大峠道路
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/18 07:13 UTC 版)
概要
- 起点:福島県喜多方市関柴町西勝
- 終点:山形県米沢市大字入田沢
- 全長:25.2 km
- 規格
- 起点 - 県境(4.1 km):第3種第2級
- 県境 - 終点(21.1 km):第3種第3級
- 設計速度:60 km/h
- 道路幅員
- 最小半径:300 m
- 最急勾配:5 %
- 車線幅員:3.25 m
- 車線数:2車線
特徴
福島・山形県境区間にまたがる大峠を越える旧道ルートは1887年に福島県により開削され、このルートの開通により、福島県 - 山形県 - 秋田県の物資輸送が本格化した。1934年(昭和9年)に改良工事がおこなわれ、自動車通行が可能となり、会津若松市と米沢市を結ぶ路線バスが運行開始されたが、2012年(平成24年)現在は定期路線としては廃止されている。
しかし1960年代に入り、砂利道で幅がせまい箇所が多く、11月 - 5月は冬季通行止めとなっていたことから改良を求める声があがり、1974年に現行ルートへの改良事業に着手となった。現行ルートは1984年に核となる全長3,940 mの大峠トンネルが貫通、1992年(平成4年)8月9日に大峠トンネルを含めた県境区間14.47 kmと喜多方側の一部4.1 kmが完成した。その後、熱塩加納村(現喜多方市)の一部区間(1.7 km)が開通し、2009年(平成21年)12月19日には喜多方側2.5 kmが開通し、未成区間は残り2.6 kmとなった。これらのバイパスは冬季の路線維持のために、最上級の除雪体制・道路監視体制が整えられており、福島県側の7つのトンネル群は、通称「虹のトンネル」と呼ばれている。これらのバイパスの開通により、喜多方市より福島県道16号喜多方西会津線経由で国道49号へ出れば、南陽市から国道113号経由で日東道や国道7号へ出るより走行しやすいこともあり、高速道路料金を避けるために九州・四国・近畿・北陸と東北・北海道を往復する大型長距離トラック・トレーラーの通行量が急増することになった[注釈 1]。
2010年(平成22年)9月11日に福島県道333号日中喜多方線で代替されていた最後の未成区間が開通し事業開始から37年目にして全線開通した。総事業費は560億円であった。なお、大峠道路が全線開通していないという理由から、特に山形県側において路肩崩落及び土砂崩れが酷く通行止めとなっていた旧道ルートが長らく国道の本道に指定されてきたが、全線開通後2011年(平成23年)10月25日に福島県側が、2012年(平成24年)1月6日に山形県側が正式に国道指定から外れた。
沿革
- 1974年度(昭和49年度) - 事業着手。
- 1984年(昭和59年)6月 - 大峠トンネル貫通。
- 1992年(平成4年)8月9日 - 一部供用開始。
- 1996年(平成8年)4月 - 道の駅喜多の郷オープン。
- 1998年(平成10年)3月 - 道の駅田沢オープン。
- 2010年(平成22年)9月11日 - 最後の未開通区間2.6 kmが開通、これにより全線開通。
- 2011年(平成23年)1月28日 - 旧道の国道121号の指定 (山形県側) の一部が廃止。
- 2011年(平成23年)10月25日 - 国道121号の指定 (福島県側) が本ルートに一本化。
- 2012年(平成24年)1月6日 - 国道121号の指定 (山形県側) が本ルートに一本化。
- 2022年(令和4年)
- 7月4日 - 6月27日の大雨により米沢市大字入田沢で道路下部の法面崩落が発見され、喜多方市熱塩加納町熱塩字弥平沢から米沢市大字入田沢の八谷トンネル北側ゲートまでの福島県内延長7.0 km、山形県内延長5.3 kmの区間が全面通行止めとなる[1][2]。
- 7月7日 - 被災箇所延長150 mを片側交互通行とし、全面通行止めを解除した[3]。
- 8月3日 - 令和4年8月豪雨による雨量超過のため、福島県内延長7.0 km、山形県内延長6.5 kmの区間が全面通行止めとなる[4]。
- 8月4日 - 米沢市大字入田沢で道路流失が発見されたため、引き続き通行止めとなった[5][6]。
- 8月26日 - 同区間の1車線確保のための応急復旧は高度な技術力を要することから国による権限代行による災害復旧を行うことになった[7]。
- 10月24日 - 被災箇所3か所の応急復旧が完了し、終日片側交互通行によって通行が解放された[8]。
注釈
- ^ あくまでも米沢市から新潟県を東部-南西部へ縦断する場合の一般道経由での最短ルートであるが、国道113号以北の地域とは、国道113号経由で関川村に出たほうが最短最速になることがほとんどである。
出典
- ^ “国道ののり面が崩落12.3キロが全面通行止めに 山形県米沢市国道121号”. TBS NEWS DIG (JNN). (2022年7月5日) 2022年7月6日閲覧。
- ^ 『国道121号(山形県米沢市田沢地内〜喜多方市熱塩加納町熱塩字弥平沢地内)の通行止めについて』(PDF)(プレスリリース)福島県土木部道路管理課、2022年7月4日 。2022年7月6日閲覧。
- ^ 『国道121号(山形県米沢市田沢地内〜喜多方市熱塩加納町熱塩字弥平沢地内)の通行止めから片側交互通行への移行について』(PDF)(プレスリリース)福島県土木部道路管理課、2022年7月7日 。2022年8月27日閲覧。
- ^ 『令和4年8月3日の降雨に伴う国道121号(山形県米沢市田沢地内〜喜多方市熱塩加納町熱塩大桧沢山地内)の事前通行規制について』(PDF)(プレスリリース)福島県土木部道路管理課、2022年8月3日 。2022年8月27日閲覧。
- ^ 『異常気象による道路通行規制箇所一覧表』(PDF)(プレスリリース)福島県土木部道路管理課、2022年8月4日 。2022年8月27日閲覧。
- ^ 『8月3日からの大雨に係る被害状況等について(置賜)』(PDF)(プレスリリース)山形県置賜総合支庁、2022年8月24日 。2022年8月27日閲覧。
- ^ 『国道121号の早期復旧に向け国の権限代行による災害復旧事業(応急復旧)に着手』(PDF)(プレスリリース)国土交通省道路局、2022年8月26日 。2022年8月27日閲覧。
- ^ 『国道121号全面通行止め区間の通行再開について 〜10月24日午前6時から通行可能〜』(PDF)(プレスリリース)国土交通省東北地方整備局山形河川国道事務所・山形県・福島県、2022年10月21日 。2022年10月24日閲覧。
固有名詞の分類
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