 嬰ニ短調悲愴」 dis moll 'Pathetic'2分30秒 No Image

作品解説

2008年4月 執筆者: 齊藤 紀子

 スクリャービン22歳時に書き始められ翌年完成した。この練習曲集は、ペテルブルグ音楽院後援者であり音楽出版業者でもあるべリャーエフが出版すすめた。この練習曲集作曲にあたりスクリャービンショパン練習曲集意識して12曲で1つまとまりなすよう構成したことが、べリャーエフにあてた手紙からわかっている。なお、ベリャーエフは、この作品出版した後のスクリャービン演奏旅行企画している。実際にスクリャービンは、1895年にはドイツスイスイタリアベルギーへ、1896年にはパリブリュッセルベルリンアムステルダムハーグローマへ旅している。
 第1曲目は、3連符多用する練習曲。3連符重音連打単音組み合わせからできている。主として右手の3連符3つ目の音がメロディー構成する
 第2曲目は、スクリャービン特有のポリ・リズム練習曲。5連符基調としている。スクリャービンは、この曲のような3対5の数比を特に好んで用いたテヌートスタッカートスラーなど、多様なタッチ求められる30小節足らずで、演奏時間も約1分と短い曲ではあるが、曲が進むにつれ左手音域広がっていくなど、推進力変化みられる。なお、幅広い音域を扱う左手分散和音は、右手痛めたピアニストというスクリャービンならではの音形と見ることもできる
 第3曲目は、オクターヴ単音交互に弾くトレモロのような練習曲両手でこの形を弾く部分では、オクターヴ単音位置がずれている。また、いずれかの手のみがこの形を弾く部分では、ポリ・リズム構成する。8分の6拍子のこの曲では、4分の3拍子としてのリズムアーティキュレーションももち合わせ複雑な構成見せている。なお、スクリャービンはこの曲の冒頭に「テンペストーゾ」という指示書いたものの、実際にはこの語が充分に曲の性格示していないと感じ、気に入らなかったという。
 第4曲目は、スクリャービン特有のポリ・リズム練習曲。5連符基調としている。第2曲目同様に、3対5の数比がみられる。しかし、その曲想第2番とは異なり、こちらはアラベスクのような趣を持つ。
 第5曲目は、オクターヴ、2音間のスラー跳躍がキーワードとなる練習曲後半からは、基本音価が8分音符の3連符となる。スクリャービン当初、この曲のテンポアレグロとしていたが、気に入らず、「ブリオーゾ」と改めた。しかし、それでもこの曲の性格充分に示していないとして満足することはなかったという。
 第6曲目は、6度重音練習曲冒頭でコン・グラツィアと指示されているように、スクリャービン練習曲の中では穏やかな性格の曲となっている。
 第7曲目は、拍の区切りずらして3連音符を弾くクロス・フレーズの練習曲終始一貫してpp-p」のディナーミクの中で急速に弾くことが求められる。なお、生涯好んで用い続けたポリ・リズムとは異なり、このクロス・フレーズは晩年の作品になるにつれ、影をひそめていく。
 第8曲目は、メロディー内声としての和音つけられ練習曲再現部では、ポリ・リズムとなる。左手の弾くバス・ラインは、対旋律役割も担う。そして、ポコ・ピウ・ヴィーヴォとなる中間部で、右手8分音符と3連符組み合わせ印象的なメロディー奏でる。そこには、和音主体とした左手添えられる。この曲は、初恋の人と言われるナターリア・セケリーナに寄せられていることから、「ナターリアレント」と呼ばれており、叙情的な美しさが大変好まれている。
 第9曲目は、16分音符8分音符、3連音符など、多様な音価によって、両手オクターヴポリ・リズムもたらすディナーミク頂点は「ff 」で、「pppp 」で曲を閉じるため、非常に幅広いディナーミク表現することになる。中間部は、コラールとなっており、左右の拍のずれがある種浮遊感生み出している。作品8の中では最も規模大きな練習曲となっている。
 第10曲目は、右手重音を、左手跳躍音程を弾く練習曲右手重音長3度響きをもち、4度音程記譜されているところでも、響き長3度となっている。また、3部形式書かれた他の練習曲とは異なり2部形式書かれている
 第11曲目は、メロディー内声バス3層テクスチュア構成されている。内声和音両手交差させて弾くため、同じく変ロ短調書かれシマノフスキ作品4-3練習曲にどこか通じるものが感じられる。なお、シマノフスキ作品20世紀幕開けである1900年代と、スクリャービンよりも後に作曲されている。
 第12曲目は、オクターヴ跳躍音程織り交ぜ和音連打等、複雑な見かけをしている練習曲ショパン作品10-12革命)の練習曲との類似指摘されている。再現部では、オクターヴメロディー両手和音連打伴われる。なお、この曲は、スクリャービン自身が大変好んで演奏したと言われている。




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