ブルーギル 利用

ブルーギル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/24 23:20 UTC 版)

利用

観賞

観賞魚として利用されたこともある[1][4]。ただし、日本国内では2005年6月に施行された特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)で特定外来生物に指定されたため、愛がん・鑑賞の目的で新たに飼養することは禁止されている。研究や教育などの目的で飼養する場合には主務大臣から許可を受けなければならない。

食用

フライパンによるブルーギルの焼き魚

フライやムニエル、バター焼きなど油で調理した料理に合うといわれている[23]。調理時には皮をしっかり除去することがポイントとされる[23]

原産地の北米では大型のものが釣れ、体が丸くフライパンにすっぽりと収まり、バター焼きなどに適することからパンフィッシュ ("Pan fish") と称され食べられている。

滋賀県では琵琶湖のブルーギルを「ビワコブナ」という名称で鮒寿司の材料であるニゴロブナ代用魚として利用したり、揚げ物などの材料としたりした料理が作られており、県のサイトでも調理方法を公開している。[24]また大型の個体を食用に供する釣客もいる。事実、滋賀県農政水産部水産課が発行している『遊漁の手帖』では「大型のものは塩焼きにして食べる」[25]と、食用利用にも適していることが明記されている。滋賀県立琵琶湖博物館や大津サービスエリア等ではブラックバス料理が提供されている[23]

中国では、1987年に観賞魚として移入された後、食用に転用された。一般に、英語名を直訳した藍鰓太陽魚(ランサイタイヤンユー、lánsāi tàiyángyú)、または、単に太陽魚と呼ばれ、湖北省広東省などで養殖が行われている。中国での養殖には主に顆粒の配合飼料が使われ、臭みも少ないことから、蒸し魚としての利用が多い。

防除対策のため持続的利用として食魚としての利用も研究されている[4]

遊漁

ブルーギルの釣魚としての価値は低く、本種を専門に狙う釣り人はあまり多くはない。しかし、先述のように原産地アメリカにおいて本種を含め“パンフィッシュ”の名で親しまれるLepomisは、簡単な仕掛けで初心者でも容易に釣ることができる。このため、家族連れがキャンピング、ハイキングを楽しむ際等に、水遊びの相手として馴染み深い魚である。

日本国内のブルーギルの場合、市販の釣り餌以外にも粒や魚肉ソーセージパンカステライカ塩辛等の固形の人間用食品、はては雑草をちぎったものや落ちているプラスチックワーム(ミミズなどに似せた疑似餌)の切れ端など固形物で口に入る大きさのエサと認識したものであれば幅広く釣り餌となる。また、小型ルアーを使うフライフィッシングルアーフィッシングでも良く釣れる。また水面近くで群れている場合には摂食行動など興味深い行動を観察できることも可能であり、こちらも釣る事ができる。


