金属疲労
繰返し応力が作用することにより起こる金属の破損。例えば、薄い金属板を何度も曲げたりもどしたりしているうちに金属疲労が起こり破断する。表面の微視的な傷や欠陥に応力が集中し、徐々にその傷が拡大していく。したがって破断面には貝殻状のマークが残る。その応力は、一度で破断する応力よりもはるかに小さな値となる。これを避けるには金属表面の仕上げを徹密に行い、微視的な傷をなくすることである。レーシングエンジンでコネクティングロッドを鏡面仕上げするのはこのためでもある。
参照 屈曲疲労性疲労 (材料)
(金属疲労 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/08 10:25 UTC 版)
疲労(ひろう、Fatigue)は、物体が力学的応力を継続的に、あるいは繰り返し受けた場合にその物体の機械材料としての強度が低下する現象。金属で発生するものは金属疲労(Metal fatigue)として一般に知られているが、金属だけではなく樹脂やガラス、セラミックスでも起こり得る。また、力学的応力だけではなく電圧や温度の継続的または繰り返し負荷によって絶縁耐力や耐熱性が低下する現象を指すこともあるが一般的ではない。こちらはむしろ経年劣化と呼ぶ。
注釈
出典
- ^ 機械工学辞典 p.345
- ^ 機械工学辞典 p.1211
- ^ a b 機械工学辞典 p.533
- ^ 疲労設計便覧 p.205
- ^ 機械工学辞典 p.1109
- ^ 疲労設計便覧 p.8
- ^ 疲労設計便覧 p.133
- ^ 塩澤和章「高強度鋼の超高サイクル疲労に関する研究動向」(PDF)『NACHI TECHNICAL REPORT』第14巻、不二越、2007年10月、1頁。
- ^ 金属疲労の盲点
- ^ 機械工学辞典 p.1110
- ^ a b 疲労設計便覧 pp.129-130
- ^ 遠藤達雄、1974、「「Rain Flow Method」の提案とその応用」、『九州工業大学研究報告』、九州工業大学
- ^ 疲労き裂 p.182
- ^ 疲労設計便覧 p.2
- ^ a b 金属疲労のおはなし pp.18-19
- ^ a b c 境田ほか 2011, p. 76.
- ^ a b c 絵とき「金属疲労」基礎のきそ pp.82-83
- ^ 機械材料学 p.37
- ^ a b 図解入門よくわかる最新金属疲労の基本と仕組み pp.12-14
- ^ 境田ほか 2011, p. 77.
- ^ a b 絵とき「金属疲労」基礎のきそ pp.42-43
- ^ Paul C. Paris; Mario P. Gomez; William E. Anderson (1 1961). “A Rational Analytic Theory of Fatigue”. The Trend in Engineering 13: 9-14.
- ^ 疲労き裂 p.4
- ^ “物材機構が金属疲労の亀裂進展メカニズム解明”. 鉄鋼新聞. (2022年10月31日) 2023年12月30日閲覧。
- ^ a b 境田ほか 2011, p. 79.
- ^ a b 境田ほか 2011, p. 80.
- 1 疲労 (材料)とは
- 2 疲労 (材料)の概要
- 3 予防策、疲労設計
- 4 脚注
- 5 外部リンク
金属疲労
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/14 03:34 UTC 版)
「コメット連続墜落事故」の記事における「金属疲労」の解説
以上のことから、一連のコメット墜落事故は燃料の爆発やテロによるものではなく、針で刺された風船が破裂したのと同様の、与圧機体の内外気圧差による爆発的な空中分解が起きたことが基本原因である、と推測された。 しかし、英国海外航空781便の事故の際に、考えられる限りの対策を行なったにもかかわらず、南アフリカ航空201便で再度の空中分解に至った原因は不明のままだった。そのため、一部には「事故は未確認飛行物体ないし未知の飛行生物に衝突したのだ」とする、突拍子もない主張すらあったという。 RAEでは、与圧客室の内圧による金属疲労による破壊の可能性を指摘していた。与圧による荷重が、それまでのレシプロないしターボプロップ式与圧旅客機では、運用差圧は大きくても0.4気圧であったのに対し、コメットでは高空飛行を考慮して、0.58気圧と大きく設定されていたからである。 0.58気圧という差圧において、1平方メートルあたりの面積にかかる圧力は6トンにも及ぶ。つまり、毎日運航される旅客機においては、1飛行ごとに6トンの圧力がかけられ、緩められることの繰り返しという状態になるのである。また、飛行機の主要な構造材料であるアルミニウム合金は、自動車や船に多用される鋼と比較すると、部品の取付孔などの切り欠きや作業時の傷などに敏感に反応し、疲労強度が低下するという欠点がある。 もちろん、コメットの設計者がその点を見落としていたわけではない。0.58気圧という運用差圧に対し、安全率として1.5倍、金属疲労を考慮した割増係数1.33をかけた1.995倍の安全率、即ち2倍程度の安全率で設計していた。現実に、機首部分を使用して強度試験を行なった際には、特に有害な変形を生じることはなく、試験の結果からは、飛行ごとに金属疲労が繰り返されたとしても、5万4000回までは耐えられるものと推定していた。この数値は通常の2倍の圧力をかけた耐久試験で、およそ1万8000回で亀裂が出来たことを根拠にしていた。 これに対して、英国海外航空781便に使用されていた機体(機体記号G-ALYP)は1290回、南アフリカ航空201便に使用されていた機体(機体記号G-ALYY)に至っては、わずか900回しか飛行していなかった。このため、RAEの技術者らが金属疲労による破壊を力説しても、やや説得力に欠けていた。 「原因不明」のままでは推論も机上の空論でしかありえない。そこでRAEでは、コメット1機が完全に入るような水槽を作り、英国海外航空で運用されていた実機を廃用した疲労試験を行うことになった。現在でこそ常識となっているこの疲労試験であるが、当時としては前例のない大規模な試験であった。
※この「金属疲労」の解説は、「コメット連続墜落事故」の解説の一部です。
「金属疲労」を含む「コメット連続墜落事故」の記事については、「コメット連続墜落事故」の概要を参照ください。
「金属疲労」の例文・使い方・用例・文例
金属疲労と同じ種類の言葉
- 金属疲労のページへのリンク