日本の核共有論とアメリカによる核配備構想とは? わかりやすく解説

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日本の核共有論とアメリカによる核配備構想

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/08 20:29 UTC 版)

ニュークリア・シェアリング」の記事における「日本の核共有論とアメリカによる核配備構想」の解説

日本では旧陸軍参謀本部作戦課長務め戦後自衛隊創設にも関与した服部卓四郎大佐が「小型核兵器」の保有提唱していた。服部は「防衛という見地からいいますと、小さくて大きくて原爆持たないような国は防衛ならない」「原爆を持たなければ国家ある程度地位保てない」と指摘し武力戦を抜きにしても原爆を持つべきだと主張していた。服部はその小型核兵器について、「射程200マイル以内という制限ついている」「日本が仮に小型核兵器持ったとした場合でも、使う、使わない全部アメリカ握っている。アメリカとしてもこれを独断やられて戦争拡大するのはこわいから、大親分としては自分の子分が使うことは極力抑える。その点日本が持つ場合でも、まずそういう状態で持つ以外方法がない」としており、小型核兵器日本自主開発ではなくアメリカから提供を受けることを想定していた。服部朝雲新聞社雑誌国防』でも「戦術的装備採用の提唱」との論文寄稿しており、「戦力総国力のバランス必要な現代戦争形態となれば米ソの二大超大国が有利である。その間日本防衛力を保つには、小粒ながら十分な能力発揮できる兵器として戦術的装備が必要」だとしていた。 1958年2月17日付のアメリカ統合参謀本部文書によると、1957年9月24日から28日にかけてキャンプ・ドレイク(現・朝霞駐屯地)で実施され日米共同図上演習フジ」において自衛隊アメリカ軍核兵器使用想定しており、演習では自衛隊幹部からアメリカ軍に対して1.自衛隊核兵器貸与する考えはないか、2.日本核武装決めた場合アメリカ支援するか、などの質問なされた。これに対してアメリカ統合参謀本部は「核兵器に関する支援の提供は日本要望能力次第」とした上で、「アメリカ日本自衛隊適切な核兵器導入することを望む。自衛隊は最も近代的な通常兵器核兵器備えなくてはならない」との見解決定し部内限りとしてアメリカ太平洋軍司令官伝達したとされるまた、1958年9月17日付のアメリカ統合参謀本部文書では「アメリカNATO方式同盟国支援する意向だ。運用能力構築する日本意思かかっている」としていた。 旧陸軍陸軍大臣秘書官務め戦後服部グループから陸上自衛隊入隊した井本熊男陸将陸上幕僚監部第五部長)は、1958年11月アメリカ軍施設訓練法視察するために訪米した際に、シアトルで「日本自衛のために原子力兵器が必要である」と発言していた。井本自衛隊改革一環として陸自アメリカ陸軍モデルにしたペントミック師団装備師団)を創設する可能性言及した上で、「水爆は別として原子兵器効果的に非合法とすることはできないだろう。自衛隊による原子兵器使用政治問題化しているが、日本は恐らく原子兵器使用する侵略者対し防衛するため原子兵器保有しなければならない」とした。 1962年アメリカ空軍戦略航空軍団SAC)と太平洋空軍核戦争時の通信手段テストするために実施した合同演習自衛隊参加していた。また、核開発行っていた中華人民共和国1960年東風1号発射実験成功させたことに対してアメリカ危機感強め1962年12月アメリカ国務省極東局は『共産中国核爆発』と題するメモ作成している。同メモでは日本アレルギー触れつつ、自衛隊NATO諸国並みアメリカ軍核兵器共同管理することが究極目的だとして、「NATOタイプセーフガード(ツー・キー・システム)のもとでの核兵器装備による日本の軍事強化」を目指していた。同メモでは「著しく拡大する共産中国軍事力増強疑いなく極東での軍事的な均衡勢力を必要とする。日本できるかぎりその均衡勢力となることが、アメリカ利益にかなう」と記しており、日本核武装化した中国対す反共の砦とすることを狙っていた。 沖縄返還近付いていた1968年アメリカ国務省日本対し沖縄からの米軍核兵器撤去引き換えに、日米合同核戦力海上部隊設立するよう要求した。この背景には沖縄返還後も、沖縄基地の自由使用や、沖縄核戦力配置継続求めたアメリカ軍意向があったと言われる2022年ロシアウクライナ侵攻したことにより、核共有に関して議論進めるように一部与野党から提言されことがあるが、内閣総理大臣岸田文雄同年3月2日行われた参議院予算委員会において、「非核三原則堅持している立場や、原子力の平和利用規定している原子力基本法基本とする法体系から認めるのは難しい」と答弁した

※この「日本の核共有論とアメリカによる核配備構想」の解説は、「ニュークリア・シェアリング」の解説の一部です。
「日本の核共有論とアメリカによる核配備構想」を含む「ニュークリア・シェアリング」の記事については、「ニュークリア・シェアリング」の概要を参照ください。

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