ホンダ・シビックタイプR 3代目(日本仕様) FD2型(2007 - 2010年)

ホンダ・シビックタイプR

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3代目(日本仕様) FD2型(2007 - 2010年)

ホンダ・シビックタイプR
(3代目 日本仕様)
FD2型
フロント
リア
概要
製造国 日本
販売期間 2007年3月 - 2010年9月
ボディ
乗車定員 4名
ボディタイプ 4ドアセダン
駆動方式 前輪駆動
パワートレイン
エンジン K20A型:
1,998cc 直列4気筒 DOHC i-VTEC
最高出力 225PS/8,000rpm
最大トルク 21.9kgf·m/6,100rpm
変速機 6速MT
サスペンション
マクファーソンストラット式
ダブルウィッシュボーン式
車両寸法
ホイールベース 2,700mm
全長 4,540mm
全幅 1,770mm
全高 1,430mm
車両重量 1,280kg
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2006年10月に公式サイトが立ち上げられ、同年のF1日本GPが開催された鈴鹿サーキットにプロトタイプが展示されるなど、発売前からプロモーション活動が展開された。2007年3月29日に発売され、シビックタイプRとしては2年ぶりの登場となったほか、インテグラ4ドアタイプRの生産終了以来、6年ぶりの4ドアタイプRとなった。先代まではベースモデルに合わせて全幅1,695mmの小型自動車(5ナンバー)であったが、この代からボディが全幅1,700mmを超えるため普通自動車(3ナンバー)となる。

先代と同じくK20A型エンジンを搭載するが、エンジンブロックは剛性面でより有利なCL7型アコードユーロRと共通化された[12]。その上でバランサーシャフトを撤去したほか、パワーステアリングを電動式から油圧式に変更し、空いたスペースをエキゾーストマニホールドに回すことで圧縮比を11.5まで向上[12]。最高出力はインテグラタイプR(DC5)やアコードユーロR(CL7)の220PSに対し、225PS/8,000rpmと5PS向上した。ボディ剛性はインテグラタイプRに対し約50%向上。タイヤには専用コンパウンドで18インチのPOTENZA RE-070を採用し、サスペンションはタイヤが確実に地面を捉えられるよう非常に固いセッティングとされた。さらにトルク感応式LSDやブレンボ製ブレーキキャリパー、ブレーキ冷却ダクトなど、スポーツ走行を意識した装備が組み込まれている。

内装ではそれまで採用されていたレカロシートではなく、新たに欧州向けタイプRのシートを基にしたホンダオリジナルのRspecシートが採用された。これにはレカロシートのライセンス料が高額で、その分の費用を他に回したいという事情もあったという[12]。エンジンスタートスイッチは、タイプRでは初のプッシュスタートシステムを採用している。

ボディを4ドアセダンとしたことにより、今までの3ドアハッチバックよりも使いやすさが向上している。これによって世帯持ちユーザーの獲得に成功し、発売後1か月での受注台数が約2,100台となるなど、順調な滑り出しを見せた[13]

2007年9月13日、シビック ワンメイクレースベース車(競技専用特別仕様)を発売。ホンダエキサイティングカップワンメイクレース2008[14]のベース車となる。

2008年東京オートサロンでは、ホンダがモデューロパーツを取り付けた「スポーツモデューロ タイプR」[15]や、M-TECが「MUGEN RR」をさらにチューニングした「MUGEN RR Experimental Spec」[16]などのコンセプトカーを展示した。

2008年9月5日、マイナーチェンジを実施。ボディカラーは「クリスタルブラックパール」、受注生産色「プレミアムホワイトパール」、「プレミアムディープバイオレットパール」の標準色と受注生産2色が追加され、「ビビッドブルーパール」は廃止された。

2010年4月19日、排出ガス規制への対応が困難になったため生産終了が発表され、同年8月をもって生産終了[17]、同年9月に販売終了となった。

シビック MUGEN RR

ホンダ・シビック MUGEN RR
FD2型
概要
製造国 日本
販売期間 2007年9月
ボディ
乗車定員 4名
ボディタイプ 4ドアセダン
駆動方式 前輪駆動
パワートレイン
エンジン K20A型:
1,998cc 直列4気筒 DOHC i-VTEC
最高出力 240PS/8,000rpm
最大トルク 22.2kgf·m/7,000rpm
変速機 6速MT
サスペンション
マクファーソンストラット式
ダブルウィッシュボーン式
車両寸法
ホイールベース 2,700mm
全長 4,570mm
全幅 1,780mm
全高 1,420mm
車両重量 1,255kg
テンプレートを表示

2007年6月28日M-TECが「Honda CIVIC MUGEN RR」を発表した[18]。価格は477万7,500円。300台限定で9月13日から販売され、申し込み開始からわずか10分で完売した。

