カタール 国民

カタール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/10 07:12 UTC 版)

国民

国籍
カタール国籍
  
13%
外国籍
  
87%

民族

人口は2019年の推定で284万6,092人。2013年の調査では、全人口180万人のうち、カタール国籍はわずか13%の27万8,000人にすぎず、87%にあたる150万人が外国人労働者である。そのうち、インド人が54万5,000人と最大の勢力となっている。次いで、フィリピン人ネパール人パキスタン人スリランカ人バングラデシュ人などが多く、南アジア諸国からの労働者がほとんどを占めている。

カタール人は、おもにアラビア半島の遊牧民のベドウィンイランパキスタンアフガニスタンを祖先に持つ Hadar、スーダンソマリアを中心とした東アフリカからの奴隷の子孫の Abd の3つの祖先に分かれる。

言語

公用語はアラビア語である。日常会話は湾岸方言となる。インドやパキスタンなどの外国人労働者が大半を占めていることと、イギリスの植民地であったことから、英語も政界・財界などで広く理解されている。その他、ヒンディー語ウルドゥー語マラヤーラム語タミール語ネパール語タガログ語なども話されている。

宗教

2010年の調査では外国籍を含めた全人口に占める割合をみると67.7%がイスラム教、13.8%がキリスト教、13.8%がヒンドゥー教、3.1%が仏教を信仰している。しかし、カタール国籍保持者の95%はイスラム教であり、大半がスンナ派ワッハーブ派である他、シーア派が人口の5 - 15%を占めており、イスラム教を国教としている。

地理

カタールの地図

カタール半島は、サウジアラビア側から160キロ突き出ている。国内の大部分は不毛な砂漠であり、もっとも高い地点で海抜103メートルである。この砂漠の地下にドゥハーン油田英語版が存在し、一方世界最大級のノースガス田はカタール半島北東からイラン方向の海底に広がる。カタール半島の付け根付近にあるホール・アル=ウデイド英語版(Kawhr al Udayd)は、静かな内海であることから別名を「インランド・シー」(: Inland Sea)とも呼ぶ。

カタールの砂漠

地方行政区分

都市

カタールの首都ドーハ
ドーハ市街
  • 首都ドーハ - 国内で最大の都市であり、国民の半分以上がドーハに住んでいる。
  • アル・ワクラ英語版 (Al Wakrah) - ドーハの南約20キロ。
  • アル・ホール (Alkhor) - ドーハの北57キロ。古い街区がある。
  • ウンム・サラール・ムハンマド英語版 (Umm Salal Muhammad) - ドーハの北約20キロ。19世紀に建てられた3階建ての長方形の塔「バルザーン塔」がある。
  • ラアス・ラファーン英語版 (Ras Laffan) - 工業都市。日本では「ラス・ラファン」と表記される。
  • アッ=シャマール - 最北部の都市。
  • ウンム・サイード英語版 (Umm Sa'id) - 工業都市。石油製品輸出港。
  • ドゥハーン英語版 (Dukhan) - 西岸の都市。
  • シャハーニーヤ (Shahaniya) - ラクダレース開催地として知られる。Al Jumaliyah
  • アッ=ラヤーン

経済

首都ドーハ中東屈指の世界都市金融センターへ急成長している

2015年国内総生産GDP)は約1,920億ドル(約21兆円)であり[19]、日本の埼玉県よりやや大きい経済規模である[20]。人口は埼玉県の3分の1弱で、同年の一人当たりGDPは7万8,829ドルで世界第5位[19]、一人当たり国民総所得(GNI)は8万5,430ドルで世界第2位である[21]。一時は一人当たりGDPで世界一を誇ったことから「世界でもっとも裕福な国」と呼ばれた[22]

1940年代の石油発見以前の産業は漁業と真珠取りだけであった。1920年代から日本の養殖真珠が世界に出回るとカタールの天然真珠は衰退した。石油と天然ガスに依存する経済体制で、輸出の大半が石油・天然ガスおよびその関連製品で占められている。インドパキスタンイランなどからの外国人労働者がカタール国籍を持つ総人口より多く、外国人労働者に労働力を大きく依存している。

豊富なオイルマネーにより国民は所得税がかからない。さらに、医療費、電気代、電話代が無料、大学を卒業すると一定の土地を無償で借りることができ、10年後には自分のものとなる。

