銀相場
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/28 22:55 UTC 版)
16世紀半ば以降、新大陸から持ち運ばれた銀によって、価格革命が起き、全ヨーロッパの銀価が下落した。 銀は金と並び、貴金属や工業用素材として広く使用されることから、投資の対象にもなっている。時には、投機的な資金が流入して、相場価格が乱高下することがある。 投資の対象として注目されるようになった発端は、1979年 - 1980年のハント兄弟が、工業用にも利用されている銀の価格が、金相場と比べて低いことに着目した買い占め(銀の木曜日)がきっかけである。 銀相場は1980年(昭和55年)1月18日に、ニューヨーク市場で瞬間最高値1オンス50ドル超を記録し、日本でも1980年(昭和55年)1月第3旬の国内建値で1 kg当たり34万6,000円まで暴騰し、一時は20倍もの価格上昇が発生した。ハント兄弟の価格釣り上げ工作は、銀の高騰により、ヨーロッパの一般家庭が使っていた銀食器が大量に鋳つぶされ、市場に大量放出されたことによる暴落で、大失敗に終わった。 その後も1996年(平成8年)には、アメリカ合衆国の著名な投資家であるウォーレン・バフェットが、世界の年間供給量の5分の1を買い占めたと表明し、直後に暴騰が生じた。2011年(平成23年)4月頃にも、1980年にハント兄弟の買占めに迫る価格まで価格が急上昇したが、先物取引の規制(証拠金の上積み規制)がなされたために暴落するなど、依然として混乱は見られる。 なお、最も銀消費量が多かった写真工業分野では、現像時の銀回収システムの確立や、銀塩フィルムや印画紙・現像液を全く使わないデジタルカメラ(CCDイメージセンサ・CMOSイメージセンサ)、コンピュータX線撮影のような代替技術が出現しており、デジタルカメラへの移行が相当進んでいることなどから(2014年現在)、ハント兄弟の買い占めに際して発生した、写真フィルム/レントゲンフィルムの欠品・不足のような事態は発生し得ない。
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