ルル (オペラ) 音列

ルル (オペラ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/15 07:35 UTC 版)

音列

『ルル』は自由に作曲されたところもあるが、師シェーンベルクの十二音技法も使われている。しかし全部に1つの音列を使うというよりも、登場人物それぞれに固有の音列を与えている。つまり、リヒャルト・ワーグナーのオペラのライトモティーフに似た機能を果たす。またこれらの音列の前半はどれも調性の枠内にあり、ベルクの後期によくみられる十二音技法への調性的要素の導入を示している[8]

ベルクは、一つの基本音列をもとに各登場人物の音列を引き出している[8]

B, D, E, C, F, G, E, F#, A, G♯, C♯, B

たとえばアルヴァの音列は、基本音列を何度も反復したそれぞれ7つめの音を抜き出す。

B, D, E, C, F, G, E, F♯, A, G♯, C♯, B, B, D, E, C, F, G, E, F♯, A, G♯, C♯, B...

そうしてできたアルヴァの音列はこうである。

B, F♯, E, G♯, F, B, E, D, A, C, C♯, G

シェーン博士の音列は、基本音列を反復させ、最初の音を抜き、1つ空けて、次の音を抜き、2つ空けて、次の音を抜き、3つ空けて、次の音を抜き、(ここから逆になる)3つ空けて、次の音、2つ空けて、次の音、1つ空けて、次の音……となる。

B, D, E, C, F, G, E, F♯, A, G♯, C♯, B, B, D, E, C, F, G, E, F♯, A, G♯, C♯, B...

そうしてできたシェーン博士の音列はこうである。

B, E, G, G♯, D, F, E, A, B, C, F♯, C♯
\relative c' {\clef treble \omit Staff.TimeSignature \cadenzaOn <d! bes' es>1 <g! c! f!> <a! e'! fis> <b! cis gis'>}
"Bild Motiv"

ルルの音列は、基本音列を3つずつ和音にした動機(「絵の」動機 (Bild Motiv) と呼ばれる)の各声部を順に取っていくことで得られる。

E, F, G, A, B, C, E, C♯, D, G, A, B

  1. ^ チャンパイ、ホラント (1988) pp. 342-343
  2. ^ a b Jarman, Douglas (1992). Alban Berg: Lulu. Cambridge University Press. p. 7 
  3. ^ Clements, Andrew「ルル」スタンリー・セイディ編、日本語版監修:中矢一義、土田英三郎『新グローヴオペラ事典』白水社、2006年、p. 778
  4. ^ Jarman (1992) pp. 47-48
  5. ^ 昭和音楽大学オペラ研究所 オペラ情報センター
  6. ^ 昭和音楽大学オペラ研究所 オペラ情報センター
  7. ^ 昭和音楽大学オペラ研究所 オペラ情報センター
  8. ^ a b 浜尾 (1998) pp. 215-217
  9. ^ Perle (1985) pp.240-241
  10. ^ Perle (2001) p.111
  1. ^ ベルクは2作目のオペラの題材としてゲアハルト・ハウプトマンの『ピッパは踊る』(Und Pippa tanzt!) も検討していたが、友人たちは『ルル』を推し、おそらくハウプトマン側の意向もあって実現しなかった。Perle (1985) p. 40
  2. ^ 公式にはほかの仕事で忙しいと言ったが、実際の理由は原稿の中に反ユダヤ主義的な内容、とくにユダヤ人である銀行家の演じ方について、元のヴェーデキントの台本にはない「mauscheln」(ユダヤ人を軽蔑して指す語である「Mauschel」に由来し、「イディッシュ語で話す」という意味)という指示を見つけたことが原因だったという説がある。Perle (1985) pp.287-288
  3. ^ ヴィブラフォンを目立つ形で最初に用いた作品はハヴァーガル・ブライアンのオペラ "The Tigers" (1917-19/1928-29/1969)である可能性があり、ダリウス・ミヨー1932年の "L'annonce faite à Marie" で用いている。Blades, James; Holland, James (2001), “Vibraphone”, in Sadie, Stanley, The New Grove Dictionary of Music and Musicians, 26 (2nd ed.), Oxford University Press, p. 522 





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