2004年、ドーハに科学技術パークを開き、世界中から技術関連企業を呼んだ。現在、油価は低下したものの炭化水素はカタールの背骨であり続けるが、政府は知識集約型の民間投資も促進しようとしている。カタール金融センター(QFC)は湾岸諸国を巻き込んだ投資に今後10年間で1兆ドルを供給することを発表している。

農業

首都ドーハのラクダ市場

カタールの年降水量は40ミリ前後であるため、降雨に頼った農業は不可能である。しかしながら、灌漑などを利用した農業が営まれており、農地面積は国土の0.7%(80平方キロメートル、1994年)に達する。牧場は同4.5%(500平方キロメートル)である。農業従事者の人口に占める割合は0.5%。

主要穀物では大麦(5,000トン、2002年)、トウモロコシ(1,000トン)を栽培する。野菜ではトマト(1.1万トン)、次いでキャベツ(2,000トン)の生産が盛ん。畜産業では、ニワトリ(400万羽)とヒツジ(20万頭)が最大。次いでヤギ(18万頭)、ラクダ(5万頭)など。

漁業は盛んではないが、約7,000トンの水揚高が記録されている。

鉱業

原油の埋蔵量は252億バレル、天然ガスは880兆立方フィートで、ロシアとイランに次いで世界第3位(シェア12.9%)。産出量は原油日量192万バレル(シェア2.1%)なのに対し、天然ガスは日量1,780億立方フィートでシェア4.8%である(数字は2017年、BP統計調べ)。日本の天然ガス輸入先としてはマレーシアインドネシアオーストラリアに次いでカタールが第4位にあたる[23]。輸出に占める鉱業の割合は非常に高く、2002年時点で天然ガス42.6%、原油35.0%に達する。2008年までの油価高騰により石油ガスがGDPの50%、輸出の85%、政府収入の70%を占めるようになった。カタールの天然ガス輸出先は第1位が日本で全体の約21%、第2位が韓国で約18%、第3位がインドで約15%となっている(JOGMEC調べ)。

国営エネルギー会社カタール・ペトロリアム(QP)を有し、ノースガス田開発などを手がけている[24]

工業

工業は発達しておらず、食肉加工、窒素肥料の製造、セメント製造などが小規模に営まれている段階である。もっとも規模が大きいのが石油化学工業、次に製鉄である。輸出に占める工業製品の割合は2002年の段階で石油製品6.7%、プラスチック3.1%、鉄鋼2.8%である。

情報通信

しばしば「中東のCNN」と形容されるアルジャジーラの本社がドーハに置かれている。開局時はアラビア語のニュースTVでスタートしたが、現在いくつものチャンネルを有する。アラビア語と英語の新聞がいくつかあり、英字ビジネス月刊誌は『Qatar Today』が唯一で、他にアラビア語のビジネス誌、女性誌、ファッション誌が同じ出版社から出ている。

観光

カタールのビーチ

ドバイ首長国首都ドバイにもあるパーム・ツリー・アイランドがドーハ湾に作られ、リゾート地になっている。また、南部のホール・アル・ウデイドのラグーン砂丘ツアーがある。




