M60パットン 派生型

M60パットン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/31 01:10 UTC 版)

派生型

M60A1 AVLB
(架橋を搭載していない状態)
M60 AVLB
「AVLB」とは、"Armored Vehicle Landing Bridge"の略。
M60の車体に折り畳み式(シザース式)の橋を取り付けた架橋戦車。車体にはM60およびM60A1とM60A2のものが使われている。
なお、イスラエルが起動輪と履帯を改修したものをMagach Tagashの名称で使用している他、独自に開発した架橋とその架設装置を搭載した派生型があり、この車両は"Magach Tagash Tsemed"と呼ばれる。
M60 AVLM
「AVLM」とは、"Armored Vehicle Launched MICLIC"の略。
M60もしくはM60 AVLBの車体にMICLIC(MIne-Clearing LIne Charge)地雷爆破装置2基を装備した地雷処理戦車
M60 パンサー
M60 パンサー(M60 Panther)
M60A3の車体を流用した地雷処理戦車。危険を避けるため、リモコンによる遠隔操作で操縦する。
M728 CEV
M728 CEV
「CEV」とは、"Combat Engineer Vehicle"の略。
M60A1を基に製作された戦闘工兵車主砲M68 105mm戦車砲から、障害物破砕用のM135 165mm砲に換装し、車体前部にD7 ブルドーザーブレードか地雷処理装置を装備可能。 改良型のM728A1も存在する。
XM1060 ROBAT
XM1060 ROBAT
"ROBAT"とは「Robotic Obstacle-Breaching Assault Tank(ロボット化障害物突破突撃戦車)」の略。
M60の車体に地雷原爆破用爆索投射装置と圧踏ローラ式、もしくは鋤型の地雷原処理装置を装備し、車体後面には地雷処理済表示マーカーの設置装置を搭載した試作戦闘工兵車。無線の他光ファイバーケーブルを用いた有線遠隔操縦により無人状態でも行動させることが可能。
M60 AVLMを発展させたものとして計画され、既存車両の改修により142両が製造される予定であったが、予算の圧縮のために前線地雷処理に対するアメリカ軍の方針が「戦車に地雷処理装置を搭載すればよく、専用の車両は必要としない」ものに変更されたため、試作車3両のみがM60A2とM60A3より改造されたに留まり、量産は行われなかった。

改修型

E-60
イスラエル軍におけるM60の形式記号。基本的には原型のM60シリーズと同じだが、イスラエル軍の運用思想に合わせて細かな改修が施されている。
E-60」がM60、「E-60A」がM60A1、「E-60B」がM60A3、「E-60AD」がM60A1にM9 ドーザーブレードキットを装着したものに付けられた番号である。
マガフ(Magach)
M48およびM60をイスラエルが導入し独自改修した型。"マガフ"の名称が付けられたもののうち、6と7がM60をベースとしており、ブレイザー ERA爆発反応装甲)を装備したマガフ6系と、複合素材を使用して装甲を強化したマガフ7が存在する。
サブラ Mk.II(M60T)
サブラ(Sabra)
イスラエルが輸出向けにM60を独自改修したパッケージ型改修案。主砲メルカバと同じ、国産の44口径120mm滑腔砲に換装し、砲塔部に楔形の装甲を追加しているのが特徴。提案されたもののうち、サブラ Mk.IIがトルコにて「M60T」として採用されている。
CM11
CM11 勇虎式戦車
アメリカM48H台湾が生産した、M60A3のシャーシにM48A5の砲塔を搭載した装束型。台湾政府はM48の後継としてM60ないしはM60A1/A3の導入を望んだが、対中関係に配慮したアメリカ政府によって交渉がまとまらず、それを受けて「M48の改良型」の名目でジェネラル・ダイナミクス社の技術提携を受ける形で開発したものである。
M48A5およびM60相当の車両であるが、射撃指揮装置M1エイブラムスと同等の能力を持つ国産のものに換装されている。2000年代に入ってよりはフランスGIAT社製の爆発反応装甲を装着した改修型へのアップデートが進められている。
なお、アメリカの方針転換により、1995年より450両余りのM60A3が台湾に売却され、本車と並行して装備されている。
サムサーム
イラン・イスラム共和国2013年に公開したM60A1のコピー
M60-120
ヨルダンアブドゥッラー2世国王設計開発局(KADDB)が、スイスのSWシン社と合同で開発したM60A3用近代改修キット。主砲をSW120mm L50滑腔砲とレイセオン社製の射撃管制装置を組み合わせたもの。
M60A3-84
かつてのライバル戦車T-54を開発したウクライナKhKBMでは、M60にウクライナ国産の120mm砲KBA-2を搭載する近代化改修案を作成している。また、ニージュなどの新しい爆発反応装甲も装備され、その他各種防御システムが装備されることになる。これにより、M60A3-84はT-84-120 ヤタハーンT-72-120並みの高性能を獲得することになる。なお、この改修キットでは需要があればソ連口径の125mm砲や140mm砲も装備可能である。
120S M60-2000
GDLS(ジェネラル・ダイナミクス・ランド・システムズ)社が提案した、M60の車体にM1エイブラムスの砲塔を搭載した近代化改修案。砲塔を換装した他、エンジントランスミッションサスペンションを改良するとされる。
トルコ陸軍のM60後継計画に対して提案され、その他のM60を装備している国に対して売り込みが行われているが、現在のところ発注はされていない。
M60CZ-10/25E Alacran
スペインが独自に開発した戦闘工兵車。M60A1にドーザープレートを装備し、砲塔には主砲の代わりにショベルアームが装備されている。
M60VLPD 26/70E
スペインが独自に開発した架橋戦車。M60A1の車体にドイツ製のレグアン戦車橋(Leguan bridge system)を搭載したもの。

