ホンダ・L型エンジン ホンダ・L型エンジンの概要

ホンダ・L型エンジン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/21 01:51 UTC 版)

ホンダ・L型エンジン
L13A 1.3L i-DSI エンジン
生産拠点 本田技研工業
製造期間 2001年6月 -
タイプ 直列4気筒SOHCi-DSI8バルブ
直列4気筒SOHCi-VTEC8バルブ
直列4気筒SOHCVTEC16バルブ
直列4気筒SOHCi-VTEC16バルブ
直列4気筒DOHCi-VTEC16バルブ
直列4気筒DOHCi-VTEC16バルブターボ
排気量 1.2L,1.5L,1.5L,2.0L
テンプレートを表示
LDA 1.3L i-DSI+VCM エンジン

機構

i-DSI

12A/L13A/L15A
D型の後継機種。「CO2の削減(燃費の向上)」と「排気ガスのクリーン化」を両立しながら、走る楽しさ(動力性能の向上)との高次元での融合を目指した「i-シリーズ」のエンジンであり、K型に続く第2弾として登場した。
吸・排気バルブは1つずつだが、点火プラグが対角の位置に2個ずつ取付けられ、その1つ1つに点火コイルを装着し、エンジン回転や負荷に応じて最適なタイミングと位相で点火する。吸排気ポートは燃焼室内にスワールが形成される形状にし、燃焼速度の向上を図っている。アルミシリンダーブロックにはシリンダークランクシャフトの中心軸がオフセットされ、ピストンとシリンダー間の摩擦抵抗の低減を図っている。
また、エンジン後方にエキゾーストマニホールドを取付けることにより、エンジンと三元触媒との間隔を近づけ、冷間時でも早期から排気ガスの浄化を可能にした。さらに、排気ガスを触媒のセル面に対して斜めにあて接触面積を増やし、浄化効率を向上させている。

i-DSI+VCM

LDA/LEA
シビックハイブリッドおよび2代目インサイト用に開発。可変バルブタイミング・リフト機構を応用し、減速回生時に一部または全気筒の吸・排気バルブを休止させ[1]ることにより擬似的に排気量を可変させ、吸・排気のポンピングロスを低減させている。これによりタイヤからの回転エネルギーを無駄なく発電機IMA用モーター)へ伝え、回生効率を向上させている。さらに、2代目シビックハイブリッド用は、3ステージi-VTEC(低速域:ローカム運転、高速域:吸気のみハイカムによる高出力運転、減速回生時:吸・排気バルブを休止)仕様となっている。
2代目シビックハイブリッド用及び2代目インサイト用にはエキゾーストマニホールドが無く、シリンダーヘッド内で隣り合う排気ポートが集合し、その直後に三元触媒が装備されている。

VTEC

L15A
吸・排気バルブはそれぞれ2個ずつで、高出力と実用性を両立するために、可変バルブタイミング・リフト機構が装備されている。低速域[2]で吸気バルブのうち片方を休止することにより、燃焼室内にスワールを形成させ、燃焼速度の向上を図る「VTEC-E」に類似した仕様である。

i-VTEC

L12B/L13A/L15A/LEAおよび後述のエンジン
前述したVTECと同様、低速域で吸気バルブのうち片方を休止する省燃費仕様と、低速・高速でカムプロフィールを切り替えるパフォーマンス仕様のSOHCエンジンに加え、低速域と高速域で吸気バルブの開閉タイミング(バルブタイミング)とリフト量を変化させる仕様のDOHCエンジンが存在する[3]スロットルバルブはDBWにより開閉されている。LDA後期仕様と同様にエキゾーストマニホールドが無く、シリンダーヘッド内で排気ポートが集合している。

EARTH DREAMS TECHNOLOGY

LFA

アコードハイブリッド用に開発されたミラーサイクルエンジン。「L型」の形式を持つ一方でR型エンジン(R20A型)をベースとし[4]、動弁系がDOHC化されたほか、吸気カムシャフトにはVTECと電動VTCを組合せたi-VTECが装着されている。また、ロッカーアームやクランクシャフトなどが大幅に軽量化され、水冷EGRの採用などと合わせて、多くの条件の中で熱効率の向上や冷却損失の低減が図られている。

