日本の環境政策とGEF
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/01 20:09 UTC 版)
「地球環境ファシリティ」の記事における「日本の環境政策とGEF」の解説
日本はパイロット・フェーズ発足時よりGEF信託基金に拠出しており、アメリカ合衆国に次ぐ第2位の資金拠出国である。その資金運用は主に開発途上国に対してGEFプログラムとして実施され、持続可能な開発から予防的取組や汚染者負担原則を考慮した適用など、多様な側面で運用される資金メカニズムが構築されていた。こうした中、中国の環境問題が国際的に問題視され続けていた。 2002年10月、中国政府の要望であり日本をはじめ多数国が後押しした、中国にて第2回GEF総会が開催された。大勢の関係者とマスコミが見守られる北京国際会議場で日本政府主催によるサイドイベント「日本の環境政策とGEF」を進行した。その内容は、日本が抱えた環境問題の取組み、克服する過程、環境政策に関する経済的手法、そして経験による地球環境問題に対する貢献が紹介され、中国へのNGOや民間セクターによる関与を明確にした。そこで培われた技術はASEAN地域において必要不可欠であることが付け加えられた。このイベントにより四大公害病のみ抽出した報道が大きく取り扱われ有名となる。GEFは、総会により対象分野に土地劣化(砂漠化、森林減少)及び残留性有機汚染物質(POPs)を正式に加えた。 中国北西部の砂漠化に関する取組みは主にNGO及び民間セクターによって進められ、国境を越える黄砂及び酸性雨等についてはGEFが直接的に関与することになり、2003年1月、アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)、砂漠化対処条約事務局(UNCCD)、UNEP及びアジア開発銀行(ADB)からなる4国際機関と日本、中国、韓国、モンゴルの4カ国による「ADB-GEF黄砂対策プロジェクト」を発足した。これは、黄砂のモニタリングと早期警報ネットワークを確立するプログラムと、黄砂のメカニズムを解明しその対策に関するマスタープランの2つが準備され、第2回GEF総会を経て2002年12月にGEFとADBに合意されたプロジェクトである。 黄砂等が深刻な地球環境問題に取上げられる理由は、いわゆる越境大気汚染である。そのプロセスは、黄砂発生源における砕屑物粒子が空気の流れにより浮遊し、粒子を混入した空気(風)は安定した流れ(層流)に成り易く、細砂が地上高く舞い上がり、粒径の大きい粒子から順次降下して発生源付近から周辺地域に被害をもたらし、自由大気に達した粒子は速やかに遠くまで運搬される。その運搬過程において、粒子はカビや細菌類を付着し、さらに近年では窒素酸化物、硫黄酸化物、水銀などを付着して、偏西風に乗った粒子の降下が日本列島、ハワイ諸島、北アメリカなどで確認されている。問題は、飛来した黄砂にPOPsが含まれていることにあり、降下した地点毎の粒子を分析すれば、POPs等の汚染物質が付着した特定の地域と、その経年変化が明らか(証拠)になることである。その被害を一番大きく受けかつ発生源に近い日本列島における黄砂に付着した有害物質等は、朝鮮半島を通過し西日本に飛来した黄砂と中国本土から直接東日本に飛来した黄砂の差異まで確認されている。2006年、日本政府は黄砂と酸性雨の抑制と防止するためのメカニズム解明の鍵となる黄砂発生付近の観測情報を入手すべく、中国政府に対して無償資金協力を決定した。 この、第2回GEF総会を開催した2002年は日中国交正常化30周年にあたり、両国間における相互依存性の深まりは十分に確認されていた。中国は2001年12月にWTO加盟を果たし、積極的に日本と貿易を行い、アメリカ合衆国を抜き最大の対日輸出国となり、環境問題への取組みを契機に日中韓FTAの早期締結の兆しがあった。一方、黄砂問題に関する取組みでは日本の資金提供によりモンゴルの経済成長が見込まれたが、会合によりプロジェクト限定とされた。また、中国と韓国は、日本をはじめ北アメリカ、欧州連合などから金属廃棄物を受け入れており、国内で再利用や再生使用されている。ここでは、再利用後の処分と再生時に発生する汚染物質の問題は、金属廃棄物を排出した国からは非難できない。この問題に関連して、中国は経済的手法を積極的に取り入れ、2007年に発効した電子情報製品生産汚染防止管理弁法は評価されている。なお、FTAに関しては、日中韓各国が単独でASEAN諸国と締結する運びとなり、2002年11月に中国はASEAN諸国と「包括的経済協力のための中国・ASEAN枠組み協定」に調印、2002年12月には日本・シンガポール新時代経済連携協定が発効した。国際的には地域共同体として影響力を発揮するASEAN+3である。
※この「日本の環境政策とGEF」の解説は、「地球環境ファシリティ」の解説の一部です。
「日本の環境政策とGEF」を含む「地球環境ファシリティ」の記事については、「地球環境ファシリティ」の概要を参照ください。
- 日本の環境政策とGEFのページへのリンク