ルル (オペラ) 『ルル組曲』

ルル (オペラ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/15 07:35 UTC 版)

『ルル組曲』

ソプラノと管弦楽のための『オペラ"ルル"からの交響的小品』(Symphonische Stücke aus der Oper „Lulu“)いわゆる『ルル組曲』は1934年に作曲された。構成は以下の通りである。

  1. ロンド - 第2幕のアルヴァとルルの会話の場面で流れる管弦楽のパート。
  2. オスティナート - 第2幕、シェーン博士を射殺したルルが逮捕されてから収監されるまでの一部始終を描いた映画の音楽。
  3. ルルの歌 - 第2幕、ルルがシェーン博士に向かって歌うアリア。
  4. 変奏曲 - 第3幕第1場の終わりで、ルルが警察にまたもや追われて逃れる部分の音楽。
  5. アダージョ・ソステヌート - 第3幕の終結部。ルルの死とゲシュヴィッツ伯爵令嬢の悲鳴。

1934年11月30日にエーリヒ・クライバーの指揮によってベルリンで初演され、好評を博したが、クライバーはその4日後にベルリン国立歌劇場の音楽監督をやめてドイツを去っている[9]。ベルク自身は、死の直前の1935年12月11日にウィーンオズヴァルト・カバスタ指揮の演奏に出席した[10]

第3幕が補筆されるまでは、第2幕の後に「変奏曲」と「アダージョ・ソステヌート」を演奏するのが慣例となっていた。

引用

第1幕第3場には『ローエングリン』の「結婚行進曲」が、そして第3幕にはヴェーデキント自身が作曲した『リュートの歌』が引用されている。また、ベルク自身の『ヴォツェック』から動機の引用が見られるのも特徴である(第1幕第3場での冒頭の引用、第3幕終結部でのマリーの期待を示す空虚五度の引用など)。

楽器編成

クラシック音楽史上初めてヴィブラフォンを使用した曲として知られている[要出典][注 3]

ピット内

木管楽器フルート3(2番と3番はピッコロ持ち替え)、オーボエ3(3番はイングリュッシュ・ホルン持ち替え)、アルト・サクソフォーンクラリネット3、バスクラリネット1、ファゴット3(3番はコントラファゴット持ち替え)

金管楽器ホルン4、トランペット(C管)3、トロンボーン3、チューバ1

打楽器:ティンパニ(4個)、トライアングルタンブリン小太鼓、ジャズ・ドラム、大太鼓シンバル(合わせと懸垂)、ルーテタムタム(大小)、ゴングヴィブラフォーン

ピアノハープ

弦楽器:14型、1stヴァイオリン14、2ndヴァイオリン12、ヴィオラ10、チェロ8、コントラバス6

舞台上 (第1幕第3場)

クラリネット3(テナーサクソフォーン1本持ち替え)、アルトサクソフォーン、ジャズトランペット2、スーザフォン、ジャズ用のドラムセットバンジョー、ピアノ、ヴァイオリン3、コントラバス。

メディア

CD

2幕版

3幕版

DVD

2幕版

3幕版


  1. ^ チャンパイ、ホラント (1988) pp. 342-343
  2. ^ a b Jarman, Douglas (1992). Alban Berg: Lulu. Cambridge University Press. p. 7 
  3. ^ Clements, Andrew「ルル」スタンリー・セイディ編、日本語版監修:中矢一義、土田英三郎『新グローヴオペラ事典』白水社、2006年、p. 778
  4. ^ Jarman (1992) pp. 47-48
  5. ^ 昭和音楽大学オペラ研究所 オペラ情報センター
  6. ^ 昭和音楽大学オペラ研究所 オペラ情報センター
  7. ^ 昭和音楽大学オペラ研究所 オペラ情報センター
  8. ^ a b 浜尾 (1998) pp. 215-217
  9. ^ Perle (1985) pp.240-241
  10. ^ Perle (2001) p.111
  1. ^ ベルクは2作目のオペラの題材としてゲアハルト・ハウプトマンの『ピッパは踊る』(Und Pippa tanzt!) も検討していたが、友人たちは『ルル』を推し、おそらくハウプトマン側の意向もあって実現しなかった。Perle (1985) p. 40
  2. ^ 公式にはほかの仕事で忙しいと言ったが、実際の理由は原稿の中に反ユダヤ主義的な内容、とくにユダヤ人である銀行家の演じ方について、元のヴェーデキントの台本にはない「mauscheln」(ユダヤ人を軽蔑して指す語である「Mauschel」に由来し、「イディッシュ語で話す」という意味)という指示を見つけたことが原因だったという説がある。Perle (1985) pp.287-288
  3. ^ ヴィブラフォンを目立つ形で最初に用いた作品はハヴァーガル・ブライアンのオペラ "The Tigers" (1917-19/1928-29/1969)である可能性があり、ダリウス・ミヨー1932年の "L'annonce faite à Marie" で用いている。Blades, James; Holland, James (2001), “Vibraphone”, in Sadie, Stanley, The New Grove Dictionary of Music and Musicians, 26 (2nd ed.), Oxford University Press, p. 522 





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