ニワトコ ニワトコの概要

ニワトコ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/30 23:38 UTC 版)

ニワトコ
ニワトコ
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : キク類 asterids
階級なし : キキョウ類 campanulids
: マツムシソウ目 Dipsacales
: ガマズミ科 Viburnaceae
: ニワトコ属 Sambucus
: S. racemosa
亜種 : ニワトコ
S. r. subsp. sieboldiana
学名
Sambucus racemosa L. subsp. sieboldiana (Miq.) H.Hara (1956)[1]
シノニム
和名
ニワトコ(接骨木)
英名
Japanese red elder

名称

日本の漢字表記である「接骨木」(ニワトコ/せっこつぼく)は、枝や幹を煎じて水あめ状になったものを、骨折の治療の際の湿布剤に用いたためといわれる。中国植物名は、「無梗接骨木(むこうせっこつぼく)」といい、ニワトコは中国で薬用に使われる接骨木の仲間であり[5]、中国名(漢名)で接骨木といえばトウニワトコを指す[6]

地方により、ヤマダズ(山たづ)[5]、タズノキ[5](タヅノキ[7])、ダイノコンゴウ(関東地方[8]などの方言名がある。「山たづ」は、日本最古の歌集『万葉集』にも詠まれた呼び名で、対生羽状複葉ツルの羽を広げた姿に見立てたもので、ツルの古名「たづ」からきているとする説がいわれている[7]

日本での古名はミヤツコギ(造木)と称されており、平安時代の本草書『本草和名』に「接骨木、和名美也都古木」とあり、平安時代後期の歌人源俊頼の自撰歌集『散木奇歌集』には「春たてば 芽ぐむ垣根の みやつこ木 我こそ先に 思ひそめしか」と詠まれている[9]。ミヤツコギの名は「宮仕う木」に由来し、紙を切って木に挟み神前に捧げた幣帛御幣)が、大昔は木を削って作られた木幣だったものと推定され、その材料に主にニワトコが用いられたとの説がいわれている[8]。 また古事記「允恭天皇記」が伝える衣通王の歌に「山たづ」が歌われ、「山たづは今の造木なり」との注釈がある。

分布と生育環境

日本では、北海道本州四国九州対馬甑島種子島奄美大島を含む)に分布し、日本国外では、朝鮮半島中国に分布する[10][4]。暖地の丘陵山麓谷間などの、原野や山野の林縁などいたるところにみられ[11][4]、湿気があって日当たりのよい所に多い。古来より栽培もされていて庭にも植えられる[12][11]


注釈

  1. ^ 最新のAPG体系ではガマズミ科 (Viburnaceae) に分類される。古いAPG体系ではレンプクソウ科 (Adoxaceae) 、クロンキスト体系新エングラー体系ではスイカズラ科 (Caprifoliaceae) に分類されることもある[1]

出典

  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Sambucus racemosa L. subsp. sieboldiana (Miq.) H.Hara ニワトコ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月24日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Sambucus sieboldiana (Miq.) Blume ex Graebn. ニワトコ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月24日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 31.
  4. ^ a b c d e f g h i j k l 西田尚道監修 学習研究社編 2009, p. 40.
  5. ^ a b c d e f g h 貝津好孝 1995, p. 54.
  6. ^ a b 深津正 2000, p. 155.
  7. ^ a b 深津正 2000, pp. 156–157.
  8. ^ a b c 深津正 2000, p. 156.
  9. ^ 深津正 2000, pp. 155–156.
  10. ^ a b c d e f g 菱山忠三郎 2003, p. 241.
  11. ^ a b c d e f g 高橋秀男監修 2003, p. 100.
  12. ^ a b c d e f g h i j k 馬場篤 1996, p. 85.
  13. ^ G.M.シュラインコーファ、人間の全人的癒し: セパスチャン・クナイプの教えたこと (PDF) 人間・植物関係学会誌 第7巻 第1号 (2007年9月30日)
  14. ^ 羽根田治『新装版・野外毒本:被害実例から知る日本の危険生物』山と渓谷社、2014年、ISBN 9784635500357 p. 168.
  15. ^ 堀田饒 (2013年8月29日). “糖尿病の歴史 切手が語る”. 日経電子版. 日本経済新聞. 2013年9月22日閲覧。
  16. ^ 馬場篤 1996, p. 84.


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