  1. ^ a b c d 特定外来生物 ブルーギル、環境省近畿地方環境事務所野生生物課、2023年7月21日閲覧。
  2. ^ a b c d e f いばらき魚顔帳 ブルーギル(サンフィッシュ科)、茨城県、2023年7月21日閲覧。
  3. ^ a b c d ブルーギル、愛知県、2023年7月21日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h 巻末資料、東北地方環境事務所、2023年7月21日閲覧。
  5. ^ a b 片野修, 坂野博之「BORIS VELKOV:ウグイによるブルーギル卵の捕食効果についての実験的解析」『日本水産学会誌』2006年 72巻 3号 pp.424-429, doi:10.2331/suisan.72.424, 日本水産学会
  6. ^ a b c d e f 多紀保彦(監修) 財団法人自然環境研究センター(編著)『決定版 日本の外来生物』平凡社、2008年4月21日、164-165頁。ISBN 978-4-582-54241-7 
  7. ^ 山田寛一「ブルーギルの池中飼育(予報)」『滋賀県水産試験場研究報告』第23号、1971年、24-26頁。 
  8. ^ a b 渡邊洋之「水産試験場・釣り具メーカー・釣り人による日本でのブルーギル(Lepomis macrochirus)の放流について 1960-1975年 1960-1975年」『科学史研究』第53巻No.270、2014年、169-181頁, NAID 110009893183
  9. ^ “ブルーギル、陛下に贈られた15匹の子孫証明”. YOMIURI ONLINE (『読売新聞』). (2009年10月23日). オリジナルの2014年1月4日時点におけるアーカイブ。. https://archive.is/brjnQ 2018年12月25日閲覧。 
  10. ^ a b ブルーギル”. 国立環境研究所 侵入生物DB. 2018年12月25日閲覧。
  11. ^ 村上興正・鷲谷いづみ(監修) 日本生態学会(編著)『外来種ハンドブック』地人書館、2002年9月30日。ISBN 4-8052-0706-X p.119
  12. ^ 黒川哲治, 西澤栄一郎「生物多様性の保全に向けた外来種対策の経済的評価『水資源・環境研究』2004年 17巻 pp.23-34, doi:10.6012/jwei.17.23, 水資源・環境学会
  13. ^ 天皇陛下のおことば 第27回全国豊かな海づくり大会 平成19年11月11日(日)(滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール)
  14. ^ 片野修, 中村智幸, 山本祥一郎 ほか「長野県浦野川におけるブルーギル幼魚の胃内容物」『水産増殖』2005年 53巻 2号 pp.115-119, doi:10.11233/aquaculturesci1953.53.115, 日本水産増殖学会
  15. ^ a b 遊磨正秀, 田中哲夫, 竹門康弘 ほか「瀬田月輪大池における魚類群集の変遷 : 12年間の生物学実習の結果より」『滋賀医科大学基礎学研究』1997年 8巻 pp.19-36, 滋賀医科大学
  16. ^ 種生物学会『外来生物の生態学 進化する脅威とその対策』文一総合出版、2010年3月31日。ISBN 978-4-8299-1080-1 [要ページ番号]
  17. ^ 熊澤一正, 大杉奉功, 西田守一 ほか「ダム湖の水位低下を利用した定置網による外来魚捕獲とその効果」『応用生態工学』2012年 15巻 2号 pp.171-185, doi:10.3825/ece.15.171, 応用生態工学会
  18. ^ 齋藤大, 宇野正義, 伊藤尚敬「さくら湖(三春ダム)の水位低下がオオクチバスの繁殖に与える影響」『応用生態工学』2003-2004年 6巻 1号 pp.15-24, doi:10.3825/ece.6.15, 応用生態工学会
  19. ^ 【熱狂ゲノム】第1部 身近に迫る技術(1)遺伝操作で外来魚駆除 不妊化ブルーギル放流実験毎日新聞』朝刊2019年7月31日(1面)2019年8月1日閲覧
  20. ^ 西川潮, 米倉竜次, 岩崎敬二 ほか「分子遺伝マーカーを用いて外来生物の侵入生態を探る : 生態系管理への適用可能性(<特集1>生物学的侵入の分子生態学)」『日本生態学会誌』2009年 59巻 2号 p.161-166, doi:10.18960/seitai.59.2_161, 日本生態学会
  21. ^ 中尾博行, 川端健人, 藤田建太郎 ほか「外来魚ブルーギルの卵・仔魚に対する在来巻貝類による捕食」『魚類学雑誌』2006年 53巻 2号 p.167-173, doi:10.11369/jji1950.53.167
  22. ^ 米倉竜次, 苅谷哲治, 藤井亮吏 ほか「釣りによるブルーギル個体群の抑制」『日本水産学会誌』2007年 73巻 5号 p.839-843, doi:10.2331/suisan.73.839, 日本水産学会
  23. ^ a b c 比奈知ダム環境新聞第40号、独立行政法人 水資源機構 比奈知ダム管理所、2023年7月21日閲覧。
  24. ^ ★Catch&EAT!!〜外来魚の調理方法★” (PDF). 滋賀県農政水産部水産課. 2018年12月25日閲覧。
  25. ^ 遊漁の手帖” (PDF). 滋賀県農政水産部水産課. 2017年4月18日閲覧。






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