ガイア・ギア
アフランシ・シャア
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 21:47 UTC 版)
「ガイア・ギアの登場人物」の記事における「アフランシ・シャア」の解説
声:横堀悦夫 かつての英雄シャア・アズナブルの記憶を受け継ぐ反地球連邦政府組織メタトロンの指導者。シャア・アズナブルを再生させる計画 「シャア・コンティニュー・オペレーション」によって生み出されたシャアのメモリークローン。シャア・アズナブルその人の細胞を分割して再活性化させてその遺伝子を再現したクローン体に、シャアの記憶を収めた膨大な情報量のセル・チップを埋め込んで生み出された。自然環境が人を鍛え上げるのではないかという仮定のもと、19歳になるまで南太平洋にある特別環境保護区の「自然保護監視地区」の島で身寄りのない孤児として育てられた。育ての親のガバ・スーの遺言と常に自分の体内のどこかでカチカチと音を立てる感覚に従い、幼馴染のエヴァリー・キーの反対を押し切って宇宙に行くことを決意した。 白人の純血種を連想させる金髪の青年で、その容姿はシャアのファンで動く映像でも彼をよく見ているミランダ・ハウの目から見てもシャアそのものに見えた。 幼い日の記憶を持たず、年齢も育ての親のガバ・スーに教えられたもの。自分の育ちが組織によって仕組まれたものである可能性に気付いてからは、島で自分が考えたり思い付いたりしたことや身につけた知識は全て自分を島で育てさせた依頼人の仕掛けたことだと判断して忘れようと努めた。 機械などほとんど扱ったこともないのに、生まれて初めて見たマン・マシーンやノーマルスーツなどの機器や装備の意味を理解し、操作することができた。それは彼が成長する段階で学んで身につけたことや生まれ持った彼自身の洞察力によるものではなく、どこで覚えたのかもわからないが彼の記憶と身体の中に確実に学習したものとして存在する知識や技術(セル・チップのシャアの記憶)によってであった。人の記憶は受容できるものだけが残る。認めたくない記憶や不必要な記憶は忘れる機能を持っているから人は学んだこと、おぼえたこと、知ってしまったことに押し潰されずに生きて行けるし、それが出来なければ人は狂気に陥る。しかし、忘れることができないものに支配され、狂気にも走らずに行動しているのがアフランシである。 シャアの記憶を持ち、遺伝形質が同じものであっても、アフランシの人格はシャアのものではない。また彼の成長した南の島の環境がアフランシをかつてのシャアのようには育てなかった。シャア・アズナブルその人の細胞から再生された個体であることはバアム・ゼーゲンの揃えたデータにより証明されているが、アフランシは自分はあくまでアフランシ・シャアであり、メタトロンが勝手に信じているシャアのコピーではないと否定してシャアその人としてふるまうことを拒否し続けた。そのことが彼とメタトロンの上層部との間に深い溝を生んだ。 マハ追撃作戦ではガイア・ギアαを駆って自ら地球へ降下するが、それは戦闘者に没頭することで事実上シャアの後継者としての役割を放棄することでもあった。そのことがシャアの再来を期待していたマザー・メタトロンの老人たちの失望を招き、補給や増援が送られなくなった。しかし、地上に降りてからもアフランシは組織のリーダーではなく戦闘者の一人として振舞い続け、結果リエージュの戦闘では味方に多数の犠牲者を出すことになった。生き残ったメンバーに責められたアフランシは、マザー・メタトロンを掌握できず、むしろ総帥として祭り上げられることを嫌がって地球に逃げて来たことを認める。事態を打開するため、アフランシは衛星軌道上からマハが進駐しているヌーボ・パリをミサイルで絨毯爆撃することを決定し、マザー・メタトロンへ支援を要請する。マハの殲滅はマン・マシーンで行うという大前提を覆し、世間からは回復しつつあるヨーロッパの環境を破壊したとの誹りを受ける可能性のある方針転換だったが、アフランシはそれを独断で決めた。これ以上味方に犠牲を増やさず、初期の予定通りマザー・メタトロンに協力させるための苦肉の策だった。それでもなおガイア・ギアαでの戦闘にこだわるアフランシに対し、マドラスやミランダはガイア・ギアαのメインパイロットをメッサーに変更する決定を行う。しかし、アフランシは最後までパイロットであることにこだわり、シャア・アズナブルではなく「アフランシ・シャア」として事態を収拾させることを決意。ガイア・ギアαで最終決戦に挑んだ。 アフランシがスペースコロニー、ヘラスのチンピラだったメッサーたちをメタトロンに参加させたのは、彼らを更生させるためではなく、メタトロンに毛色の違う人間たちを参加させるためだった。アフランシは、メタトロンのメンバーが理性的でお行儀がよいインテリの集団で、皆同じような顔をしているのが気になっていた。自分が育った島に住む人々と同様の同じ鋳型に押し込まれた単一の人々の集団では反地球連邦政府組織運動の成功の可能性は無いと判断した彼は、組織がもっと強力になるためには雑多なものを容認するしかないと考えて彼らを組織に引き入れることにした。 「アフランシ」が白人の代表を表す名前で、白人至上主義のメタトロンが白人神話の復活を願って付けたという疑惑を何度も聞かされており、「それならば、自分はマハと共同でメタトロンを叩かなければならない」と軽口を言ったこともあった。クリシュナ・パンデントにその名前の作為性を指摘された時も、自分はこの名前で生まれ育ったのでとても自然な名前であり、人類が宇宙で生きることの正義を尊ぶだけで、それ以外の意味をメタトロンの戦いに込めるつもりはないと言うしかなかった。 ラジオドラマ版 かつてのスペースコロニー独立運動の英雄「シャア・アズナブル」の記憶を受け継ぐメモリー・クローン。 外見的にはシャア・アズナブルと似ているようだが、ウル・ウリアンによれば瓜二つというわけではないらしい。クリシュナ・パンデントは立ち居振る舞いは似ていると言っていた。 南太平洋の島でエヴァリー・キーと穏やかに暮らしていたが、頭の中でカチカチと音が鳴り、誰かの声が聞こえる症状に悩まされるようになっていた。育ての親のガバ・スーに出生を明かされ、宇宙に出るように言われた夜、ウル・ウリアン率いるマハによる2度の襲撃を受け、捕まってしまう。ウルの尋問を受けた際、シャアの記憶の一部が覚醒。衝動的にガイア・ギアαに搭乗し、ガウッサを撃破した。 小説とは違い、ラジオ版のアフランシはエヴァリー・キーに対して一途であり、ミランダとの疑似恋愛的描写は無く、クリシュナに対して好意を示したり彼女の告白に対して心を動かしたりすることも無かった。 小説では自らの決断で行ったミサイル爆撃は、ラジオ版ではあくまで連邦側に付いたパリッシュの裏切り行為の結果であってアフランシに責任はなく、彼はその爆撃を利用して艦を突入させたにすぎなかった。 そのミサイル爆撃の最中、ノイシュヴァンシュタイン城でダーゴルと対峙してお互いの理想をぶつけ合い、銃を向け合った場面で本編は終了。その生死は不明のままである。
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