無上瑜伽タントラ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/06 08:35 UTC 版)
無上瑜伽タントラ(むじょうゆがタントラ 、梵: Anuttarayoga-tantra, Yogānuttara-, Yoganiruttara-、蔵:bla na med pa'i rgyud、無上ヨーガ・タントラ)とは、8世紀後半以降に作られたインド後期密教経典群のチベット仏教における総称。
注釈
- ^ ここで言う「輪」は、体内では四つまたは五つの輪(チャクラ)となり、体外では仏教的宇宙観に基づく世界を支える地輪・水輪・火輪・風輪などの天地の輪(わ)となる。
- ^ 「本初仏」(Ādibuddha、アーディブッダ)は、「原初仏」とも呼ばれる[4]。
- ^ 法身普賢金剛手;チベット名クントゥ・サンポ。八大菩薩の普賢菩薩ではなく金剛手菩薩の成仏相であり、後期密教における如来形の大日如来のこと。主にニンマ派においてゾクチェン・タントラの『クンチェ・ギェルポ』等を典拠として説かれる。
- ^ 「歓喜仏」は、交合仏・父母尊とも表記。
- ^ イダム(yi dam)は「守護尊」だけでなく、「本尊」や「秘密本尊」とも訳される。主に憤怒相のヤブユムで描かれ、チベット密教における主要な五タントラを代表する尊格を五大金剛とも言うが、その尊様や図像的には日本密教の明王部に相当する。ただし、チベット密教の伝承する無上瑜伽タントラではそれよりも格が上で、本初仏(アーディブッダ)や如来に等しい存在とされ、「ヘールカ」とも呼ばれている。
- ^ チベットにおいてサンヴァラ系タントラ群の中心として扱われる『ラグサンヴァラ・タントラ』の通称。なお、サンヴァラとは本来「禁戒」の意で、これと音が通じるシャンヴァラの訳が「勝楽」である。
- ^ 中国語圏では大手印。
- ^ ゲルク派以外では主要なタントラである「五大金剛法」には分類されない。なお、「五大金剛法」はゲルク派だけではなく各宗派に備わっている。
- ^ ヤマーンタカともいう。
- ^ この項は、松長有慶の『幻化網タントラの性格』や『密教経典成立史論』、田中公明の『「金剛場荘厳タントラ」の成立とインド密教史上における位置』を参照。
- ^ 別名『無上瑜伽戒』または、『無上密戒』とも漢訳される。無上瑜伽タントラの戒律は、基本となる『金剛頂経』系の戒律と、『大日経』系の戒律と、各主要なタントラ経典に説かれる戒律とがある。
出典
- ^ ツルティム & 正木 2008, pp. 25–27.
- ^ ツルティム & 正木 2008, p. 38.
- ^ 田中 2012, pp. 104–106.
- ^ 「本初仏」 - ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
- ^ a b 田中 2012, p. 167.
- ^ 『チベット密教の神秘 快楽の空・智慧の海』(学習研究社)、「母タントラ」、pp.85-88。
- ^ 『チベットの仏たち』(方丈堂出版)、第二十七話「マハーマーヤーとブッダカパーラ」、pp.144-147。
- ^ 『「幻化網タントラ」に見られる五秘密思想』(密教文化)、pp.34-53。
- ^ 『五秘密尊と五秘密曼荼羅』(印度學佛教學研究)、pp.423-428。
- ^ 田中 2012, pp. 122–124.
- ^ ツルティム & 正木 2008, p. 57, 75.
- ^ ツルティム & 正木 2008, pp. 88–90.
- ^ ツルティム & 正木 2008, pp. 28–36.
- ^ ツルティム & 正木 2008, p. 114.
- ^ ツルティム & 正木 2008, p. 39.
- ^ ツルティム & 正木 2008, p. 161.
- ^ ツルティム & 正木 2008, p. 62.
- 1 無上瑜伽タントラとは
- 2 無上瑜伽タントラの概要
- 3 五大金剛法
- 4 性的ヨーガ
- 5 参考文献
- 6 関連項目
- 無上瑜伽タントラのページへのリンク