解剖所見(肛門含む)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/28 05:47 UTC 版)
直腸は他の大腸と同じく「粘膜」「筋層」「漿膜」の3層より構成される(下部直腸は腹腔外にあるため漿膜は存在しない)。大腸では消化作用は殆ど無く、水の吸収が主である。上皮は単層円柱上皮で覆われている。また、肛門の表面は機械的な刺激に強い重層扁平上皮(英語版)で覆われている。肛門の真上では内輪筋が特に発達しており、内肛門括約筋を構成する。平滑筋で出来たこの括約筋のほかに、横紋筋で出来た外肛門括約筋がある。前者は反射的に、後者は意思に従って肛門を開閉する。直腸と肛門は解剖学的には上皮で区別されるが、外科学的には肛門括約筋より上部が直腸、下部が肛門管と解剖学的な区別より上位となっている。直腸は上部からRs(直腸S状部)、Ra、Rbの3つに分けられる。Rsは腸間膜を有するため、厳密にはS状結腸の一部であるが、日本では一般的に直腸の一部として扱い,Rsに発生したがんを直腸がんと呼称する。これに対し,欧米ではRsに発生したがんはS状結腸がんと呼称する。RsとRaは第2仙椎下縁で、RaとRbは腹膜翻転部で区別される。(反転部、が一般的であるが正確には「翻転部」である。)これはアルファベット順のa,b,ではなく、腹膜飜転部より上か下か、すなわちaboveとbelowの頭文字である。特にRaとRbの区分は重要であり、どちらに病巣があるかで、手術様式が変わってくる。注腸造影や内視鏡検査の際には、第2ヒューストン弁が腹膜反転部の部位とほぼ一致するため、病変の位置を知る大きな目安となる。
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