大地の歌 初演

大地の歌

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/25 04:59 UTC 版)

初演

オーケストラとソリスト稿

本作の世界初演は1911年11月20日ミュンヘンにて、ブルーノ・ワルター指揮、カイム管弦楽団(ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団の前身)によって行われた。この年の5月にマーラーはこの世を去っており、マーラーの弟子であるワルターが指揮を担当することとなった。ワルターはその時の思いを自叙伝『主題と変奏』において「…『大地の歌』の初演は最も貴重な芸術上事件として生涯忘れることはできない。それは、マーラーが残してくれた、私自身にとっても極めて大事なこの作品の初演の責任を感じていたことであり、さらには、私が師に代わって行う事を感じていたことなどが理由である。また、初演で、彼から私にゆだねられたスコアがここに初めて感動的な音楽の響きとなるや、故人の有り様を痛ましくもまた身近に感じたからだ。…」と書き残している。

日本初演は1941年1月22日、東京の日比谷公会堂における第222回定期演奏会にてヨーゼフ・ローゼンシュトック指揮、新交響楽団(NHK交響楽団の前身)、木下保(T)、四家文子(A)による。

ピアノとソリスト稿初演

ピアノとソリスト稿の世界初演は、1989年5月15日東京都国立音楽大学講堂にて、ヴォルフガング・サヴァリッシュのピアノ、マリャーナ・リポフシェク、エスタ・ヴィンベルイの独唱によって行われた。

出版

オーケストラとソリスト稿

1912年ウィーンウニヴェルザール出版社から出版。1964年には国際マーラー協会による「全集版」が同社から出版。1990年には「全集版」の改訂版が出版された。

ピアノとソリスト稿

1989年、ウニヴェルザール出版社からピアノ稿が出版。

楽器編成

声楽

管弦楽

ピアノとソリスト稿

マーラーはこの作品の全曲のピアノ伴奏による稿を遺している。オーケストラ稿とは小節数や音、歌詞などに相違がある。このピアノ稿は、ヴォーカル・スコアのように作品に付随して生み出されたものとは異なり、独立した作品として構想され、同時並行的に作曲が進められている。このような例は、他に『少年の魔法の角笛』、『亡き子をしのぶ歌』があり、この曲の歌曲的性格を示す。

このピアノ稿はマーラー存命中に演奏・出版されることがなく、死後、自筆譜を妻アルマが所持していた。1950年代にアルマは自筆稿を画商のオットー・カリルに贈り、これがステファン・ヘフリングによって校訂され、1989年にマーラー全集の補巻として出版された。

オーケストラ稿とピアノ稿との比較によって、構想の推移やマーラーの意図をある程度つかむことができる。この成果から、1990年にオーケストラ稿の改訂版が出版されている。

アルトとバリトンの選択について

マーラーは偶数楽章をアルトまたはバリトンの独唱にあてており、その選択は演奏者に委ねられている。初演の指揮者でマーラーの直弟子のワルターは、この曲をたびたび演奏しているが、バリトンでの演奏は1度きりだった。そのこともあって、現在では男声と女声の対比をつけるためにアルトで演奏・録音する例が圧倒的に多い。

そのためバリトンでの演奏・録音の例は多くないが、クリップスクレツキバーンスタインラトルサロネンケント・ナガノなどが指揮した録音がある。なかでもバーンスタインがバリトンにフィッシャー=ディースカウを起用してウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と行った録音が知られている。


  1. ^ EAM: World Premiere of Krzysztof Penderecki's Symphony No. 6 with the Guangzhou Symphony Orchestra”. www.eamdc.com. 2020年7月14日閲覧。
  2. ^ 柴田 (1990), pp. 192-193.
  3. ^ ダイヤの玉






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