主な管種
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/29 13:39 UTC 版)
日本においては、主に以下のような管種が使用される。 金属管ダクタイル鋳鉄管 - 水道の基幹管路において、最も多く採用されている。従来のA形K形に対し、耐震性に優れたNS形の評価が高く、次世代型のGX形も普及し始めている。NS形等、継手部に抜け止め機能を持つ種類は、耐震管材に区分される。(※ K形は「耐震管材」には区分されない。従来、良い地盤においては「耐震適合性を有する」と言われたが、東日本大震災により被害が確認されたため、現在の検証結果では「地震動増幅が小さい地盤」において耐震適合性を有する、とされている。) 水輸送用塗覆装鋼管 - 主に大口径の水道本管に用いられる。JIS G 3443 として規格化されている。強度・延性・靱性に優れ、溶接継手により高い加工性・耐震性を持つ。 亜鉛めっき鋼管(白管) - 鋼管の一種。赤水(後述)の原因となるため、現在はあまり使用されない。 塩ビライニング鋼管 - 耐久性に優れる。曲げ加工はできない。 ポリエチレン粉体ライニング鋼管 - 塩ビライニング鋼管に近い特性を持つ。耐熱性に劣り、給湯には使用できない。 ステンレス鋼管 - ステンレス鋼を使用した管のこと。錆びにくい(電蝕の問題はある)が、加工性および経済性に難がある。 波状ステンレス鋼管 - ステンレス鋼管に波状部を施した製品で、波状部において任意の角度を形成でき、継手が少なく済むなど施工が容易。直管部に使用すると地震・不等沈下が生じても継手部などの損傷を防止出来る。継手には伸縮継手とプレス式式継手とがあり、耐震性を必要とする部位にはプレス式継手は向いていない。(伸縮継手には抜け出し防止機能がないため、配水管における耐震適合管レベルの耐震性が期待できると思われる)。東京都では口径50mm以下の給水管に全面採用されている。 鉛管 - 鉛を使用した管のこと。接合は、はんだ付けによって行う。給水管に広く使用されていたが後述の理由で現在は使われない。 銅管 - 抗菌性能を持ち、曲げや切断といった加工がしやすい。耐食性に難があり、ピンホールが比較的生じやすい。以前は給湯配管でよく用いられた。 樹脂管ポリエチレン管(青ポリ) - 耐震性・耐久性に優れ、比較的熱に強く、薬品にも強い。柔軟性があり融着式継手による一体化で漏水の心配がない。材質にはPE100の第3世代、高密度ポリエチレン(HDPE)を使用している。配水・給水の埋設管、建築物内の配管などに用いられ、配水小管では主流となりつつある(※直近の日本水道協会の検査実績より)。黒ポリ(1種二層管より前のPE)に比べると次世代タイプであり、短期、長期の特性(クリープ強度、短期破壊水圧、引張降伏強さ)にも優れる。配水管用に使用される材料については「水道配水用ポリエチレン管」、埋設部の給水装置に使用される給水管については「水道給水用ポリエチレン管」と呼ばれる。水道配水用ポリエチレン管は水道ビジョンにおける「耐震管材」に区分されている。※過去のポリエチレン管の事故に対しては、水道配水用ポリエチレン管の規格制定にあたり、理論と実験の両面から長期性能に優れることを比較・確認している。 ポリエチレン管(黒ポリ) - ステンレス管に比べると経済性に優れ、薬品に強く、管体は非常に柔軟性がある。金属継手での接続が主流で、熱には弱い傾向にある。給水管に多く用いられている。第2世代のポリエチレン管(鎖状低密度ポリエチレン管)で、接水部にカーボンブラックを用いない2層管構造であり、耐塩素水性能を向上させている。公的資料では(冷間)継手構造も含めると「耐震適合性なし」とされる。現存する第一世代の古い一層管(PP管)は耐塩素水性能や環境応力破壊性能が悪いため、更新の対象となっている。外観は同じ黒いポリエチレン管であるが、性能が全く異なるので注意が必要である。 ポリ塩化ビニル管(VP管・HIVP管 排水用途はVU管・VP管) - 耐久性・加工性・経済性に優れる。耐候性・耐熱性には難があり、それぞれ特化した種類もあるが、金属管に劣る。耐震管材の区分ではない。(RRロング継手の塩ビ管も「耐震管材」ではない。従来、良い地盤においては「耐震適合性を有する」と言われたが、東日本大震災により被害が確認されたため、現在の検証結果では「地震動増幅が小さい地盤」において耐震適合性を有する、とされている。離脱防止継手付RRロング継手は、東日本大震災においても十分な検証データが得られなかった) 架橋ポリエチレン管 - ポリエチレン管と比べ耐薬品性・耐熱性が高い。宅内の給水・給湯に用いる。「さや管ヘッダー方式」で新設すれば、管材の交換・更新が容易となる。保温材被覆されているものを一般的に用いる。 ポリブテン管 - 架橋ポリエチレン管に近い特性を持つ。 強化プラスチック複合管(FRPM) - FRPを主原料とした管で、後述の石綿セメント管の後継として開発された経緯を持つ為、製造法・耐薬品性などで類似した特性を持つが、経年劣化に対する耐性は大幅に向上している。 コンクリート管ヒューム管 - 鉄筋コンクリートを使用した水道管。 石綿セメント管 - アスベストとセメントを配合した水道管。経年劣化により脆くなるという欠陥から昭和40年代には公共工事では新規の敷設が行われなくなり、後に平成10年代に大規模なアスベスト問題が発覚する一因ともなった。
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