小野小町 小野小町にちなむ作品

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小野小町

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/02 12:59 UTC 版)

小野小町にちなむ作品

「卒塔婆の月」(月岡芳年『月百姿』)年老いた小野小町
通小町(月岡耕漁『能楽図絵』)

小野小町を題材とした作品を総称して「小町物」という。

小野小町を題材にした七つの謡曲、『草紙洗小町』『通小町』『鸚鵡小町』『関寺小町』『卒都婆小町』『雨乞小町』『清水小町』の「七小町」がある。これらは和歌の名手として小野小町を讃えたり深草少将百夜通いを題材にしたものと、年老いて乞食となった小野小町に題材にしたものに大別される。後者は能作者らによって徐々に形作られていった「衰老落魄説話」として中世社会に幅広く流布した。

歌舞伎

  • 積恋雪関扉(つもるこい ゆきの せきのと) 通称「関の扉」、歌舞伎舞踊常磐津)、天明4年 (1784) 江戸桐座初演
  • 『去程恋重荷』(さるほどに こいのおもに) 通称「恋の重荷」、歌舞伎舞踊(常磐津)、文政2年 (1819) 江戸中村座初演
  • 六歌仙容彩(ろっかせん すがたの いろどり) 通称「六歌仙」、歌舞伎舞踊(義太夫長唄清元)、天保2年 (1831) 江戸中村座初演
  • 『和歌徳雨乞小町』(わかの とく あまごい こまち) 通称「雨乞小町」、歌舞伎狂言、明治29年 (1896) 東京明治座初演

御伽草子

美術

鎌倉時代に描かれた、野晒しにされた美女の死体が動物に食い荒らされ、蛆虫がわき、腐敗して風化する様を描いた九相詩絵巻は別名を「小野小町九相図」と呼ばれる。モデルとしては他に檀林皇后も知られ、両人とも「我死なば焼くな埋むな野に捨てて 痩せたる(飢ゑたる)犬の腹を肥やせ(よ)」の歌の作者とされた。

裁縫用具

  • 裁縫に使う「待ち針」の語源は小野小町にちなむという俗説がある。言い寄ってくる多くの男に小野小町がなびくことがなかったため、穴()のない女と噂されたという伝説に基づき、穴のない針のことを「小町針」と呼んだことから来ているというものである[9]
  • 横溝正史の推理小説『悪魔の手毬唄』に登場する手毬唄では、「穴がない女性」という意味で「小町」の語が用いられている。

舞台

  • 『夜会』Vol.5(1993年)
中島みゆきの舞台。サブタイトルが「花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせし間に」である。ポスターには十二単を着て小野小町に扮した中島みゆきが後姿で写っている。ストーリーは小野小町の伝承と、上田秋成雨月物語の中の浅茅が宿をモチーフにしている。
  • 『ミュージカル小野小町』
わらび座2007年上演の舞台。内舘牧子脚本、椿千代主演)は小町が残した「我死なば 焼くな埋むな 野にさらせ 痩せたる犬の 腹を肥やせよ」の歌から、自分の人生を生ききった美しいだけではない強い女性として小町を描いている。
  • 『小町の千年情話』
さちいろ玉手箱第一回公演、2013年8月の舞台。真波連路の落語輪廻小町を星恵が舞台劇に脚色、演出。企画、主演は棚橋幸代。生前の愛憎のもつれのために、没後、一千年も成仏できず、江戸の町をさまよう小野小町の霊。やっと成仏できる機会がめぐってきたが、小町の霊は、その機会を自分でふいにしてしまい、そして……。

小説

  • 『小説 小野小町「吉子の恋」』
三枝和子著。小野小町の本名が「小野吉子」で、文徳天皇更衣だったとする説を採用して、その一生を描いている。

アニメ

六歌仙のひとりとして3話から5話にかけて登場。声を演じたのは遠藤綾

原作者であり監督の新海誠は、小町の古今和歌集の和歌から着想を得て、この作品をつくったとしている[10]

原文

思ひつつ寝ればや人の見えつらむ 夢と知りせば覚めざらましを

現代語訳
あの人のことを思いながら眠りについたから夢にでてきたのだろうか。夢と知っていたなら目を覚まさなかっただろうものを。

ドラマ

小野小町と深草少将の「百夜通い」の如く、公家の裏切りに傷ついた白拍子への想いを証明しようとした面打師・孫四郎(演 - 名高達郎)は九十九夜を最後に通いは途絶えた。時は流れ、転生した孫四郎は現代の京都で低温科学研究所に勤務する青年・山村三郎(演 - 名高達郎)として幸福な結婚をするが、前世の恋人が死ぬことなく400歳の妖怪「氷女」と化して真夏の上に異常気象で酷暑に見舞われる「きらら坂」に現れて男性を次々と死なせる事件を引き起こし、「百日行」の残り一日を目前にした修行僧・日信(演 - 小林芳宏)や三郎の父・山村孝吉(演 - 芦屋小雁)も犠牲になった。京都府警の早川六助(演 - 遠藤太津朗)は捜査の過程で、記録にあるだけでも戦後から5件も同様の怪事件が起きていることを知り困惑する。更には、妻・民子(演 - 村田みゆき)も「氷女」を目撃したショックで眼が見えなくなり入院してしまう。その一方で、「氷女」の前に非業の死を遂げた日信の怨霊が出没して恨み言をぶつける。真夏の凍死事件の記事を読んだ三郎は父が恋い焦がれた着物デザイナーの九条沙織(演 - 宇津宮雅代)が人間の法律では裁けぬ妖怪だと確信して罠を仕掛け、背後から忍び寄った「氷女」にナイフを突き刺して致命傷を与えるが、彼女は三郎の前世である孫四郎の恋人であり、三郎の妻は沙織の妹の転生だった。死に際、妹を幸せにしてやって下さいと言い残し、沙織は呪われた人生の幕を閉じた。その直後、民子は眼が見えるようになる。


注釈

  1. ^ 傍証として小野小町の歌集『小町集』に前の陸奥国の女性の歌が紛れ込んでいる。

出典

  1. ^ 前田善子『小野小町』三省堂、1943年
  2. ^ 角田文衛「小野小町の実像」『王朝の映像-平安時代史の研究』東京堂出版、1970年
  3. ^ 黒岩 1913, pp. 7–11[注釈 1]
  4. ^ 小野町 歴史”. 小野町. 2018年1月17日閲覧。
  5. ^ 小野の泉水(おののせんすい) 植木町 - 熊本県庁(アーカイブ)
  6. ^ 「小野小町と小町神社(厚木市小町)」(読売新聞横浜支局 編『神奈川の伝説』有隣堂、1967年。ISBN 978-4-305-70781-9 )149 - 152頁。
  7. ^ 小野小町公園”. 日本海トラベル.. 2020年2月18日閲覧。
  8. ^ 小竹朝子; 永井久美子 (2019年3月7日). “世界三大美人言説から見えてくる人々の「認識」の作られ方 小野小町は本当に美人だったのか”. 東京大学大学院総合文化研究科・教養学部. 2021年7月14日閲覧。
  9. ^ 宮武外骨編『日本擬人名辞典』附録5頁(成光館、1930)
  10. ^ 映画『君の名は。』公式サイト 新海誠[監督]インタビュー


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