チベット密教とは? わかりやすく解説

チベット仏教

(チベット密教 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/18 07:43 UTC 版)

チベット仏教(チベットぶっきょう、チベット語: བོད་བརྒྱུད་ནང་བསྟན།)は、チベットを中心に発展した仏教の一派。根本説一切有部律の厳格なに基づく出家制度、仏教の基本である四聖諦の教えから[1]大乗顕教の諸哲学や、金剛乗密教までをも広く包含する総合仏教であり、独自のチベット語訳の大蔵経を所依とする教義体系を持つ。中国、日本、チベットなどに伝わる北伝仏教[2]のうち、漢訳経典に依拠する東アジア仏教と並んで、現存する大乗仏教の二大系統のひとつをなす。


注釈

  1. ^ 転生活仏とも呼ばれるが、「活仏」は中国人による呼び方で、チベットにはない表現である[3]
  2. ^ 中観自立論証派(スヴァータントリカ)と中観帰謬論証派(プラーサンギカ)。
  3. ^ 「浄行(厳律)派」の意。「黄教」「黄帽派」とも。
  4. ^ 過去に用いられていた「紅教」「紅帽派」という呼称は、ゲルク派がチョナン派にならって黄色い帽子をかぶったため、中国語圏で「黄教」「黄帽派」と呼ばれるようになってから他宗派をさすために使われた表現であり、ニンマ派のみだけでなくサキャ派、カギュ派をも指していたことが多く、注意を要する。「ラマ教」と同じく現在の学術界ではめったに使用されない表現である。

出典

  1. ^ 吉村 2014, pp. 362–363.
  2. ^ 世界大百科事典 第2版『北伝仏教』 - コトバンク
  3. ^ 吉村 2018, p. 32.
  4. ^ 世界大百科事典 第2版『ラマ教』 - コトバンク
  5. ^ 『岩波 仏教辞典 第2版』 1037-1038頁、「ラマ教」。
  6. ^ 石濱 2014, p. 90.
  7. ^ The religion of Keanu Reeves, actor”. Adherents.com. 2019年4月27日閲覧。
  8. ^ Tibetan buddhist in hollywood. www.hollywood.org[リンク切れ]
  9. ^ “中国政府、チベット高僧の転生に事前申請を要求”. AFPBB News. (2007年8月4日). https://www.afpbb.com/articles/-/2263352?pid=2001212 
  10. ^ 吉村均『チベット仏教入門』筑摩書房〈ちくま新書〉、2018年
  11. ^ 高山文彦『麻原彰晃の誕生』文藝春秋〈文春新書〉、2006年2月20日。ISBN 978-4-16-660492-0 [要ページ番号]
  12. ^ 弥勒祈願祭”. 文殊師利大乗仏教会. 2019年4月27日閲覧。
  13. ^ 福田 2014, p. 221.



チベット密教

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/12 02:54 UTC 版)

タントラ」の記事における「チベット密教」の解説

チベット密教では、タントラ所作: bya ba, 梵: kriyā)、行(: spyod pa, 梵: caryā)、瑜伽: rnal 'byor, 梵: yoga)、無上瑜伽: rnal 'byor bla med, 梵: anuttarayoga)の4種分けている。これは歴史の中で少しずつ作られていったもので、なぜこの4種なのか、という点に関して宗派により説明異なる。 12世紀サキャ派学者ソナムツェモは、タントラ4つ分類した理由解説試みている。ソナムツェモは、インド宗教への信仰顕教教え、人の執着満足させる方法それぞれ4種分類可能であり、タントラ4種それぞれに対応するためにあるのだと説く13世紀チベット大学者プトゥンは、4種タントラが、断じるべき執着インド社会カースト断じるべき煩悩修行者能力一時的な薫習時代考慮して分類されていると述べている。 14世紀ゲルク派の祖であるツォンカパは、『真言道次第大論』の中で顕教密教比較解説し、ソナムツェモの解説対す批判試みている。ツォンカパは『サンプタ・タントラ』に「笑う、見る、手と手を繋ぐ、抱く」の4種煩悩があるとされていることを根拠に、これらの煩悩菩提への道として転用するためにタントラ存在するのだと説く

※この「チベット密教」の解説は、「タントラ」の解説の一部です。
「チベット密教」を含む「タントラ」の記事については、「タントラ」の概要を参照ください。


チベット密教

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/23 04:35 UTC 版)

密教」の記事における「チベット密教」の解説

詳細は「チベット仏教」を参照 チベット仏教は、所作タントラ、 行タントラ瑜伽タントラ無上瑜伽タントラなど初期密教から後期密教にいたる密教経典と、それに基づく行法継承している。 漢地ではモンゴル系の元の朝廷内でチベット系密教採用され支配者階級の間でチベット密教が流行した漢民族王朝明においてもラマ僧厚遇する傾向があったが、満洲民族王朝清に至って王室帰依保護によってチベット仏教栄え北京雍和宮など多くチベット仏教寺院建立された。ただし、漢地におけるチベット仏教存在当時中国人社会にどの程度影響力持ったかについては十分な解明なされていない。 チベット動乱や、特に文革期に激烈であった中国共産党による宗教弾圧乗り越えてチベット自治区チベット人中心に現在もチベット密教の信仰続いている。文革終了後中国大陸では、漢人の間でもチベット密教(密)が流行法輪功問題契機気功ブーム終息した頃、チベット密教の行法信仰から切り離して気功法として行う「気功」が各地宣伝された。台湾の仏教にはチベット密教も伝わっており、清朝末期創設された「西蔵学会」もある。モンゴルでは中世モンゴル帝国チベット仏教国教であった流れから、現在までチベット密教の信仰続いている。カンボジアアンコール朝にも密教伝来しており、密教用いられる祭具や、特にヘーヴァジュラを象った銅像祭具出土している。 欧米での展開起きチベットにおける1950年から1951年チベット侵攻 から1959年チベット動乱という大混乱の後は、ダライ・ラマ14世はじめとする多くチベット僧がチベット国外へ出て活動したことにより、ヨーロッパ米国広範囲布教なされるようになり、欧米思想界にもさまざまな影響与えたアメリカ合衆国ニューヨークでは、ダライ・ラマ14世親交のあるロバート・サーマンにより1987年にチベットハウスが設立運営され、チベット密教も含めチベット思想文化広報されている。その経緯から、欧米諸国Esoteric Buddhism と言う場合には、主にチベット密教を指す。

※この「チベット密教」の解説は、「密教」の解説の一部です。
「チベット密教」を含む「密教」の記事については、「密教」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「チベット密教」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「チベット密教」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「チベット密教」の関連用語

チベット密教のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



チベット密教のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのチベット仏教 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのタントラ (改訂履歴)、密教 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2024 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2024 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2024 GRAS Group, Inc.RSS