注釈

  1. ^ 後にカタール石油会社 (Qatar Petroleum Company, QPC) に改称。

出典

  1. ^ a b c d Report for Selected Countries and Subjects 2020年1月29日閲覧。
  2. ^ カタールの概要”. 在カタール日本国大使館 (2017年8月16日). 2018年1月7日閲覧。
  3. ^ “カタール、OPECを来年1月1日付で脱退-エネルギー相”. bloomberg.co.jp. ブルームバーグ. (2018年12月3日). https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-03/PJ5DSM6JIJUR01 2018年12月3日閲覧。 
  4. ^ Member Countries”. 石油輸出国機構. 2019年10月20日閲覧。
  5. ^ カタール基礎データ | 外務省
  6. ^ a b c 前田高行『カタル・サーニー家の構図 』(2002年12月22日)
  7. ^ “Qatari Amir unveils new cabinet set-up”. Kuwait News Agency. (2013年6月26日). http://www.kuna.net.kw/ArticleDetails.aspx?id=2319169&language=en 2013年6月28日閲覧。 
  8. ^ カタール国 要人往来日本国外務省
  9. ^ 輝くアラブ女性のシンボル:モーザ王妃
  10. ^ “タリバンがカタールに事務所設置―米国などと暫定合意”. 『ウォール・ストリート・ジャーナル』. (2012年1月4日). http://jp.wsj.com/public/page/0_0_WJPP_7000-369716.html 
  11. ^ イラン包囲網にトランプ外遊 突然ではない? サウジのカタール断交 THE PAGE(2017年6月7日)2017年6月7日閲覧
  12. ^ “中東主要国が「テロ支援」でカタールと断交、イラン反発”. ロイター. (2017年6月6日). http://jp.reuters.com/article/quatar-gulf-tie-idJPKBN18W0D7 
  13. ^ 新オスマン主義」『読売新聞』朝刊2017年4月26日
  14. ^ “PLA's goose-stepping highlight of Qatari National Day military parade”. 人民網. (2017年12月20日). http://en.people.cn/n3/2017/1220/c90000-9306770.html 2017年12月22日閲覧。 
  15. ^ “Qatar Parades New Chinese Short-Range Ballistic Missile System”. The Diplomat. (2017年12月19日). https://thediplomat.com/2017/12/qatar-parades-new-chinese-short-range-ballistic-missile-system/ 2017年12月22日閲覧。 
  16. ^ “SCO receives membership requests from Qatar, Bahrain”. インテルファクス通信. (2017年12月5日). https://www.interfax.kz/?lang=eng&int_id=21&news_id=28540 2017年12月23日閲覧。 
  17. ^ “China's Growing Security Relationship With Qatar”. The Diplomat. (2017年11月16日). https://thediplomat.com/2017/11/chinas-growing-security-relationship-with-qatar/ 2017年12月22日閲覧。 
  18. ^ “Qatar, US stage joint military exercise in crisis-hit Doha”. Press TV. (2017年8月22日). https://www.presstv.com/Detail/2017/08/22/532587/Qatar-US-Doha-military-exercise-Friendship-Jump-Colonel-David-Keesy 2018年10月4日閲覧。 
  19. ^ a b IMF2016年1月2日閲覧。
  20. ^ 県民経済計算日本国内閣府 2016年1月2日閲覧
  21. ^ 「1人あたりの国民総所得(GNI)の多い国」日本国外務省
  22. ^ “「世界で最も裕福な国」はカタール=日本はSP、香港にも及ばずトップ10外―米誌”. Record China. (2012年2月28日). http://www.recordchina.co.jp/b59110-s0-c30.html 2017年12月22日閲覧。 
  23. ^ 日本国勢図会』2009/2010年版より。
  24. ^ 「カタールQP、ガス田開発加速」『日経産業新聞』2020年1月10日(グローバル面)
  25. ^ 「カタール見習騎手招待レース」国分 優作騎手の騎乗結果”. 日本中央競馬会 (2012年3月2日). 2013年2月26日閲覧。
  26. ^ 嶋田 純次騎手がカタール見習騎手招待レースに参加”. 日本中央競馬会 (2013年2月15日). 2013年2月26日閲覧。





カタールと同じ種類の言葉


固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

「カタール」に関係したコラム

  • 株式の取引が行われる証券取引所の一覧

    2012年6月現在の日本の証券取引所、および、世界各国の証券取引所の一覧です。▼日本東京証券取引所(東証)大阪証券取引所(大証)名古屋証券取引所(名証)福岡証券取引所(福証)札幌証券取引所(札証)TO...

  • CFDの天然ガス相場の見方

    天然ガスは、石油や石炭と同じく化石燃料の1つです。次の図は天然ガスの生産量をグラフに表したものです。ロシアやアメリカ合衆国、カナダなどでの生産量の多いことがわかります。※BP Statistical ...

  • 世界の株価指数一覧

    株価指数は、証券取引所に上場している銘柄を一定の基準で選出し、それらの銘柄の株価を一定の計算方法で算出したものです。例えば、日本の株価指数の日経平均株価(日経平均、日経225)は、東京証券取引所(東証...

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「カタール」の関連用語

カタールのお隣キーワード

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   
検索ランキング



カタールのページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのカタール (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2020 Weblio RSS