吸気カムシャフトには燃費用と出力用のカムがあり、VTECにより状況に合わせて切り替えられる。出力用カムは燃費用カムより狭い作用角が与えられており、吸気バルブが早めに閉じることで吸気の充填効率を上げ、出力を向上させる。電動VTCはエンジン再始動時の振動を低減(吸気弁の遅閉じデコンプ制御)を可能にする目的もある。吸気バルブの遅閉じにより、圧縮比は13.0と高く設定されている。

その他、従来ベルトなどで駆動していた冷却水用ポンプやエアコン用コンプレッサーなども電動化され、補機ベルトが不要になったことによるフリクション低減やエンジン全長の短縮も図られている。

L13B

3代目フィットに初搭載されたミラーサイクルエンジン。DOHC化され吸気側では吸気遅閉じのミラーサイクルを実現する広開角カムと通常の狭開角カムを持つVTECを採用。エンジンが低回転時と、高回転高負荷時に狭開角カムを使用する。さらに吸気側に電動VTCを採用し遅閉じ制御やオーバーラップ制御を行う。圧縮比は13.5で、クールドEGRも採用する。

L15B

NA
3代目フィットに初搭載されたDOHC直噴エンジン。吸気側にはVTCとともに低速カムと高速カムによる高出力型VTECを採用する。圧縮比は11.5。点火プラグの小径化によってバルブ径を拡大し吸気効率をアップ、ポンピングロスを低減している。クランクシャフトではジャーナル径を50mmから46mmにサイズダウン、バランスウェイトも減らして軽量化している[5]
VTEC TURBO
ダウンサイジングコンセプトに基づき、L15Bにターボチャージャーを組み合わせて2.0L並みの性能を発揮する。5代目ステップワゴンに初搭載された。ホンダの登録車向けターボエンジンは初代レジェンドに搭載されたC20A以来[6]である。また、VTECと称しているがバルブ可変機構は位相可変型のVTCのみであり、これをVTECと呼ぶのはこれが初めてである。ベースとなったエンジンは前方吸気・後方排気であったが本エンジンでは後方吸気・前方排気となっている。

LEB

2代目フィットハイブリッド向けに初搭載されたミラーサイクルエンジン。上述のL15Bエンジン (NA) をベースに開発された排気量1.5Lのもので、燃料噴射を通常のポート噴射に変更の上ミラーサイクル化されている。組み合わせられるハイブリッドシステムは1モーターのSPORT HYBRID i-DCDのみであったが、2018年に発売されたクラリティPHEVには2モーターのSPORT HYBRID i-MMDが搭載された。ヴェゼルおよびジェイド搭載にあたっては本来の筒内燃料噴射との組み合わせとなっている。

歴史


  1. ^ 初代シビックハイブリッドは3気筒を、2代目シビックハイブリッド及びインサイトでは4気筒すべてを休止させる。
  2. ^ エンジン回転数の正式名称はエンジン回転速度。 JIS B 0108-1による。
  3. ^ 登場当初のi-VTECは既存のVTECに位相可変機構VTCを組み合わせたものを指していた。その後、VTCの有無に限らず何らかの新機軸を盛り込んだVTECをi-VTECと称するようになった。片バルブ休止を行うSOHC VTECは既に存在したが吸気量の検出方法を改良した事でi-VTECと称する事となった。
  4. ^ Motor Fan illustrated編集部 (2018年9月8日). “世界のエンジン オールアルバム file 046:HONDA LFA/R20A”. Motor-FanTECH(三栄). 2020年10月20日閲覧。
  5. ^ http://www.hondanews.com/channels/honda-automobiles-fit/releases/2015-honda-fit-powertrains
  6. ^ アキュラブランドでは2006年のアキュラ・RDXに搭載されたK23Aがある。


「ホンダ・L型エンジン」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ホンダ・L型エンジン」の関連用語

ホンダ・L型エンジンのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ホンダ・L型エンジンのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのホンダ・L型エンジン (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS