同軸的スタッキングとは? わかりやすく解説

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同軸的スタッキング

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/22 16:12 UTC 版)

核酸の三次構造」の記事における「同軸的スタッキング」の解説

同軸的スタッキング(coaxial stacking)はヘリカル(らせん形)スタッキングhelical stacking)としても知られRNA三次構造高次構造決定する主要な因子である。同軸的スタッキングは2つRNA二重らせん連続的なヘリックス形成し、それら2つヘリックス相互作用面が塩基スタッキングによって安定化されているときに生じる。同軸的スタッキングはtRNAPheの結晶構造報告記載された。より最近では、同軸的スタッキングは、自己スプライシングを行うグループIグループIIイントロンを含む、多くリボザイム高次構造観察されている。同軸的スタッキングでよくみられるモチーフには、キッシングループ(英語版)(kissing loop相互作用シュードノットがある。これらの相互作用安定性は、“Turner’s rules” を適用することで予測することができる。 1994年WalterTurnerは、ステムループ末端の4ヌクレオチド突出部と短いオリゴマーの間でヘリックス-ヘリックス相互作用面を作り出すモデルシステム用いてヘリックス-ヘリックス相互作用内の最近スタッキング相互作用自由エネルギーへの寄与程度決定した。彼らの実験は、2つヘリックス間の塩基スタッキング熱力学的な寄与は、標準的な二重らせん形成時の熱力学的寄与形成されるヘリックス熱力学的安定性予測する最近相互作用)にきわめて近似的なものであることを確証した。最近相互作用相対的安定性は、エネルギー的に有利な同軸的スタッキングを既知二次構造基づいて予想する際に利用することができる。WalterTurnerは、同軸的スタッキングによる寄与考慮に入れることで、RNA構造予測正確さ平均して67%から74%へ改善することを見出した。 最もよく研究されているRNA三次構造には、同軸的スタッキングの例が含まれている。よく知られた例としては、tRNAPhe、グループIイントロングループIIイントロン、そしてリボソームRNAがある。tRNA結晶構造解析によって、アミノ酸アクセプターステムTアームスタッキングDアームとアンチコドンステムのスタッキングという、同軸的スタッキングによって伸長したヘリックス存在することが明らかにされた。これらのtRNA内部相互作用によって、アンチコドンステムとアクセプターステム直交した向きとなり、機能的なL字型三次構造形成されるグループIイントロンでは、P4、P6ヘリックスが同軸的スタッキングを行うことが、生化学的結晶学的手法組み合わせによって示されている。P4-P6ヘリックス結晶構造では、同軸的スタッキングがどのようにRNAヘリックス三次構造へとパッキング安定化するかが詳細に示された。Oceanobacillus iheyensisの自己スプライシンググループIIイントロンでは、IAIBステムが同軸的スタッキングを行い、five-way junction構成要素となるヘリックス相対的配向寄与している。この配向は、機能的リボザイム活性部位適切なフォールディング促進するリボソームには同軸的スタッキングの多数の例が含まれ、その中には70 bpもの長さのものも含まれる。 同軸的スタッキングでよくみられる2つモチーフは、キッシングループとシュードノットである。キッシングループ相互作用では、2つヘアピン一本鎖ループ領域塩基対形成によって相互作用し、同軸的スタッキングによってヘリックス合成される。この構造ではそれぞれのループ全てのヌクレオチド塩基対形成スタッキング相互作用参加することができる。このモチーフは、LeeとCrothersによってNMR解析による可視化研究が行われた。シュードノットモチーフは、ヘアピンループ一本鎖領域が同じRNAの上流または下流配列塩基対形成することで生じる。その結果生じた2つ二重らせん互いにスタッキングし、安定同軸的スタッキングヘリックスが合成されるシュードノットの例としては極めて安定性が高いD型肝炎ウイルスリボザイム(英語版)があり、その主鎖全体二重のシュードノット型のトポロジーとなっている。 合理的設計なされたDNA構造では、同軸的スタッキングに似た効果みられるDNAオリガミ構造は、平滑末端露出した二重らせん多数含んでいる。これらの構造では、露出した平滑末端疎水的スタッキング相互作用のために互いに接着することが観察されている。

※この「同軸的スタッキング」の解説は、「核酸の三次構造」の解説の一部です。
「同軸的スタッキング」を含む「核酸の三次構造」の記事については、「核酸の三次構造」の概要を参照ください。

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