微細藻類とは? わかりやすく解説

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びさい‐そうるい〔‐サウルイ〕【微細藻類】


微細藻類

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/03/21 08:03 UTC 版)

ナンノクロロプシス微細藻類
CSIROの研究室での微細藻類培養のコレクション

微細藻類びさいそうるいMicroalgae or microphytes)は、藻類のうち淡水海水堆積物などの水分中にみられる植物プランクトンであり、1ミリメートルから1マイクロメートルほどの大きさである[1]。 基本的には単細胞生物であり、単細胞生物同士が接着した群体を構成するものもある[2]

微細藻類は光合成が可能で、地球の大気に含まれる酸素の約半分を生成している[3] 。微細藻類は水圏生態系における食物連鎖の基盤を担っており、上位の生物の栄養段階に栄養を供給している。微細藻類のバイオマス(生物量)の指標はクロロフィルaの濃度が用いられる[4]。微細藻類の種類は20万から80万とみられているが、特定されているものは約5万種にとどまる [5]

定義と分類

微細藻類と植物プランクトンは重複する概念であるが、前者が形態・分類に基づく用語であるのに対し、後者は浮遊生活を行う生態に基づく分類である。

特徴と用途

さまざまな単細胞および植民地の淡水微細藻類

リンが枯渇した環境でリン脂質を非リン膜脂質に置き換える能力が存在する[6]温度、照明、pH、CO 2供給、塩分、栄養素などの環境要因を変化させることで、微細藻類に目的の生成物を蓄積させることが可能である。 アオコなど、微細藻類には有毒な化学物質を生成するものもいる [7] 。微細藻類は、養分循環と無機炭素の有機分子への固定、海洋生物圏での酸素の発現に大きな役割を果たしている。

写真および化学合成藻類

微細藻類の培養

食用[8]バイオ燃料(微細藻燃料)[9]化粧品[10]など幅広く利用されているが細胞密度が低いことが低い生産効率をもたらし高価格帯の製品以外での採算性を悪くしている[11]

微細藻類培養システムの成功条件は次の通り。

主に使用される餌料藻

ナンノクロロプシス属Nannochloropsis

EPAオメガ3脂肪酸)を豊富に含み、ワムシの栄養強化に利用される。

イソクリシス属Isochrysis)および Tisochrysis lutea(旧:Isochrysis galbana T-iso株)

DHAオメガ3脂肪酸)を豊富に含み、ワムシおよびアルテミアの栄養強化に利用される。

脂肪酸代謝の特徴

淡水魚は一般に、α-リノレン酸ALA)からエイコサペンタエン酸EPA)およびドコサヘキサエン酸DHA)を体内で合成する能力を有しており、この変換能は海産魚と比較して高いとされる。そのため、淡水魚の飼育においては、必ずしもEPAやDHAを直接多量に供給する必要はないとされる。一方、海産魚ではこれら高度不飽和脂肪酸の生合成能力が相対的に低く、飼料からの直接供給が重要とされる。

栄養特性と利用

養殖利用における真正眼点藻ハプト藻は、いずれも魚類種苗生産における餌料生物の培養および栄養強化に用いられる微細藻類であるが、その栄養特性に違いがある。真正眼点藻(例:ナンノクロロプシス属)はエイコサペンタエン酸(EPA)を豊富に含むのに対し、ハプト藻(例:イソクリシス属、Tisochrysis lutea)はドコサヘキサエン酸(DHA)を多く含む。

これらはワムシアルテミアの培養および栄養強化において相補的に利用され、餌料生物の脂肪酸組成の改善を通じて、魚類稚魚の成長および生存率の向上に寄与する。

植物プランクトンとの関係

微細藻類は、水圏における基礎生産を担う生物群の一部を構成し、植物プランクトンとして機能する種を多く含む。一方で、微細藻類には浮遊生活を行わない種も存在するため、植物プランクトンと完全には一致しない概念である。

参考文献

  1. ^ 微小藻の世界”. www.kahaku.go.jp. 2021年8月18日閲覧。
  2. ^ 微細藻類の群体性・単細胞性の分岐点はどこか? - 論文ハイライト - 研究ハイライト - 研究紹介 - 慶應義塾大学先端生命科学研究所”. www.iab.keio.ac.jp. 2021年8月18日閲覧。
  3. ^ Williams (2013年10月25日). “Microscopic algae produce half the oxygen we breathe”. The Science Show. ABC. 2020年11月11日閲覧。
  4. ^ Thrush, Simon; Hewitt, Judi; Gibbs, Max; Lundquist, Caralyn; Norkko, Alf (2006). “Functional Role of Large Organisms in Intertidal Communities: Community Effects and Ecosystem Function”. Ecosystems 9 (6): 1029–1040. doi:10.1007/s10021-005-0068-8. 
  5. ^ Starckx, Senne (31 October 2012) A place in the sun - Algae is the crop of the future, according to researchers in Geel Flanders Today, Retrieved 8 December 2012
  6. ^ Bonachela, Juan; Raghib, Michael; Levin, Simon (Feb 21, 2012). “Dynamic model of flexible phytoplankton nutrient uptake”. PNAS 108 (51): 20633–20638. doi:10.1073/pnas.1118012108. PMC 3251133. PMID 22143781. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3251133/. 
  7. ^ Wolfe, Gordon (2000). “The chemical Defense Ecology o Marine Unicelular Plankton: Constraints, Mechanisms, and Impacts”. The Biological Bulletin 198 (2): 225–244. doi:10.2307/1542526. JSTOR 1542526. PMID 10786943. 
  8. ^ Leckie (2021年1月14日). “Adelaide scientists turn marine microalgae into 'superfoods' to substitute animal proteins”. ABC News. Australian Broadcasting Corporation. 2021年1月17日閲覧。
  9. ^ Chisti, Yusuf (2008). “Biodiesel from microalgae beats bioethanol”. Trends in Biotechnology 26 (3): 126–131. doi:10.1016/j.tibtech.2007.12.002. PMID 18221809. http://www.massey.ac.nz/~ychisti/Trends08.pdf. 
  10. ^ Isuru Wijesekara; Ratih Pangestuti; Se-Kwon Kim (2010). “Biological activities and potential health benefits of sulfated polysaccharides derived from marine algae”. Carbohydrate Polymers 84 (1): 14–21. doi:10.1016/j.carbpol.2010.10.062. 
  11. ^ Yuvraj; Ambarish Sharan Vidyarthi; Jeeoot Singh (2016). “Enhancement of Chlorella vulgaris cell density: Shake flask and bench-top photobioreactor studies to identify and control limiting factors”. Korean Journal of Chemical Engineering 33 (8): 2396–2405. doi:10.1007/s11814-016-0087-5. https://doi.org/10.1007/s11814-016-0087-5. 

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