高安動脈炎 高安動脈炎の概要

高安動脈炎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/21 09:06 UTC 版)

高安動脈炎のデータ
ICD-10 M314
統計 出典:
世界の患者数
日本の患者数 約5,000
(2005年6月3日)
○○学会
日本 日本リウマチ学会
日本脈管学会
日本炎症学会
世界
この記事はウィキプロジェクトの雛形を用いています
高安動脈炎
分類および外部参照情報
診療科・
学術分野
免疫学, リウマチ学
ICD-10 M31.4
ICD-9-CM 446.7
OMIM 207600
DiseasesDB 12879
MedlinePlus 001250
eMedicine med/2232 ped/1956 neuro/361 radio/51
MeSH D013625
テンプレートを表示

疫学

日本に最も多く患者がおり、またインド中国などのアジア諸国にも患者が多い。一方、他の地域では比較して患者数が少ない。女性に多い疾患で、男女比は1:10である。発症年齢は20代が最も多く、次いで30代や40代が多い。

症状

合併症

検査

  • 血液検査
    • 赤沈亢進、CRP陽性、白血球増加、凝固能亢進、高ガンマグロブリン血症などが見られる。
    • 新しい検査としてペントラキシン-3が、疾患活動性の指標として有用である可能性が報告されている。[2]
  • 超音波断層検査
    • 頸動脈の超音波断層検査(頸動脈エコー)でみられるマカロニサインは、総頸動脈の全周性の壁肥厚と狭小化を表しており、侵襲が少なく、簡便であり、プライマリ・ケアで非常に有用な検査である[3]
  • 血管造影
    • カテーテルを動脈内に挿入し、造影剤を注入して検査を行う。大・中動脈の狭窄、閉塞、拡張、動脈瘤の程度を評価できるが、大動脈炎の診断そのものには寄与しない。検査と同時に血管内治療を行うことができるメリットがある。
  • CTMRI
    • 造影剤を用いた検査は本症の診断にきわめて重要であり、ダイナミック造影と呼ばれる手技を用いることで、動脈の狭窄程度なども評価できる。
  • CTアンジオグラフィー、MRアンジオグラフィー
    • 造影・非造影MRIや造影CTの情報を三次元的に再構成したMRA(MRアンジオグラフィ)およびCTA(CTアンジオグラフィ)で、血管造影より精度は劣るものの同様の効果を得ることが出来る。
  • PET-CT
    • FDG(フルオロデオキシグルコース、陽電子放出フッ素で標識されたグルコースの類似体)を用いたPETでは高集積部位として炎症部位を見ることが出来るが、炎症が狭い範囲の動脈壁に限局している場合には動脈硬化性の炎症と鑑別が困難である。PET-CTではFDGの高集積範囲を精細に評価できるため、炎症が動脈壁から周囲組織に波及している場合には大動脈炎の診断が容易であり、炎症範囲の評価にも有用である。[4]

診断

診断基準と重症度分類[5]

病型分類
  • I型:大動脈弓分岐血管
  • II a型:上行大動脈、大動脈弓及びその分岐
  • II b型:IIa病変+胸部下行大動脈
  • III型:胸部下行大動脈、腹部大動脈、腎動脈
  • IV型:腹部大動脈、かつ/又は、腎動脈
  • V型:IIb + IV型(上行大動脈、大動脈弓及び
  • その分岐血管、胸部下行大動脈に加え、腹部大動脈、かつ/又は、腎動脈)

診断基準

動脈造影で確定診断を行う。大動脈とその第一次分枝に閉塞性または拡張性病変が多発していれば当疾患を疑い、炎症反応があれば確定する。その他、自覚症状や検査所見が合致し、鑑別疾患が除外できるものも当疾患であるとする。

  • 鑑別疾患
動脈硬化症、炎症性腹部大動脈瘤、血管ベーチェット病梅毒性中膜炎、巨細胞性動脈炎、先天性血管異常、細菌性動脈瘤、全身性硬化症バージャー病

重症度分類

治療せず経過観察のみあるいはステロイドを除く治療を短期間加える程度の段階をI度とし、治療の難度や合併症によってV度までの5段階に分類する。


  1. ^ 高橋啓 「CHCC2012」の概要と改訂のポイント,2016年1月確認
  2. ^ Dagna L et al.Pentraxin-3 as a Marker of Disease Activity in Takayasu Arteritis.Ann Intern Med. 2011 Oct 4;155(7):425-33.
  3. ^ WA Schmidt. Rheumatology (Oxford). Diagnosis of early Takayasu arteritis with sonography. 2002;41(5):496-502. doi:10.1093/rheumatology/41.5.496.
  4. ^ Tezuka D, et al. Role of FDG PET-CT in Takayasu arteritis: sensitive detection of recurrences. JACC Cardiovasc Imaging. 2012;5(4):422-9. doi:10.1016/j.jcmg.2012.01.013.
  5. ^ a b 高安動脈炎(指定難病40) 難病情報センター]
  6. ^ 高安右人「奇異ナル網膜中心血管ノ変化ノ一例」『日本眼科学会雑誌』第12巻、1908年、 554-555頁、 NAID 10024034146


「高安動脈炎」の続きの解説一覧




高安動脈炎と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「高安動脈炎」の関連用語

高安動脈炎のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



高安動脈炎のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの高安動脈炎 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS