3軸バス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/31 14:55 UTC 版)
概要
全世界的に、道路を通行する車両はその寸法や重量などが法律などによって定められている。例えば日本では道路運送車両法により保安基準が定められていて、特に車両総重量(GVW)は20tあるいは25t未満と定められている。また車軸の軸重は10t未満となるように定められている。
保安基準による寸法と重量の枠ギリギリまで大型化が進んだバスにおいては、軸重もまた余裕のほとんどない設定となり、そのため豪華な内装品などの装備や、スーパーハイデッカーボディなどの架装が困難な状況となる。ハイデッカー車の重量は14 - 16tほどであるが、内装品の相違やホイールベースと車体の長さによっては車両総重量が20tに迫る。一方、軸重は原則1車軸あたり10t未満と定められているため、2車軸で20tを消化せねばならず、保安基準によって定められた軸重に対しての余裕がさほど存在しない。一般的に自動車の重量は最低でも10kg台、場合によっては100kg台の余裕を持たせることが多い。
また乗車定員を減員する場合、リアエンジンバスでは後方にエンジンやトランスミッションなどの比較的重量のある部品が集中しており、燃料タンクを前軸付近に持ってきたり、ホイールベースとオーバーハングを調整することにより軸重を調整しているため、まるでヤジロベエのように前後の重量バランスをとることになり、車両によっては前後軸の軸重が過大となり車検適合が不可能となる。
そのため、これらの問題を手っ取り早く解決する方法として車軸の複数化を取る手法が見られた。2車軸では1車軸で10t近く消化する必要があるが、3車軸の場合は一車軸あたりおおよそ6.7t、4車軸の場合は1車軸あたり5tほどで済むことになる。
なお、日本の基準によらない外国産のバスでは、クセニッツ CITY-IIIのように、小型バスであっても3軸(後2軸)の車両が存在する。
3軸バスは全世界的にはまだまだ健在であるものの、日本国内においては2軸型のバス設計の進歩や、導入事業者による重装備仕様の要求減少などにより3軸型の車両は衰退した。日本で3軸バスが衰退した理由としては2階建バスの生産終了が大きく、最後まで残った三菱ふそう・エアロキングも2010年8月末をもって生産を終了した。国産3軸バス(2階建バス)の生産終了後は、スカニアジャパンによりバンホール・アストロメガが輸入されている。
連節バスとしては、前述のメルセデス・ベンツ・シターロが三菱ふそうによって輸入されているほか、2019年には国産初のハイブリッド連節バスがいすゞ自動車および日野自動車(ジェイ・バス製造)から発売されている。
車軸数を4つに増やした4軸バスも存在する。ネオプラン・メガライナーは世界初の2階建て4軸バスであり、その他にスカニアのK380 8x2が存在する。日本国内では大型トラック日野・プロフィアの低床4軸シャーシをベースとした2階建てオープントップバスを使用し、西鉄バスが「FUKUOKA OPEN TOP BUS」を運行している[1]。
日本における未発売の試作4軸車としては、いすゞ自動車と慶應義塾大学、川崎市のベンチャー企業SIM-Driveが共同で製作した「電動低床フルフラットバス SAKURA」が、2011年の東京モーターショーに出展された[2]。2011年12月から2012年1月にかけて、神奈川中央交通(湘南台駅 - 慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス)、京浜急行バス(蒲田駅 - 羽田空港国際線ターミナル)による実証走行も行われた[3][4]。
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香港の3軸2階建てバス
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前軸を2つ配置したベッドフォード・VAL
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FUKUOKA OPEN TOP BUSの4軸バス
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西鉄バスが保有していた3軸バス
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ジェイアールバス関東のアストロメガ(インターシティDD)
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北京の3軸2階建てバス
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いすゞなどが制作した試作4軸車の電動低床フルフラットバスSAKURA
- ^ バスの技術・9 福岡オープントップバス - 日本バス友の会
- ^ “【TMS2011開催】本物のイノベーションを『SAKURA』に見た”. 月刊コマーシャルモーター公式ブログ「コマモANNEX」 (2011年12月3日). 2018年7月19日閲覧。
- ^ “電動低床大型フルフラットバスの試走評価を実施いたします”. 株式会社SIM-Drive公式サイト. (2011年12月16日) 2018年7月19日閲覧。
- ^ “電動低床大型フルフラットバスの試走評価を実施 「平成 23 年度環境省のチャレンジ 25 地域づくり事業」の一環として” (PDF). 株式会社SIM-Driveニュースリリース (2011年12月16日). 2018年7月19日閲覧。
- ^ FUSO NEWS 2000年11月号(通巻361号) - 三菱ふそう
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