専用カムシャフトをはじめとするエンジンのリファイン、吸排気系の大幅な変更により、最高出力は15PSアップの240PSとなっている。またボンネットのアルミ化、前バンパーやリアウイング等をカーボン製にすることにより、ノーマルタイプRと比較し約15kgの軽量化が行われた。大型ディフューザーやフロントパネル、可変リアウイングの装備により市販車としては異例のマイナスリフトを実現、専用のブレーキやサスペンションにより非常に高い走行安定性を獲得している。ボディーカラーは「ミラノレッド」のみとなり、内装にも赤が多く取り入れられている。ブリヂストンと共同開発した専用タイヤ「ポテンザ RE070 RRスペック」、軽量・高剛性専用鍛造ホイール、専用サスペンション等の採用によりコーナリングパフォーマンスを高めている。減衰力5段調整式ダンパーにより、パフォーマンス追求のみならず乗り心地等の快適性との両立を行った[19]

1台ずつ手作業で架装され、シリアルプレート(製造ナンバー)を装着した上で工場出荷された。


注釈

  1. ^ スマートフォンで撮影したサーキット内でのオンボード映像と走行データを合成させることや、車外での走行データの確認、他のユーザーとのデータ比較などの機能がある。

出典

  1. ^ シビック/シビック フェリオに安全装備を充実しマイナーチェンジ、3ドアは「タイプR」を新設定、4ドアには「LEV・II」を設定追加し発売』(プレスリリース)本田技研工業株式会社、1997年8月22日https://www.honda.co.jp/news/1997/4970822.html 
  2. ^ 「シビック/シビックフェリオ」をマイナーモデルチェンジ』(プレスリリース)本田技研工業株式会社、1998年9月3日https://www.honda.co.jp/news/1998/4980903.html 
  3. ^ 「シビック タイプR」と「インテグラ3ドアクーペ タイプR」に装備充実の「タイプR・X」を追加』(プレスリリース)本田技研工業株式会社、1999年12月16日https://www.honda.co.jp/news/1999/4991216a.html 
  4. ^ シビックタイプR(ホンダ)1997年8月~2001年11月生産モデルのカタログ”. リクルート株式会社 (2020年1月23日). 2020年1月23日閲覧。
  5. ^ シビックタイプR(ホンダ)2001年12月~2005年8月生産モデルのカタログ”. リクルート株式会社 (2020年1月23日). 2020年1月23日閲覧。
  6. ^ a b c d 英国製 新型「シビック TYPE R」プロトタイプを発表”. 本田技研工業 (2001年9月4日). 2023年9月4日閲覧。
  7. ^ シビック TYPE Rをフルモデルチェンジし発売”. 本田技研工業 (2001年10月18日). 2023年9月4日閲覧。
  8. ^ CIVIC TYPE R”. プレスインフォメーション. 本田技研工業 (2001年10月). 2023年9月4日閲覧。
  9. ^ 「航海の無事を祈る」---新型ホンダ『シビック・タイプR』 - レスポンス(2001年10月23日)
  10. ^ シビック TYPE Rをマイナーモデルチェンジし発売”. 本田技研工業 (2004年1月22日). 2023年9月4日閲覧。
  11. ^ シビック タイプR”. 今まで販売したクルマ(中古車カタログ). 本田技研工業 (2005年8月). 2023年9月4日閲覧。
  12. ^ a b c 祝!CR-Z・GT参戦連動企画!? 「最後のタイプR」ことシビック・タイプRのエンジンがレギュラーガソリン仕様ベースだった理由とは? - cliccar・2012年7月20日
  13. ^ ホンダ広報発表(2007年5月10日)
  14. ^ ホンダエキサイティングカップワンメイクレース〜シビックシリーズ〜
  15. ^ ホンダ広報発表(2008年1月9日)
  16. ^ MUGEN 東京オートサロン出展概要
  17. ^ ホンダ「シビック タイプR」8月で生産終了と発表
  18. ^ MUGEN RR プレスリリース(2007年6月28日)
  19. ^ 無限 | MUGEN RR | MUGEN RR プレスリリース”. www.mugen-power.com. 2022年2月12日閲覧。
  20. ^ デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第90号13ページより。
  21. ^ Honda Announces the End of Civic Type R Sales Honda European Media Newsroom(英語)
  22. ^ 2012年9月 社長会見 骨子
  23. ^ 【ルマン24時間 2015】シビック タイプR 新型がサプライズ公開、公道走行に歓声も - レスポンス 2015年6月19日閲覧。
  24. ^ ホンダ シビック タイプR 新型、量産FF車でニュル最速に…7分50秒63 - レスポンス 2015年3月12日閲覧
  25. ^ ホンダ、英で新型『シビック・タイプR』を出荷 - オートスポーツweb 2015年9月5日閲覧
  26. ^ 新型「CIVIC TYPE R(シビック タイプアール)」をホームページで先行公開』(プレスリリース)本田技研工業株式会社、2015年9月30日http://www.honda.co.jp/news/2015/4150930.html2015年10月28日閲覧 
  27. ^ 新型「CIVIC TYPE R(シビック タイプアール)」を発売』(プレスリリース)本田技研工業株式会社、2015年10月28日http://www.honda.co.jp/news/2015/4151028-civic.html2015年10月28日閲覧 