注釈

  1. ^ M60およびM60A1は"スーパーパットン"(SuperPatton)の名称で記述されていることがあるが、これはあくまで非公式の愛称である。また、M60A1は"シャイアン"、M60A3は"スーパーシャイアン"と呼ばれていることがあるが、これは、タミヤ模型が発売したプラモデルキットに付けた商品名である
  2. ^ もっとも、このため熱帯のジャングルのような地域では、M48よりも走破性で劣ると乗員は評価している。そのため、一部車両は車輪をM48用の鋼製転輪に換装している
  3. ^ ほぼ同一の形状ではあるが、M48の砲塔を砲だけ換装したわけではなく、装甲厚が全体的に増しており、砲塔側面上端から天面にかけてのラインが異なる。外見上の識別点は、3箇所の吊り下げ用フックの位置が異なっている(M48は前部上面1ヶ所/後部側面2ヶ所、M60では前部側面2ヶ所/後部上面1ヶ所、と逆になっている)ことである。
  4. ^ M60の生産車のうち230両はM48より改装されて製造されているため、M48と同一の砲塔を搭載している
  5. ^ M1の陸軍への配備が優先されたためと、海兵隊ではガスタービンエンジンを始めとする新機構の多いM1の信頼性に疑問が持たれていたことによる
  6. ^ 乗員の練度や軍の作戦指揮能力ではイラク側が優れており、イラン側の損害が大きいという結果となった。この戦争でイラク側に鹵獲されたM60は、他の鹵獲イラン軍戦車と共に「戦勝記念」として報道陣に公開されており、2003年のイラク戦争の後にはイラク軍のスクラップヤードで発見されている
  7. ^ M60A1E4は文献によっては"M60E2"の名称で記載されている。
  8. ^ M60A2は"チェロキー"の名称で記述されていることがあるが、これはM60A1を"シャイアン"と呼ぶのと同様にタミヤ模型が発売したプラモデルキットに付けた商品名である

出典

  1. ^ a b Foss, p. 166
  2. ^ a b Hunnicutt pp. 6, 408.
  3. ^ a b T-72戦車”. combat1.sakura.ne.jp. 2020年5月8日閲覧。
  4. ^ 2010年8月チェコ、レシャニ(Lesany)の軍事技術博物館での撮影
  5. ^ 1991年1月湾岸戦争時の撮影


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