モチノキ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/06 18:29 UTC 版)
モチノキ | ||||||||||||||||||||||||
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モチノキ
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Ilex integra Thunb. (1784)[1] | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
モチノキ(黐木) |
分布・生育地
日本では東北地方中部以南(宮城県・山形県以西)の本州、四国、九州、南西諸島に分布し[5][4]、日本国外では朝鮮半島南部、台湾、中国中南部に分布する[5]。沿岸の山地や[5]、暖地の山地に自生する[6]。葉がクチクラ層と呼ばれるワックス層に覆われていることから塩害に強く、寒気の強い内陸では育ちにくいため、暖かい地方の海辺に自生する[7]。人の手によって、庭などに植栽もされる[2]。
特徴
常緑広葉樹の中高木[6]。雌雄異株で、株単位で性転換する特性がある[7]。樹皮は灰色で、皮目以外は滑らか[2]。一年枝は緑色で無毛である[2]。
葉は互生するが、枝先はやや輪生状に見える[2]。葉身は長さ4 - 7センチメートル (cm) 、幅2 - 3 cmの楕円形・倒卵状楕円形で、革質で濃緑色をしている[5][4]。葉は水分を多く含んでいる[4]。
開花期は春(4月ごろ)で[5]、雄花・雌花ともに直径約8ミリメートル (mm) の黄緑色の小花が、葉の付け根に雄花は数個ずつ、雌花は1 - 2個ずつつける[4]。花弁はうすい黄色でごく短い枝に束になって咲く。雄花には4本の雄蕊、雌花には緑色の大きな円柱形の子房と退化した雄蕊がある。
果実は直径10 - 15 mmの球形の核果で、内部に種子が1個ある。はじめは淡緑色だが、晩秋(11月)に熟すと赤色になり[7]、鳥が好んで食べる[5][4]。果実の先端には浅く裂けた花柱が黒く残る[6]。実は冬まで残り[5]、長く枝に残るものは黒くなる[2]。
冬芽のうち、花芽は雄株・雌株ともに葉の付け根につき、雄株のほうが花芽は多い[2]。頂芽は円錐形で小さい[2]。葉痕は半円形で、維管束痕は1個つく[2]。
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雄花
天敵
モチノキにはモチノキタネオナガコバチという天敵が存在する[7]。このコバチは夏に発育中の種子の中に産卵し、幼虫と成って越冬する。幼虫は実の色を操作する能力があり、秋になれば本来赤くなる実を緑のままにすることで、実が鳥に食べられる事態を避ける。鳥に食べられる事によって繁殖するモチノキにとって、コバチの産卵は繁殖の妨げとなる。
モチノキは花粉を受粉しなくても種子を形成し、果実まで成熟することができる能力があり、調査によって未受精の種子は全体の3割に及ぶことが判明している[7]。コバチは受精した種子にしか産卵しない特性があり、時間と労力をかけて産卵管を挿入しても、未受精の種子だった場合は産卵せずに抜いてしまう。未受精の果実は発芽しないため繁殖の役には立たないが、産卵に無駄なコストをかけさせることでコバチの繁殖を妨害する対抗手段となっている[7]。
- ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Ilex integra Thunb. モチノキ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年3月7日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 42.
- ^ 三省堂百科辞書編輯部 編「もちのき」『新修百科辞典』三省堂、1934年、2017頁。
- ^ a b c d e f g 山﨑誠子 2019, p. 82.
- ^ a b c d e f g h i 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 133.
- ^ a b c d e f g h i j k l 正木覚 2012, p. 105.
- ^ a b c d e f 渡辺一夫 2017, pp. 140–148.
- ^ 辻井達一 2006, p. 117.
- ^ 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 40.
- ^ 藤山宏『プロが教える住宅の植栽』学芸出版社、2010年、9頁。
- ^ “町の概要/ 岐南町公式ホームページ ぎなんねっと”. www.town.ginan.lg.jp. 2023年5月22日閲覧。
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