  28. ^ 日本で今夏発売予定の新型「CIVIC(シビック)」シリーズを東京オートサロン2017で日本初披露』(プレスリリース)本田技研工業株式会社、2017年1月13日https://www.honda.co.jp/news/2017/4170113.html 
  29. ^ 新型「CIVIC」シリーズに関する情報をホームページで先行公開』(プレスリリース)本田技研工業株式会社、2017年6月23日https://www.honda.co.jp/news/2017/4170623.html 
  30. ^ 新型「CIVIC」を発売』(プレスリリース)本田技研工業株式会社、2017年7月27日https://www.honda.co.jp/news/2017/4170727-civic.html 
  31. ^ 「CIVIC TYPE R」マイナーチェンジモデル発売延期について』(プレスリリース)本田技研工業株式会社、2020年6月25日https://www.honda.co.jp/news/2020/4200625.html2020年8月6日閲覧 
  32. ^ 「CIVIC TYPE R」マイナーチェンジモデル発売時期について』(プレスリリース)本田技研工業株式会社、2020年7月31日https://www.honda.co.jp/news/2020/4200731a.html2020年8月6日閲覧 
  33. ^ 「CIVIC TYPE R」をマイナーモデルチェンジし発売』(プレスリリース)本田技研工業株式会社、2020年10月8日https://www.honda.co.jp/news/2020/4201008-civic.html2020年10月8日閲覧 
  34. ^ 新型「CIVIC」を発売』(プレスリリース)本田技研工業株式会社、2021年8月5日https://www.honda.co.jp/news/2021/4210805-civic.html2021年8月6日閲覧 
  35. ^ https://twitter.com/HondaJP/status/1597772220880887808?s=20&t=sDHk8kE3qfSPhIlT6TUPig
  36. ^ (日本語) 【シビック TYPE R】Prototype 走行映像, https://www.youtube.com/watch?v=78rZ2FWoB6E 2022年1月25日閲覧。 
  37. ^ 交通タイムス社. “新型シビックタイプRが降臨! いまわかる中身と激熱カスタムカーを紹介【東京オートサロン2022】”. WEB CARTOP. 2022年2月27日閲覧。
  38. ^ 「東京オートサロン2022」出展概要~STEP WGN・VEZEL e:HEV Modulo X・CIVIC TYPE Rの新型車両を初公開~』(プレスリリース)本田技研工業株式会社、2021年12月24日https://www.honda.co.jp/news/2021/4211224.html2022年7月14日閲覧 
  39. ^ 新型「CIVIC TYPE R」をホームページで先行公開~Honda公式YouTubeではショート動画を公開~』(プレスリリース)本田技研工業株式会社、2022年7月12日https://www.honda.co.jp/news/2022/4220712.html2022年7月14日閲覧 
  40. ^ 新型「CIVIC TYPE R」を世界初公開』(プレスリリース)本田技研工業株式会社、2022年7月21日https://www.honda.co.jp/news/2022/4220721.html2022年7月21日閲覧 
  41. ^ 新型「CIVIC TYPE R」を発売』(プレスリリース)本田技研工業株式会社、2022年9月1日https://www.honda.co.jp/news/2022/4220901-civic.html2022年9月1日閲覧 
  42. ^ https://twitter.com/honda_uk/status/1580854789818134528”. Twitter. 2022年10月16日閲覧。
  43. ^ 【ベトナム】ホンダ、自動車ショーで新型シビック発表へ[車両](NNA ASIA)”. LINE NEWS. 2022年10月21日閲覧。
  44. ^ 2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤーにおいて「CIVIC e:HEV / CIVIC TYPE R」が「パフォーマンス・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞~国産車として初の受賞~』(プレスリリース)本田技研工業、2022年12月8日https://www.honda.co.jp/news/2022/4221208.html2022年12月9日閲覧 
  45. ^ online編集部, Z. U. U. (2022年12月27日). “シビック・タイプRのレースカー「シビック・タイプR TCR」のプロトタイプが公開”. ZUU online. 2023年1月1日閲覧。
  46. ^ ホンダ・シビック・タイプRがニュルブルクリンクで7分44秒881を記録。FF最速ラップタイム更新”. autosport web. 2023年4月20日閲覧。
  47. ^ a b TCRJマシン紹介(2):「とても良くできたレーシングカー」。ホンダ・シビック・タイプR・TCR - オートスポーツ・2019年7月19日
  48. ^ 「CIVIC TYPE R-GT CONCEPT」を発表,本田技研工業,2023年1月13日






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