オオメジロザメ オオメジロザメの概要

オオメジロザメ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/20 03:25 UTC 版)

オオメジロザメ
オオメジロザメ
Carcharhinus leucas
保全状況評価[1]
VULNERABLE
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
: 軟骨魚綱 Chondrichthyes
: メジロザメ目 Carcharhiniformes
: メジロザメ科 Carcharhinidae
: メジロザメ属 Carcharhinus
: オオメジロザメ C. leucas
学名
Carcharhinus leucas
(Müller and Henle, 1839)
英名
Bull Shark
オオメジロザメの生息域

分布および生息

太平洋インド洋大西洋熱帯から亜熱帯の海域に分布している。汽水域、大河やその上流にある湖などの淡水域にも出現する。南米での淡水域からの記録ではアマゾン川からの報告がもっとも多く、もっとも上流からの記録は河口から4000km離れたペルー領のイキートスからの報告で世界でもっとも奥深く侵入した記録である。中米からはパナマ運河パナマのバヤノ川ダム、コスタリカのコロラド川、ホンジュラスのハトヤ川、グアテマライサバル湖ニカラグア湖など、北米からはメキシコウスマシンタ川流域、ミシシッピ川上流2800kmなど、アフリカアジアオセアニアからはザンベジ川の河口から1200km離れた場所、ガンジス川流域、アデレイド川、デーリー川、沖縄県国場川安里川などがあり、世界中の淡水域からの記録がある。[4]。変わった事例では、オーストラリアクイーンズランド州カーブルック英語版にあるカーブルック・ゴルフクラブ (Carbrook Golf Club) のコース内の池には、洪水で近くの川から流されてきたオオメジロザメが6尾ほど住み着いてしまったことがある。[5]。日本では上記しているが、沖縄で確認され、沖縄が日本国内の生息の北限とされていたが、宮崎県宮崎市大淀川河口付近で本土初生息が確認されている。[6]

形態

最大で全長3.4〜4.0m,体重300kgを超える。2012年にフロリダキーズ諸島のマラソン沖で採集された雌個体は325cmで体重は450kgであった。[7][8]。雌は雄よりも大きく、成魚の雌は平均240cm、体重130kg程度、雄は平均225cm、体重95kg程度である[9]。雌の寿命は約16年であるのに対し、雄は約12年である。体型は流線形だが、太く頑強である。吻は非常に短く、全体的に丸い。背側の体色は灰色で、腹側は白色である。(種小名のleucasは「白銀の」という意味であり、沖縄名のシロナカーも他のメジロザメに比べ白っぽいことからきている。)歯の形状は上顎歯が縁辺が鋸歯状で正三角形に近い形状をしており、下顎歯は縁辺が鋸歯状で直立する。歯列数は上顎が24〜29、下顎が24〜29。

生態

オオメジロザメの遊泳

胎生。胎盤形成型。推定10〜12ヶ月の妊娠期間を経て、全長56~81cmで産出される。最大で13尾の仔ザメを出産する。生後最初の5年間は成長スピードが速く、年平均15〜20cm、その後6〜10年では年平均10cmほどになり、11〜16年で年5〜7cm、それ以降は年に4〜5cmとされている。15〜20歳で、雄は157~226cm、雌は180~230cmで成熟する。最大32〜50歳程度まで成長すると考えられている。[10]

河口や汽水域などの濁った水域を好むが、海から川を遡り上流にある湖などに住み着くことがある.淡水域で生息している個体も仔ザメは海を下って産む。性格は凶暴で行動は俊敏。南西諸島などでは海水浴場や港などにも進入するので注意する必要がある.無脊椎動物や同種のサメを含む軟骨魚類、硬骨魚類、海鳥類、海棲哺乳類、鯨の死肉などあらゆるものを食べる。[11]

本種は26℃以上の水温を好み、気温の変化に合わせて季節ごとに移動を行う。(例えば西大西洋では一部のオオメジロザメが夏にアメリカ海岸に沿って北に移動し水温が下がると南下し、熱帯に戻ることが確認されている)通常本種は水深20m以浅の海底をゆっくりと泳ぎ、1日で平均5〜6km移動するが獲物を追いかけ攻撃する際は非常に機敏な動きを見せる。成魚になると天敵はほとんどいない。[10]


  1. ^ Simpfendorfer, C. & Burgess, G.H. 2005. Carcharhinus leucas. In: IUCN 2011. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2011.1. <www.iucnredlist.org>. Downloaded on 30 June 2011.
  2. ^ a b オオメジロザメ”. 沖縄美ら海生き物図鑑. 2022年10月11日閲覧。
  3. ^ 下瀬(2021)「沖縄さかな図鑑」,沖縄県
  4. ^ 谷内透.1997.サメの自然史.東京大学出版会
  5. ^ Thomas Boswell (2013年5月1日). “Sharks at Carbrook Golf Club caught on film, confirming they survived Brisbane floods”. Courier Mail. Albert & Logan News. http://www.couriermail.com.au/questnews/logan/sharks-at-carbrook-golf-club-caught-on-film-confirming-they-survived-brisbane-floods/news-story/a64120d06d252fe2894a936c4a698464 2021年4月17日閲覧。 
  6. ^ [1]
  7. ^ https://www.floridamuseum.ufl.edu/discover-fish/species-profiles/carcharhinus-leucas/
  8. ^ Purushottama, GB and Ramkumar, S and Tandel, S and others (2013). “First record of Bull shark, Carcharhinus leucas (Valenciennes, 1839) in commercial landings from New Ferry Wharf, Mumbai, Maharashtra”. Marine Fisheries Information Service; Technical \& Extension Series (Central Marine Fisheries Research Institute) (218): 12-15. http://eprints.cmfri.org.in/9925/. 
  9. ^ https://www.floridamuseum.ufl.edu/discover-fish/species-profiles/carcharhinus-leucas/
  10. ^ a b c David A.Ebert,Mare Dando and Sarah Fowler (2021). SHARKS OF THE WORLD A Compleat Guide. WILD NATURE PRESS
  11. ^ 仲谷一宏 (2016). サメ-海の王者たち-改訂版. ブックマン社
  12. ^ オオメジロザメ飼育40年! 世界最長飼育記録更新中!!”. 沖縄美ら海水族館 (2018年6月28日). 2022年10月11日閲覧。
  13. ^ 水族館「魚の国」”. 京急油壺マリンパーク. 2022年10月11日閲覧。
  14. ^ 矢野和成.1998.サメ 軟骨魚類の不思議な生態.東海大学出版会,安達.
  15. ^ 谷内透.1997.サメの自然史.東京大学出版会
  16. ^ https://www.floridamuseum.ufl.edu/shark-attacks/factors/species-implicated/


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