ナチス知識人によるハイデッガー批判と帝国公安からの監視とは? わかりやすく解説

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ナチス知識人によるハイデッガー批判と帝国公安からの監視

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 16:40 UTC 版)

マルティン・ハイデッガー」の記事における「ナチス知識人によるハイデッガー批判と帝国公安からの監視」の解説

ハイデッガーナチス賛同者学者からも批判されており、フランクフルト大学ハイデルベルク大学哲学・教育教授エルンスト・クリークハイデッガーを「極めつけ無神論あり形而上学的ニヒリズム」「ドイツ民族にとっては腐敗解体酵素」と非難していた。 1936年ヒトラー・ユーゲント機関紙意志と力』でケーニッツアー博士が「若者の方がハイデッガーよりもヘルダーリン知っている」と非難しハイデッガーはケーニッツアー博士1933年には社会民主党員として活動していたのに今ではフェルキッシャー・ベオバハター(民族的観察者)の大物となっているがこうしたドイツ人にはもはや多く期待できない述べている。 1936年5月14日にはローゼンベルク事務局(Amt Rosenberg)がハイデッガー調査行い、これにはイェンシュやクリークらのハイデッガー非難文書背景にあるとされ、イエズス会的な扇動をしているとも邪推された。1936年5月29日ローゼンベルク事務局帝国公安本部学術部門報告しハイデッガーへの監視命令国家秘密情報機関から出された。 1936年11月17日24日12月4日に、フランクフルト自由ドイツ高等神学校で「芸術作品起源講演1936年から1937年にかけての冬学期に「ニーチェ芸術としての力への意志講義このなかでヨーロッパは相変わらず民主主義>にしがみつこうとし、これがヨーロッパの歴史的な死滅になるであろうことを学ぼうともしないニーチェがはっきりと見たように民主主義とはニヒリズムの、すなわち最上の価値価値剥奪一変種にすぎず、まさしく価値でしかなく、もはや形態与える諸力ではない」と語った一方でライヒ文部省プロイセン州文部省中でもベルンハルト・ルスト教育大臣ハイデッガー支援者であり、極めて良好な関係を持っていた。ルストフライブルク大学学長辞職後にハイデッガー哲学部部長任命するよう大学側要請したほか、二度にわたるベルリン大学への招請ルスト後援よるものであった第二次世界大戦末期時期にも著作出版のための紙の調達便宜図っている。 ライヒスコンコルダート以後ナチスカトリック圧迫したため1937年3月ピウス11世教皇回勅ミット・ブレネンダー・ゾルゲ」でナチ批判したハイデッガーは、1936年から1938年にかけて書いた草稿群『哲学への寄与論考』においてナチスカトリックとの政教条約に対して、「これら両者根底には総体的な姿勢として、本質的な決断断念がある。両者闘争創造的な闘争ではなくてプロパガンダ護教論である」と批判し、また「多義性現実的な決断にたいする無力無意思を引き起こす例え民族よばれているものはすべてそうである。つまり、共同体的なもの、人種的なもの、低俗下等なもの、国民的なもの、持続してあるものはそうである。例えば神的と名付けられるものはそうである」(56節「響きあい」)と「民族」や「神的」という言葉批判的に書き、また「人間歴史達成しているかどうか歴史本質存在物を越えて行くかどうか史実(Histore:物語)が根絶されるかどうか予測されない。そのことは原存在Seynそのもの委ねられている」と個々人間努力によって解決されるものではないという宿命論的な考え書かれた。 1937年学期フライブルク大学で「西洋的思考におけるニーチェ形而上学的な根本立場講義1937年ジャン・ヴァール質問に対して自分問題実存ではなく存在であり、ヤスパースとは異なると答えた1937年から1938年にかけての冬学期に「哲学根本的問い 論理学精選諸問題講義 1938年6月9日フライブルク大学で「形而上学による近世世界像基礎づけ」を講演、のちに「世界像時代」と題された。その草稿では「国民社会主義的な諸哲学がそうであるように、矛盾した諸成果の苦労の多い仕立て上げ混乱引き起こすだけである」とナチスと距離をとった。1938年秋、弟フリッツ金属製二つの箱にいれた草稿渡し清書保管依頼したフリッツタイプライター持っていなかったため、銀行休憩時間夕食後に職場戻ってタイプした。 1938年から1939年にかけての冬学期に「ニーチェ 反時代的考察第二編」講義 1939年学期、「認識としての力への意思についての教説講義

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