日本の食事作法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/07 01:02 UTC 版)
会食
食べ物を口に含んで噛む時は、しっかり口を閉じる。基本的に咀嚼中は会話をしない。口に食べ物を入れたまま(口をあけて)喋る事は嫌悪感も与え、作法に反する。会話は、料理が途切れたときなど、口の中に食べ物が入っていない時に行う。
複数人で会食する時は、同席者の食事のペースに合わせ、他の人より著しく早く食べ終わったり、あるいは他の人が食べ終わっているのに自分だけがまだ食事中であるなど、他の人とペースが著しく違ならないように気を払う。途中で席を立つのが無作法なのは共通している。
座敷
座敷など座布団の上に座る場所での食事などでは、座る位置がその場の上下関係(ヒエラルキー)を暗に示している(→上座)。多くの場合では、入り口から最も遠く、床の間という掛軸や生け花が飾ってある場所が「上座」とよばれ、一番目上の人か大切なゲストが座る位置である。また座布団を足で踏むのはかなり失礼な行為となる。仕事(ビジネス)上でトラブルを避けるためには、案内する者に名刺などを渡して、案内され示された場所に座る。
畳が敷いてある場所では履物(靴・サンダル・スリッパ)を脱ぐ。一方で靴下や足袋は脱がない。これは畳の上で履物を穿くのは葬儀中の死者以外におらず縁起が悪いこととされるためである。このほか、障子や襖の敷居(しきい:障子や襖が移動する木でできたレール)を踏むのも無作法とされるので、意識してまたぎ越えるようにする。この理由は、敷居は柱と繋がって家の構造となっているので、敷居を踏むと家が傷むからである[8]。敷居は部屋と廊下の境目になっている部分にある。
酒
格式を重んじる席では、酒類は食事が一段落した後や、料理ができるのを待たせる間に出てくる。料理を主に食べている間は、酒は出ない。日本食であるにも関わらず、料理と酒が一緒に出てくる場合は、格式を重んじないくだけた席とみなされる。
格式を重んじる懐石では最初の向付から酒が出され、八寸も肴であるため酒が出される。
また格式を重んじる本膳料理は酒席などもてなしの料理のため初めから終わりまで酒が供される。
その間は酒と少量の料理が出るが、この間は「酒を飲みながら談笑する」など、ある程度はくつろいだ時間になるため、酒があるうちは厳格な作法を求められない。
注釈
出典
- ^ a b c 『日本の伝統食に学ぶ』 東京家政学院大学名誉教授 江原絢子 2013年1月
- ^ 京都大学人文科学研究所人文學報, 86: 97-142頁
- ^ 戴きますとは - コトバンク
- ^ 御馳走様とは - コトバンク
- ^ [1]
- ^ [2]
- ^ 四季 日本の料理 春 講談社
- ^ 畳の縁は本当に踏んではいけないのか?小笠原流の教え【2】-PRESIDENT Online スペシャル/PRESIDENT BOOKS 2016年2月10日(水)
- 日本の食事作法のページへのリンク