日本の原子力潜水艦保有の検討と議論とは? わかりやすく解説

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日本の原子力潜水艦保有の検討と議論

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 02:36 UTC 版)

原子力潜水艦」の記事における「日本の原子力潜水艦保有の検討と議論」の解説

1958年帝国海軍時代より通常動力潜水艦建造実績積み重ねてきた川崎重工業は、原子力潜水艦建造した場合コスト必要な設備などについて81ページレポートをまとめ、後年にこれが明らかとなった。このレポートによれば当時試算では後の攻撃原子力潜水艦相当する艦1隻を建造するためには通常動力10分の資金要する結論されたという。 1960年3月11日衆議院内閣委員会において当時中曽根康弘科学技術庁長官は、アメリカ豊富な原子力推進艦艇建造実績をもって商業原子力船サヴァンナ」を建造していることと比較して日本原子力潜水艦なんかを作る力も意思もありません。従ってやはり商業採算ベースに合うということが非常に大事」と答弁しており、商業化によってコスト問題解決されない限りは「(原子力潜水艦建造する、しないという)政治力が働く余地がない」としていた。作家の谷三郎は、1986年出版され著書で「ソ連海軍力の伸長続けば1990年代には必要性が高まる一方日本には建造する能力があり、1950年代よりは通常動力艦と比べたコストを5倍程度まで低減させることが可能」であると主張していた。 1986年海上自衛隊原子力潜水艦導入について具体的な検討入っており、原子力潜水艦導入意向アメリカ海軍にも非公式に打診し昭和66年度(平成3年度)以降中期防衛力整備計画組み込もうとしていた。核ミサイル核魚雷搭載ではなく非核攻撃型原潜検討対象としていた。当時日本周辺にいる外国潜水艦大半原子力潜水艦という状況の中で、海自内には「作戦行動をとるには通常型ではもう限界」との声が強まっていた。さらに、海自1986年5月から6月にかけて中部太平洋行われたリムパック86環太平洋合同演習)に初めて「たかしお」を派遣したが、アメリカ海軍原潜比べて足が遅く通常型限界明白になった」(海自幹部)との声が出ていた。このため海上幕僚監部原潜導入検討すべき時に来ていると判断したという。原潜導入にはアメリカ同意が重要となるため、海幕幹部アメリカ海軍幹部原潜導入意向伝え非公式に意見求めたが、アメリカ海軍側は海自に対して具体的な反応を示さなかった。日本初原子力船「むつ」が膠着状態に陥っている中で国内での原潜開発難し状況にあるため、海幕原子力推進部分だけを外国から購入し海自潜水艦組み入れる方法検討していた。原子力の利用については、原子力基本法で「平和目的に限る」と定められているが、防衛庁は「推進力として原子力普遍的になれば使って同法違反しない」との考え方をとっており、海幕は「原潜世界的に主流となっており、推進力として使うだけなら問題ないはず」と判断している。海自昭和65年度(平成2年度)までの中期防ではイージス艦こんごう型護衛艦)を2隻導入することを計画しており、次期中期防原潜導入盛り込みたい考えであった。ただし、防衛庁内局は「船舶推進力として原子力普遍的になったとはまだいえない。今は原潜導入考えていない」として海幕動きけん制している。以前にも海自原潜導入検討開始した際にも、国会で問題になり、原潜導入計画中止になっていた。そのため、海幕今回原潜導入計画表立って検討することを避けていた。海幕による原潜導入計画について、毎日新聞取材受けた軍事アナリスト小川和久は、「海上自衛隊は(昭和40年代ごろまでは原潜技術的検討をしてきたが、最近は導入実現可能性について検討始めている。防大出身者指導的立場立ってから防衛面での独立志向強まったためと思う。わが国原潜導入するには米国との関係国民アレルギー問題があるが、最大ネック日米関係海自戦後ずっと米国戦略組み込まれ対潜能力掃海機能充実してきた。しかし最近は米国内にも日本主体性一定程度認めようという機運ができつつある。原潜対潜能力一環でもあるので米国説得しやすいのではないか同日選での自民圧勝防衛面でも独立国家姿勢をとろうという意識強まりつつあり、原潜導入可能性はかなり高まってくると思う」と指摘していた。 2004年防衛計画の大綱策定時に防衛庁の「防衛力在り方検討会議」において、中国潜水艦戦力の近代化急ピッチで進めていることに対抗するため、海上自衛隊原子力潜水艦保有可否検討されていた。平成16年12月防衛大綱策定するのに合わせ防衛庁では平成13年9月に「防衛力在り方検討会議」が設置されその際に「日本独自原子力潜水艦保有可能性」が検討された。検討対象となったのは、SLBM搭載して核抑止」を担う「戦略原潜ではなく艦船攻撃用の「攻撃型原潜」であり、日本自主開発する案や、アメリカから導入する案が俎上載せられていた。防衛庁幹部によると、「防衛力在り方検討会議」では、原子力の平和利用定めた原子力基本法との法的な整合性や、日本独自潜水艦用原子炉開発できるかといった技術論加え運用面にも踏み込んだ議論が行われたとされる16大綱では潜水艦16態勢維持することになったため、その上限内で原潜保有した場合海自潜水艦戦全体警戒監視任務与え影響や、乗員確保策や訓練方法なども総合的に検討した結果原潜導入時期尚早判断したという。 2008年自由民主党石破茂農林水産大臣が、大臣在任中に「日本原子力潜水艦を持つべきである」との論文発表していた。 2022年国民民主党玉木雄一郎代表は、近年切迫する安全保障政策関連し潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)による攻撃対応するには、長期間潜水航行できない自衛隊ディーゼル潜水艦では不十分だ指摘し同程度潜水航行ができる原子力潜水艦保有検討するべきとの意見述べた

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「日本の原子力潜水艦保有の検討と議論」を含む「原子力潜水艦」の記事については、「原子力潜水艦」の概要を参照ください。

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