キス (魚) キス (魚)の概要

キス (魚)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/28 08:42 UTC 版)

キス科
シロギス Sillago japonica
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
亜綱 : 新鰭亜綱 Neopterygii
上目 : 棘鰭上目 Acanthopterygii
: スズキ目 Perciformes
亜目 : スズキ亜目 Percoidei
: キス科 Sillaginidae
学名
Sillaginidae Richardson1846
タイプ属
Sillago
生息域

あるいは、シロギスSillago japonica、分類によってはSillago sihama)の異称、あるいはシロギスがキスの異称とも定義される[2]

キス科には、ホシギス・アオギスなど、沿岸の浅い海で暮らす種類を中心に5属約33種が記載されている[3]。キス類の多くは食用に利用されるほか、釣りの対象としても人気が高い。

分布

キス科は、南アフリカから日本、オーストラリアにかけてのインド洋および西部太平洋に分布する[4]

生態

ほとんどの仲間は海岸付近の砂底で生活するが、一部の種類の稚魚は河口などの汽水域で成長するほか、ごくまれに淡水に進出するも知られている[4]

産卵期である夏には沿岸のごく浅い場所まで移動し、砂浜などでも頭を下げて海底を嗅ぎまわるように泳ぐ姿を見ることができる。食性雑食性で、ゴカイ・スナモグリ・ヨコエビなど海底に生息する底生生物を捕食する。

形態

キス科の仲間は細長い円筒形の体型をもち、口は小さい[5](口先)はとがり、砂底に潜む獲物を探るために利用される。全長45cm程度にまで成長する種類が多いが、最大では70cmに達することもある[4]浮き袋は欠くか、あるいは痕跡的で、存在する場合は多数の突起による複雑な構造を示す[4]

背鰭は2つあり、互いの間隔はごく狭いか、ほとんど近接している[4]。第1背鰭は10–13本の棘条で、第2背鰭は1本の細い棘条と16–27本の軟条で構成される[4]。臀鰭の基底は長く、2棘14-26軟条[6]椎骨は32–44個で、スズキ目内の30種余りの小グループとしては例外的に変化が大きい[4]

利用

天ぷら
握り寿司

ほとんどのキス類が食用に利用される。釣りの対象魚としても人気が高く、舟釣りや海岸からの投げ釣りは、誰でも楽しむことができる。かつて東京湾では浅瀬に脚立を立て、その上に腰かけてアオギスを釣る「脚立釣り」が名物であったが、汚染でアオギスが絶滅して以来、見られなくなった。ゴカイなど多毛類生き餌、もしくはソフトプラスチックの疑似餌を使う。

身は脂肪が少なく柔らかい白身で、美味とされる。塩焼きのほか、刺身天ぷらフライなどに調理される。

江戸時代の将軍は、毎月1日、15日、28日以外の食事には鱚の塩焼きと漬け焼きの二種類が乗った「鱚両様」を食べることが日課となっていた[7]


  1. ^ “キス【鱚】”, 広辞苑, 第4版, 岩波書店, (1998) 
  2. ^ "キス(鱚)". 世界大百科事典 第2版、日本大百科全書(ニッポニカ). コトバンクより2021年12月10日閲覧
  3. ^ a b Tatsuya Kaga 『Phylogenetic systematics of the family Sillaginidae (Percomorpha: order Perciformes)』 Zootaxa3642. 2013年 ISBN 978-1-77557-144-5 pp.105
  4. ^ a b c d e f g Joseph S. Nelson 『Fishes of the World Fourth Edition』 Wiley & Sons, Inc. 2006年 ISBN 0-471-25031-7 p.357
  5. ^ a b c d e f 岡村収・尼岡邦夫監修 『日本の海水魚』 山と溪谷社 1997年 ISBN 4-635-09027-2 p.307
  6. ^ a b Sillaginidae”. FishBase. 2014年7月20日閲覧。
  7. ^ 徳川将軍が毎朝食した「鱚《きす》」 脚立釣り発祥のきっかけにも”. ダイヤモンド・オンライン (2013年7月19日). 2022年11月10日閲覧。
  8. ^ "痩せぎす". デジタル大辞泉. コトバンクより2021年12月10日閲覧
  9. ^ 語源由来辞典 (2007年10月14日). “キス/鱚/きす”. 語源由来辞典. 2023年3月10日閲覧。


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